Project/Area Number |
22K04463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉知 徹 新潟工科大学, 工学部, 教授 (80441377)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 積雪都市 / 歩行空間網形成 / 雁木 / 雁木通り / 再連続化 / 公民連携 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、雁木通りを積雪都市に不可欠な歩行空間ネットワークと定義し、雁木・雁木通りを公民連携で現代版雁木通りとして再連続化させる際の現代的役割・効用と、多様化する雁木に対する地元地域理解とインセンティブを明らかにする。私有財産である雁木や雁木通りに関わるのは、地域住民や企業等地元関係者、行政内の複数部署にまたがる。関係者の意向を把握し、明らかにした現代的役割とともに今後の合意形成に活用できるようにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
積雪都市では古くから、降雪・積雪時期でも歩行可能な雁木通りが形成され、近世以降の歩行空間ネットワークを形成し、積雪・雨天時の歩行のほか、物品販売やコミュニケーションの場としても機能してきた。しかし、近年空き地の増加や建替えなどにより、雁木が不連続になる箇所が増え、歩行空間ネットワークとして機能しない状況になっている。 本研究は、雁木通りを積雪都市に不可欠な歩行空間ネットワークと定義し、雁木・雁木通りを公民連携で現代版雁木通りとして再連続化させる際の現代的役割・効用と、多様化する雁木に対する地元地域理解とインセンティブを明らかにすることを目的としている。私有財産である雁木や雁木通りに関わるのは、地域住民や企業等地元関係者、行政内の複数部署にまたがる。関係者の意向を把握し、明らかにした現代的役割とともに今後の合意形成に活用できるようにする。また、積雪都市においては私有財産である雁木を基礎とした歩行空間ネットワークをまちなか形成施策の一つとして位置づけることを目的としている。 具体的には、まちなか形成を進める際、私有財産である雁木・雁木通りで作られる空間を行政施策と民間整備の公民連携で実現できるのか、多様化した雁木で現代版雁木通りとして再連続化させられるのかの2点を明らかにする。 R5(2023)年度は、「現代版雁木通りに関する仮説の立証」を主眼に置き実施した。H29年度以降蓄積した「多様化した雁木の構法」等を基礎とし、雁木通りの現代的な役割として「雁木通りの小学校の通学路としての価値」の立証を実施した。通学路の安全性の確認を、交通事故の発生場所の特徴、雁木通りでの車の通過速度の把握、小学生・小学校教諭が感じる雁木通りの安全性について確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度は、雁木通りの現代的な役割として「雁木通りの小学校の通学路としての価値」の立証を実施した。「雁木通りの小学校の通学路の価値」として、「通学路の安全性」に着目し、交通事故の発生場所の特徴、雁木通りでの車の通過速度の把握、小学生・小学校教諭が感じる雁木通りの安全性について確認した。 交通事故の発生場所の特徴では、警察が所有する過去10年間の雁木通り沿いでの交通事故発生場所と事故の内容を分析した。事故の発生件数自体が多くないため、明確な特徴を定義し切れないが、雁木が途切れる交差点での発生があることが明らかとなった。 雁木通りでの車の通過速度の把握では、定点観測カメラを用いて計測した。雁木通りを通過する車の通過速度は概して速くなかった。これは雁木通りの道路幅員が広くないことと、雁木があることで狭く感じられることに起因すると考えられる。また登下校の時間帯は他の時間帯に比較し遅くなっていた。これは交通量が多くなるためと推測されるが、結果的に通学路の安全性を高めているとも言える。 小学生・小学校教諭が感じる雁木通りの安全性では、それぞれアンケート調査を実施し、雁木がない通学路と比較し検証した。小学生、小学校教諭それぞれの目線から、雁木通りの通学路の方が雁木がない通学路より交通安全性が高いと感じられていることを明らかにした。一方で、地域住民との挨拶などの交流による見守り安全性については、大きな差が見られなかった。 これらの結果から、雁木通りの現代的な役割として、安全な小学校の通学路の提供という価値を立証できたと考えられる。今後は、この結果を行政や教育関係者、地域住民に伝え、意向を明らかにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、まちなか形成を進める際、私有財産である雁木・雁木通りで作られる空間を行政施策と民間整備の公民連携で実現できるのか、多様化した雁木で現代版雁木通りとして再連続化させられるのかの2点を明らかにする。前者については、R5年度に明らかにした雁木通りの現代的な役割について、行政担当部署と雁木を所有する地域住民へ伝え意向を調査し明らかにしていく予定である。後者については、小学校教育関係者と雁木を所有する地域住民に伝え、通学路としての雁木通りの価値から雁木通りの再連続化に向け必要な論理を明らかにしていく予定である。 また、R6(2024)年度の当初の研究計画は「現代版雁木通りの再連続化に向けた公民連携の実現方策の試論検討と研究とりまとめ」としており、予定通り実施したい。R5年度までに立証した雁木通りの現代的役割に対する行政からの利点、地元地域からの利点を考察し、行政施策への位置付け・民間整備へのインセンティブ等の今後の公民連携の方策の試論を検討する。また、収集した情報等を元に研究を取りまとめ、成果を公表できるようにする。
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