ゼロエミッション船に対応する電力変換装置の吸熱式沸騰冷却システムに関する研究
Project/Area Number |
22K04562
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 24020:Marine engineering-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柴原 誠 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70628859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 秋生 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80294263)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 沸騰冷却 / 流動沸騰 / 限界熱流束 / 蓄熱材 |
Outline of Research at the Start |
海上輸送におけるカーボンニュートラルの実現に向けゼロエミッション船の開発が進められている.電気推進の高出力化に伴う電力変換装置の発熱や周期的な温度変動に関わる熱膨張による熱疲労が課題であり,水冷ヒートシンクの効率的な冷却方法が未だ明らかにされていない.そこで本研究では水冷ヒートシンクにおける冷却性能の向上を目的に,熱伝達が優れた沸騰冷却方式について検討し,熱負荷の変動を蓄熱材で吸熱・平滑にする吸熱式の沸騰冷却システムを構築する.
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Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り吸熱式センサーを試作し,相変化過程の検知を試みた.センサの性能試験としては有機系の糖アルコール類に加え無機系の水和塩において出力特性を取得し,相変化過程における電圧電流特性を取得した.性能試験の結果,蓄熱温度は電圧電流特性に影響を及ぼすことが判明し,有機系及び無機系の蓄熱材によって特性が異なることが明らかになった.また,これまでの熱分析結果を用いて蓄熱材の相状態を機械学習で分類及び予測し,エンタルピーによる固液分類プログラムの開発を行った.さらに熱伝導に優れた黒鉛を蓄熱材に添加し,過冷却が低下することを明らかにした.一方,昨年度に作成した電力変換素子の沸騰冷却システムに関する伝熱解析モデルを改良し,蓄熱材による吸熱式沸騰冷却システムの伝熱解析を実施した.昨年度に取得した蓄熱材の数理モデルを検討し,解析モデルはCOMSOL Multiphysicsで構築した.解析モデルには昨年度に測定した蓄熱材の比熱と潜熱量を組み込み,固液二相の溶融連成シミュレーションを実施した.解析の結果,パワー半導体素子の発熱に応じて蓄熱材の固相率及び液相率が予測でき,潜熱蓄熱材が電力変換モジュールの熱抵抗に影響を及ぼすこと明らかにした.沸騰冷却技術については,数値シミュレーションにより水の管内ボイド率と熱伝達率を予測し,昨年度に取得した実験データとの比較することで解析モデルの妥当性を確認した.また,水よりも低沸点のFC-72やエタノールの沸騰熱伝達及び限界熱流束を水平強制流動沸騰実験により計測した.昨年度と同様に非沸騰から沸騰までの広範囲の実験を実施し,試験部にステンレス製の単管を設置することで管内流速及びサブクール度が限界熱流束に及ぼす影響について調べた.実験の結果,限界熱流束の計測値は流速の増加に応じて上昇するが,高流速になると核沸騰区間が短くなり限界熱流束が低下することが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり吸熱式センサーを試作し,蓄熱材の相変化過程を検知できることを確認した.センサーの性能試験では有機系及び無機系の蓄熱材における電圧電流特性を取得し,蓄熱温度が出力特性に影響を及ぼしていることを明らかにした.また,相変化過程を定量的にモニタリングする上で必要なデータが取得できたことからも最終年度に向けて着実に研究が遂行できており,吸熱式センサーにより相変化過程を多角的に評価できる見通しが立っている.また,試験流体においても純水だけでなく低沸点において電気絶縁性の優れたFC-72や高濡れ性のエタノールにおいても非沸騰から沸騰領域の広範囲において系統的に流動沸騰実験を行い,冷却流路側の沸騰特性についても限界熱流束に至るまでの伝熱過程を調べることができた.沸騰冷却に必要な沸騰熱伝達率及び限界熱流束を取得するだけでなく,既存のRohsenowの式やロックハート・マルティネリパラメータを用いて調べ,沸騰開始点や限界熱流束における流動様式についても明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
開発している吸熱式センサーは,試料の固相と液相でセンサー出力が異なることから,固液の相状態の判別が期待できる.今後は交流インピーダンス法を用いて固液の判別を試みる.また,取得したCol-Colプロットから溶液抵抗を調べるとともに,機械学習を用いてインピーダンスの予測及び固液分類に取り組む.さらに,蓄熱材の適用範囲を広げ低融点のパラフィン系の蓄熱材においてもセンサーが適用可能できるかを検討する.一方,伝熱解析の結果より,吸熱式センサーの熱伝導率がヒートシンクに比べて小さいため,素子-ヒートシンク間の熱移動を阻害し,熱抵抗が増加することが明らかになった.そのため,吸熱式センサーの配置を再考し,ヒートシンクに内挿することで熱抵抗の低減に取り組み,ヒートシンクの機能性向上に努める.
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)