Project/Area Number |
22K04191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Kindai University (2023) Fukuoka University (2022) |
Principal Investigator |
笠原 健司 近畿大学, 産業理工学部, 講師 (00706864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 有機金属分解(MOD)法 / イットリウム鉄ガーネット(YIG) / スピン波 / マグノニクス / スピントロニクス / マグノニック結晶 / イットリウム鉄ガーネット / 有機金属分解法 / マグノン |
Outline of Research at the Start |
申請者はこれまでに,スピン波の伝搬媒質として有名な磁性材料であるイットリウム鉄ガーネット(YIG)の微細構造をドライエッチングを用いずに作製する電子線照射有機金属分解(EB-MOD)法を開発したが,生産性を向上させるために電子線(EB)の代わりに真空紫外線(VUV)を照射する手法を開発する.従来のMOD法にVUV照射工程を加えることで,一度の露光と現像の工程により,YIGをベースとしたマグノニック結晶やスピン波レンズのような複雑かつ極微細な三次元構造をもつスピン波デバイスの作製技術を開発する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スピン波の伝搬媒質として有名な超低磁気損失イットリウム鉄ガーネット(YIG)の高品質微細パターン形成手法である「電子線照射有機金属分解(EB-MOD)法」を発展させ,最新の紫外線露光技術を応用することで,生産性の大幅な向上を目指すものである.具体的には,電子線の代わりに真空紫外線(VUV)や極端紫外線(EUV)露光を用いて有機金属材料の有機基を分解することで,露光と現像,および熱処理工程のみで高品質なYIG微細パターンを得る.さらに,空間的に露光量を変調させて複雑な三次元パターンを形成する「グレースケール露光技術」を応用し,非常に複雑な三次元構造を持つマグノニック結晶やスピン波レンズを,たった1回の露光・現像工程で形成する技術の開発に挑戦する.2023年度は,研究代表者が近畿大学に異動したため,実験装置の移動とその立ち上げに時間を費やした.MOD法によるYIG薄膜の成膜で用いるランプアニール装置やドラフト装置などの移設,立ち上げを行い,その動作を確認した.成膜したYIG薄膜の動的磁気特性を評価するために,新たに強磁性共鳴(FMR)測定装置を購入し,液相エピタキシー(LPE)法で作製された単結晶YIG薄膜のFMRスペクトルを観測することにもできている.今後は,前年度までに最適化したMOD法に真空紫外線(VUV)照射と現像の工程を追加することでYIGパターンを形成し,今年度立ち上げたFMR測定装置でその動的磁気特性を確認することで,VUV照射MOD法で高品質なYIGパターンが作製できることを実証する.さらに,マグノニック結晶のような複雑な3次元構造を持ったYIGパターンの形成にも挑戦する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は研究代表者が福岡大学から近畿大学に異動し,実験装置の移動とそれらの再立ち上げ,動作チェックに多くの時間を費やしたため,研究の進捗状況は芳しくない.しかも,新研究室の立ち上げを手伝ってくれるような学部生や大学院生がおらず,研究代表者が立ち上げの全てを一人で行ったために研究活動を再開するまでに非常に長い時間を要した.それでも,MOD溶液を塗布するために必要な簡易ドラフトやスピンコーターの準備や,仮焼や結晶化アニールで必要なランプアニール装置の移設・立ち上げが完了するなど,高品質なYIG薄膜の作製が可能な環境を今年度中に整えることができた.さらに異動先の近畿大学でもYIG薄膜の動的磁気特性を評価できるようにするために,電磁石や高周波電源,ロックインアンプなどを新たに購入し,それらを組み合わせて強磁性共鳴(FMR)測定装置を立ち上げた.現在,そのFMR測定装置を用いて,市販の液相エピタキシー(LPE)法で作製された単結晶YIG薄膜のFMRスペクトルを観測することができている.真空紫外線(VUV)が大気に吸収されることからMOD薄膜へのVUV照射は真空中で行う必要があるが,VUV光源はすでに所有しているものの,VUV光源とMOD薄膜サンプルを真空中に収めてVUVをMOD薄膜に照射できる環境が整っていないので,早急にVUVを照射できる環境を実現する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,YIG薄膜の作製および,その動的磁気特性の評価ができる環境はほぼ整った.まずは,成膜条件の再現性チェックを行う.動的磁気特性の評価をFMR測定装置で行った後,福岡大学などの別の研究機関でX線回折(XRD)装置などを借り,結晶性の評価も行う.その後,真空紫外線照射によるYIGパターン形成を試みる.動的磁気特性と結晶学的特性については無構造のYIG薄膜と同様であるが,形状については段差計や原子間力顕微鏡を用いて評価する.真空紫外線の照射量とYIGパターンの形状の関係を調べ,空間的に真空紫外線の照射量を変調させることで複雑な3次元構造を持ったYIGパターンの形成を試みる.形状や結晶学的特性を確かめたのち,スピン波の伝搬特性をベクトルネットワークアナライザと高周波プローバを用いて評価し,構造の周期性に対応した周波数でのスピン波の遮断を観測することで,マグノニック結晶の形成を確認する.また,従来のMOD法で作製したYIG薄膜を微細加工して作製したマグノニック結晶の特性と比較することによって,紫外線照射MOD法で作製したマグノニック結晶の優位性も確認する.
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