Project/Area Number |
22K04055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
関岡 昇三 湘南工科大学, 工学部, 教授 (60410031)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 接地抵抗 / 雷サージ / 電気回路 / 耐雷設計 |
Outline of Research at the Start |
接地網は雷害対策の基本であり、簡易かつ高精度な雷サージ解析モデルが求められている。土中での電磁界伝搬速度は光速の数分の1であり、接地電極間における電磁界結合伝搬時間は接地抵抗過渡特性に影響を与える。計算時間やメモリーの点から電気回路論的手法は有用であるが、電磁界結合における伝搬時間は考慮されていない。本研究では、接地電極形状など様々なパラメータを取り扱うことができるよう電気回路論的手法に基づく接地電極間における電磁界の伝搬時間を考慮した接地電極のシミュレーションモデルの開発を行う。開発したモデルは電気回路論をベースにして広く用いられているEMTPムに組み込みサージ解析の汎用性を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
接地網や多数の棒状接地極ついて簡易かつ高精度な雷サージ解析モデルが求められている。土中における電磁界の伝搬速度は光速の1/5~1/3であり、接地電極間における電磁界結合の伝搬時間は接地抵抗の過渡特性に大きな影響を与える。PCの性能が著しく向上したことにより時間変化を伴う数値電磁界解析がPCでも可能となり、数値電磁界手法による雷サージ解析は実用化の域に達している。数値電磁界解析では電磁界は計算時間刻み幅毎に空間における伝搬様相を忠実に表現している。しかしながら、導体寸法や配置の大小が混在している場合や長時間の観測時間を対象とする場合には、現在の計算機能力では計算時間の問題や数値計算の安定性の観点から多数のパラメータを取り扱う必要がある耐雷設計に適用するのは実際的ではない。そのため、雷サージシミュレーションでは計算時間やコンピュータメモリーなどの点から電気回路論的手法は有用な手法である。しかしながら、従来手法における電気回路論では導体間の電磁・静電誘導は相互インピーダンス・アドミッタンスとして模擬しており、放射電磁界による誘導現象を不得意としているため、電磁界結合における伝搬時間は考慮されていない。 本研究では、電気回路論的手法に基づく接地電極間における電磁界の伝搬時間を考慮した接地電極のシミュレーションモデルの開発を行う。開発したモデルは電気回路論をベースにして広く用いられている電力系統過渡現象解析プログラムEMTP(ElectroMagnetic Transients Program)において使用できるものとし、サージ解析の汎用性を図る。EMTPでは集中定数素子や分布定数線路は抵抗と過去の履歴を表す電流源で表される。従って相互抵抗を含む抵抗回路について電磁界の伝搬速度を考慮したモデルを開発すれば他の電気回路素子にも拡張が容易である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は棒電極などの小規模接地極からなる接地系を取り扱った。接地モデル開発のための理論構築およびEMTPソースコードの把握についても実施した。電流により大地電位上昇が決まるので、接地抵抗行列に伝搬時間を考慮し接地極流入電流を用いて大地電位上昇を求める必要がある。この手法では伝搬時間を考慮した計算が可能であるが、接点方程式を用いた回路解析法ではアドミッタンスを用いるため、抵抗行列の逆行列を求める際に行列式に伝搬時間を考慮した成分が含まれることから有効な計算手法でないことを明らかにした。そこで接地抵抗行列を自己接地抵抗行列と伝搬時間を含む相互接地抵抗行列からなる二つの成分に分解して考えることを提案した。前者は自己接地抵抗による電圧降下であり、後者は時間遅れが導入された他接地極からの誘導電圧を表している。これは自己接地抵抗と他接地極からの過去の履歴を表す電流から成り立ち、EMTPで用いられているDommel線路モデルと同様の模擬となっている。これによりEMTPのソースコードを修正することなく伝搬時間を考慮した接地抵抗過渡特性のシミュレーションが可能となる。接地極流入電流について理論値と提案モデルを用いた結果との比較を行い、提案モデルは理論値と良好に一致することを確かめた。 令和5年度は多導体からなる分布定数線路について導体間の電磁界伝搬時間を考慮した電気回路的モデルについて検討を行った。初めに多導体線路を半無限長線路とした場合について検討を行った。半無限長線路は無損失線路を仮定すると線路の特性インピーダンス行列で表すことができる。この場合、特性インピーダンス行列は前年度開発した接地抵抗モデルと同じ形式で表すことができるため、前年度の提案モデルを適用できる。提案モデルを送電線に適用し、有用性を確認した。さらにモード理論を適用して伝搬特性を考慮する手法についても検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究においては当初の研究計画通りほぼ実施できたので、公募時の研究計画に従って推進する。今後は導体間における伝搬時間を考慮した埋設地線モデルの開発を行い、提案モデルのEMTPでの使用またはソースコードへの組み込みによる大規模接地系への適用、実験的検証および簡易式の導出を実施する。 過去の研究で埋設地線2条における誘導性結合および抵抗性結合は自己サージインピーダンス計算式および商用周波数接地抵抗計算式における導体半径を埋設地線間距離に置き換えることにより測定結果と計算結果が良好に一致することを確かめている(S.Sekioka, 他, IEEE Trans. Electromagn. Compat., Vol. 63, No. 6, pp. 2065-2073, 2021)。この研究成果を採用することにより、研究課題は伝搬時間の模擬方法に絞られる。埋設地線は無損失線路と接地抵抗をその両端に分散させることにより模擬できることを明らかにしている(S.Sekioka, 他, IEEE Trans. Electromagn. Compat., Vol. 56, No. 2, pp. 444-453, 2014)。埋設地線間における伝搬時間模擬は小規模接地極の模擬方法と同じ手法で模擬できるため、接地抵抗における伝搬時間模擬方法についても同じであり、開発における大きな課題はないと考える。 接地網について、相互接地抵抗と自己接地抵抗から導出される定常接地抵抗の簡易式を検討し、どの程度の精度を有しているかについてついて検討を行う。開発したモデルは実験等により検証を行い、提案モデルの精度を確かめる。モデルの検証には2導体系埋設地線および接地網の単位関数応答測定結果を用いる。
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