Project/Area Number |
22K04117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富岡 智 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40237110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 有二 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80312388)
宮本 直樹 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00552879)
松本 裕 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40360929)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 三次元屈折率計測 / シア干渉計 / コンピュータトモグラフィー / 混合気体密度 / 複数波長 / 三次元計測 / トモグラフィー |
Outline of Research at the Start |
火炎の燃焼効率の改善,あるいは大気圧プラズマの医療や農業への応用では,複数の粒子種を含む混合気体の各粒子種の密度の三次元分布の把握が重要である。これを計測するために,入射方向を可変とする干渉計を用いて異なる波長に対する複数方向からの干渉縞画像を計測し,コンピュータトモグラフィーによりそれぞれの波長に対する屈折率の三次元分布を再構成し,それらから三次元粒子種密度を算出する方法を提案する。このための測定系の構築と,一連のアルゴリズムの開発を行い,提案手法の有効性を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
火炎の燃焼効率の改善等においては,複数の粒子種を含む混合気体の各粒子種の密度の三次元分布の把握が重要であり,これは複数波長に対する三次元屈折率分布の計測ができれば可能となると考えられる。その計測方法として,コンピュータトモグラフィー(CT)と,干渉計(CT再構成に必要な屈折率の光路に沿った波面の歪みを計測)を組み合わせた屈折率の三次元分布計測技術開発が本研究の目的である。特に干渉計については,異なる方向からの撮影に必要な移動にともなう振動に強いシア干渉計を用いる点が特徴である。 今年度は,シア干渉計により計測される干渉縞からの波面の歪みの算出の改良により実験に対する制約の緩和手法を開発した。一般的な測定対象を通過する物体光と通過しない参照光を用いる干渉計によって計測される干渉縞からは,いくつかの処理を通して,測定対象による波面の歪みを求めることができる。それに対して,シア干渉計では,物体光とそれ自身を平行移動した光を干渉させるため,一連の処理を経由して得られる結果は波面歪み自身ではなく,波面歪みの微分画像となっている。この微分された波面歪み画像に対して一種の積分操作を施せば原理的には波面の歪みが求められる。これを高精度に行うためには,物体の平行移動量を変えた4枚の微分画像が必要とされており,実験体系への制約は大きかった。本研究では2枚(測定対象よっては1枚)の微分画像から波面歪みの再構成が可能となるアルゴリズムを考案し,その有効性を証明した。 一方で,実験結果から,測定対象の屈折率の空間分布に起因すると考えられる光路の曲りによる干渉縞の強度エンベロープの非均一性も見られた。これは,干渉縞解析の精度の悪化を誘引する。異なる粒子種を含む場合に要求される干渉縞解析に関するおおよその精度は,非均一性に伴う誤差より1桁小さいため,この誤差の低減も新たな課題となることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究では複数波長による屈折率分布の測定を介して混合気体に含まれる複数粒子種の数密度計測の手法の確立を目的としている。その実現のためには,複数方向からの複数の波長に対してシア干渉計により干渉縞を計測を可能とするシステムの構築と,このシステムにより計測された干渉縞の解析アルゴリズムの開発が必要である。解析アルゴリズムは,大きく分けると,シア干渉計により取得された干渉縞から微分波面歪み画像の抽出,微分波面歪み画像から波面歪み画像の再生,複数方向からの波面歪み画像からの三次元の屈折率分布を再構成,さらに波長毎の屈折率分布から密度算出処理が必要となる。 計測システムの構築については,本年度まででほぼ完了した。また解析アルゴリズムについては,CTの再構成アルゴリズムも完成している。干渉縞からの波面歪みの算出については,実験に対する制約を緩和するアルゴリズムを開発し,論文発表を行った。この手法は,微分歪みの高精度再生のためには,従来は異なる移動量で計測した4枚の干渉縞が必要であったものを,これを2枚の(条件によっては1枚の)干渉縞から求める手法である。 一方で,観測される干渉縞に当初想定していなかった問題が見付かった。具体的には,測定対象の屈折率勾配に起因して光路が曲ってしまうことにより物体光の強度が局所的に大きくなり,これが干渉縞解析に大きな誤差が混入する問題である。この誤差は,本来の計測したい測定対象に起因する微分された波面の歪みに比べて10倍程度大きいため,この問題の解決は本研究のキーとなる。 これを解決するためには,干渉縞画像の補正を行った上で,干渉縞解析を行う必要があり,そのための補正方法の検討が必要である。 以上のように,想定していなかった干渉縞解析に関する新たな課題が見付かったため遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度であり,個々に検討してきたサブテーマを統合し,混合気体の粒子種密度の三次元分布計測手法を実証する予定であった。しかし,現在までの進捗状況に記したように新たに浮上した干渉縞解析による波面揺らぎ再生に,光路の曲りに起因する大きな誤差が含まれてしまう問題は,誤差の大きさが,本来測定したい複数粒子種の密度に由来する波面歪みより大きいため,避けて通れない問題である。 一方でこの問題は,本研究のみならず,屈折率勾配が無視できない測定対象の干渉縞画像の解析にはつきまとうものであり,今まで誤差の大きかった他の測定対象に関する干渉縞解析の高精度化にもつながり,この解決の意義は大きい。そこで,次年度は,この干渉縞解析の誤差低減のためのアルゴリズム開発を第一の目標とする。これが解決できない場合は,干渉縞形成時に光路の曲りが小さく誤差が小さい測定対象に変更する。これが解決した後に,最終目標の複数粒子種密度の計測を行う。 また,シア干渉計計測における干渉縞枚数に関する実験時の制約を緩和するアルゴリズム以外に,干渉縞からの波面解析には,実験条件のチューニングをしないと,精度が悪化することが判明し,そのチューニングをしなくても,精度を改善できるアルゴリズムを開発した。この論文発表も目的とする。
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