RC造開口壁の崩壊形で分類する設計法の構築とそれを実現する壁付部材のモデルの提案
Project/Area Number |
22K04393
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 大介 新潟大学, 自然科学系, フェロー (90169508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50305421)
本多 良政 小山工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (80509919)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 鉄筋コンクリート構造 / 開口壁 / 骨組解析 / マルチスプリングモデル / 袖壁付柱 / 鉄筋コンクリート造 / 有開口壁 / 材端曲げばねモデル |
Outline of Research at the Start |
RC造耐震壁に開口がある場合,現行の構造設計においては,開口周比ξ0.4を境界に壁あるいは骨組に分類され,それぞれのモデルが適用される。その結果,わずかな開口周比ξの差により解析結果が大きく異なる場合がある。特に最大強度,変形機構および変形能力への影響が重大である。本来は開口周比によらず壁的な挙動をする場合はその挙動を表現しうる壁にモデル化し,骨組的な挙動をする場合には骨組にモデル化されるべきである。 本研究では,RC造開口壁の開口周比ξによらずに崩壊形を念頭においた連続的な設計法の構築を目指し,それを実現するために必要な壁付部材の解析モデルおよび部材種別の判定方法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,RC造開口壁の開口周比ξによらずに崩壊形を念頭においた連続的な設計法の構築を目指し,それを実現するために必要な壁付部材の解析モデルおよび部材種別の判定方法を提案することである。そのための補助事業期間中の研究実施計画としては以下の①~④の研究を計画している。すなわち,①解析モデルを構成する壁付部材を対象にした解析モデルの提案(加藤担当)と②開口の大きさや位置による各解析モデルの適用範囲を明確にした上での設計フローの完成(加藤担当)である。さらに,③その妥当性を検証するための有開口壁を対象にした静加力実験(中村担当)および④実験結果を補完するFEM解析(本多担当)である。①の実績については本稿の【現在までの進捗状況】で詳しく述べるが,以下に②~④の実績を簡潔に述べておく。 ②の実績については前年度の本報告ですでに報告しているが,査読付きの論文として2023年3月に日本建築学会構造系論文集「RC造袖壁付柱の終局変形と部材種別の評価法の提案」を発表している。当該論文では,実大試験体および高強度コンクリート試験体に着目し,既往の終局変形能評価式の精度の検討を行い,新たな提案を行っている。 ③の実績については査読付きの論文として2023年7月のコンクリート工学年次論文集に「主筋量の多いせん断破壊型RC柱の変形性能に関する実験的検討」を投稿している。他に日本建築学会の支部大会1編,大会論文に3編を投稿している。 ④の実績については2023年の日本建築学会の北陸支部研に「FEM解析によるRC造袖壁付柱の終局変形と部材種別評価式の検討-コンクリート強度,軸力,シアスパン比に関する検討-」を2023年11月の第16回日本地震工学シンポジウムに「開口部周辺の変形を考慮したRC造有開口袖壁付き柱の曲げ終局変形に関する研究」を発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況として,前述した①解析モデルを構成する壁付部材を対象にした解析モデルの提案(加藤担当)の成果を示す。成果は2023年の日本建築学会の北陸支部研究報告集に発表した「RC造有開口壁を骨組みモデルとして解析する際のeMSモデルの適用性-設計例を用いた検討-」と同大会論文に発表した「偏心を考慮したマルチスプリングモデルの有開口壁の要素である片側袖壁付柱への適用性―その1 片側袖壁付柱での検討――その2 有開口壁での検討―」があるが,ここでは後者の大会論文の内容を報告する。 当該論文では袖壁等付き部材から構成される骨組として解析する手法を検討する際の偏心を考慮したマルチスプリング(以下 eMS)モデルの有効性が検討されている。その1では片側袖壁付柱での検討を行い,その2では有開口耐震壁をその要素である袖壁等付き部材から構成される骨組として解析する場合の eMS モデルの適用性を検討している。eMSモデルとは対象有開口壁を再配置せずそのままの状態でのモデル化を試みるもので,断面の要素(鉄筋とコンクリート)をその位置でばねに置換した平面保持ばねを材軸上に並べた離散ばねモデルである。その結果以下の結論を得ている。 (1) eMSモデルの平面保持ばねの負担長さは,終局変形の挙動に影響を及ぼし,その長さを袖壁厚さの1.5倍(袖壁の圧壊高さ)とした時,最も精度よく実験値を再現できた。一方,シアスパン長さは大きな影響はなかった。 (2) eMSモデルは,最大耐力に関しては実験値を評価できており,現行で使用されている材端曲げばねモデルよりも良好な結果を示した。また,開口周比ξ,偏在係数λを変化させても,最大耐力に関しては,正解とした離散ばねモデルの結果を再現できた。終局変形に関しては平均的には実験値を再現できているが今後さらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの主要な結論は前述したが,本研究の目的である「RC造開口壁の開口周比ξによらずに崩壊形を念頭においた連続的な設計法の構築」のためにはeMSモデルが有効であることが分かりつつある。そこで今後はeMSモデルに焦点を当てて研究を推進していくが,一方で解決すべき問題として弾性剛性がある。さらにeMSモデルを適用することにより構造物の種局変形や開口周囲の補強筋が理論的に説明できる可能性があること分かった。そこで,今後の研究の推進方策として以下の3点を考えている。 (1)弾性剛性:有開口壁を骨組にモデル化する際は開口左右上下の部材は袖壁付き柱などにモデル化され,これらはeMSモデルで表現できる。一方,骨組の接合部にあたる部位は一般の柱―梁骨組とは異なりその面積が大きくなる。従って,接合部を剛とすると構造物としての弾性剛性が高くなってしまう。そこで,接合部の剛性をどのようにモデル化するかを検討する必要がある。具体的には一般の骨組で行われるような剛域を減ずる方法や直接接合部のせん断ばねを導入する方法を検討する予定である。 (2)終局変形:eMSモデルを用いると構造物の終局変形を評価できる。本研究でも前述した2023年日本建築学会大会論文「偏心を考慮したマルチスプリングモデルの有開口壁の要素である片側袖壁付柱への適用性―その2 有開口壁での検討―」で一部結果を示している。しかしながら,精度は十分ではなく,さらに検討する価値がある。 (3)開口補強筋:現在の耐震補強ではRC造増設壁が多用されている。また戸型開口を設ける場合も多く,その際多くの開口補強筋が要求されるために開口補強筋の配筋間隔を確保する必要があり,開口左右上下に柱型梁型を設けることになる。筆者はこの柱型梁型を不要と考えている。eMSモデルを適用すると合理的に必要な開口補強筋量を評価できる可能性があり,検討に値する。
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Report
(2 results)
Research Products
(26 results)