Project/Area Number |
22K04545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
須藤 真琢 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙探査イノベーションハブ, 主任研究開発員 (80712851)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 月探査 / 低重力 / ローバ / 個別要素法 / テラメカニクス |
Outline of Research at the Start |
2030年代の月惑星探査に向けて、月や火星の低重力環境における地盤と探査車(ローバ)の相互作用の解明が重要である。そこで本研究では、個別要素法を用いた数値シミュレーション及びローバ車体や車輪を用いた走行実験によってローバの走行挙動を調べることで、低重力環境における地盤とローバの相互作用の解明を目指す。本研究の完成は、低重力環境で動作するローバの設計や制御の基盤を与え、将来の月惑星探査や月面基地建設などの宇宙利用に貢献するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
過去、複数の探査車(ローバ)が月や火星の地表面を走行しているが、月や火星の低重力環境が地盤とローバの相互作用に及ぼす影響には、未解明の部分が多く残されている。2030年代の月惑星探査に向けて、月や火星の低重力環境における地盤とローバの相互作用の解明が重要である。そこで本研究では、月や火星の低重力における地盤でローバの車輪に働く力とスリップ等の関係を詳細に調べることで、ローバの走行挙動を表現する相互作用モデルを構築することを目的とする。この目的達成のため本研究では(A)個別要素法(DEM)に基づいた数値解析、(B)ローバの車輪を用いた走行挙動解析、及び(C)地上フィールド実験によるローバ車体の走行解析に取り組んでいる。以下、当該年度の研究実績の概要を記す。 (A)において、様々な地盤試験を対象にDEMに基づいた数値解析を実施し、月の表土(レゴリス)におけるローバの走行挙動をシミュレーションするための適切な相互作用モデルを導出した。DEMを用いた数値解析では、地盤は多数の粒子で構成され、その粒子と粒子の間、および粒子と機械の間で生じる力に基づき、地盤と機械の挙動が推定される。この地盤と機械の相互作用の根幹となる地盤の圧縮性やせん断特性を調べる代表的な手法である、一軸圧縮試験やせん断試験に関するDEMに基づく数値解析シミュレータを構築した。月レゴリスの特性を模擬した試料であるレゴリスシミュラントを用いて実施した一軸圧縮試験やせん断試験の実験データと、様々な地盤パラメータや接触モデルを用いたシミュレータによる解析結果の比較を通して、実験結果を精度良く推定できるモデルを導出した。これによって、月面におけるローバの走行性能をより適切に評価することが可能となった。これは、ローバの設計開発に対して貢献する成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の(A)~(C)は、本研究着手当初に設定した項目であり、研究着手当初、(A)は、2022年度のみに実施予定の項目であった。2022年度の取組みを通して、月レゴリスの地盤特性をより忠実に再現した解析のために追加の解析が重要であることが明らかとなった。そこで、2023年度においても(A)のDEMに基づいた数値解析を継続することとした。 (A)において、ローバの走行性能の評価において根幹となる、地盤の圧縮性やせん断特性に関する数値解析シミュレータを構築し、実験データとの比較により、DEM解析における適切な地盤パラメータや接触モデルを導出した。この取組は、2022年度に得られた成果をより詳細に検討するために追加した項目であり、これにより、月レゴリスの地盤特性を忠実に再現してローバの走行性能を評価することが可能となった。また、(B)は、2022~2023年度に実施予定の項目であったが、上述の(A)に関する追加の数値解析に時間を要したため、2023年度は未着手となった。(C)は、当初の計画から2024年度に実施予定の項目である。 (A)の数値解析から本研究の目的である相互作用モデルの構築に目途が立ちつつある一方で、(B)ローバの車輪を用いた走行挙動解析は遅れており、本研究は、研究着手当初の研究実施計画に対してやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、(B)ローバの車輪を用いた走行挙動解析、及び(C)地上フィールド実験によるローバ車体の走行解析に取り組むことで、低重力環境における地盤とローバの相互作用の解明を目指す。 (B)について、ローバの車輪を用いた走行実験を行うことで、車輪が生み出す力とスリップの関係を実験的に明らかにする。当初の進捗目標に対して遅れているため、これから新たな試験装置を製作するのではなく、申請者らが所有する既存の試験装置を改造して試験を行うことで、今度の研究を加速させる。試験では、低重力環境下で車輪に加わる荷重を再現した状態で、スリップ量等を変化させて砂上で車輪を走行させる。(A)の数値解析から得られた推定値と実験値の比較を行うことで、低重力環境における車輪の力やスリップを推定可能なモデルを構築する。 (C)では、屋内砂地フィールドでローバを用いた走行実験を行うことで、ローバが車体として生み出す力やスリップの関係を実験的に明らかにする。(B)と同様に、(A)の数値解析から得られた推定値と実験値の比較を行うことで、提案する相互作用モデルの有効性を確認する。
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