Project/Area Number |
22K04823
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 琢也 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (60873891)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | カーボンフリー水素合成 / ブルー水素 / CO2分離回収 / メタン水蒸気改質 / 水素合成 / カーボンフリー / CO2吸収剤 / 溶融イオン / 固液セパレーター / 多孔質ナノポーラス |
Outline of Research at the Start |
本研究では,天然ガスから水素を合成するメタン水蒸気改質法において,その反応副生成物であるCO2を改質器から直接そして連続的に分離回収することを特徴とする新しい溶融イオン循環型カーボンフリー水素合成プロセスの開発を行う。特に,高温で流動性を有する新しい溶融イオン系CO2吸収剤を用い,それをメタン改質触媒粒子が充填された改質反応器内を液体循環させることにより,メタン改質反応系からのCO2の直接除去を行う。このCO2除去にともなう化学平衡シフト効果により,水素生成効率の向上,プロセス工程数の削減,そしてCO2排出レス化を実現し、社会実装化へ向けたスケールアップと反応性向上へのの技術課題を整理する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化石燃料を原料にしながらもCO2を排出することなく水素合成を行う、“ブルー水素”合成プロセスの確立を目標とし、特に、我々が近年世界で初めてその実現に成功した高温-液体型のCO2吸収剤である“溶融アルカリ金属ホウ酸塩系CO2吸収剤”を用いた「連続CO2吸収強化型メタン水蒸気改質法(SE-SMR法)」の技術開発を行う。この新しいカーボンフリー水素合成法は、メタン水蒸気改質および水性ガスシフト反応が進行する高温・高湿の反応条件下で、水素と同時に生成されるCO2をその場で連続的に回収除去することを特徴とし、水素の高効率向上とCO2回収コストの大幅削減が可能となると期待される。 この新しい水素合成プロセスは、原料のメタンと水蒸気が導入されメタン水蒸気改質反応を進行させる触媒反応槽と、高温-液体型のCO2吸収剤が連続循環され副生成CO2が吸収除去されるCO2回収槽、そして、この両者を接続する気液分離セパレータの3つの部分から構成される。このそれぞれの構成材料の最適化、反応挙動の動的ダイナミックス解析を進めることで、その反応システムの高度化が可能となる。これまでに特に、使用されるCO2吸収剤のガス吸脱着特性、動的レオロジー特性、表面濡れ性などに関する材料物性の評価解析を実施すると同時に、複数の金属酸化物ポーラス膜からなる気液分離セパレータの基礎的検証を進めてきた。その結果、本研究でCO2吸収剤として使用されたLi-Na共晶型オルソホウ酸塩は、当初想定されていたよりも遥かに優れた液体流動性と表面濡れ性を有することが明らかとなり、連続CO2分離回収システムへの高い適用性が確認された。また気液分離セパレータとして、特に高い溶融イオン分離性を有するNiO多孔質膜が有効であることが明らかとなった。今後これらの技術知見をもとに、さらなる反応システムデザインの最適化と特性評価を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、連続CO2吸収強化型メタン水蒸気改質法の開発を目標に、水蒸気改質反応槽、CO2吸収除去槽、気液分離セパレータの3つの構成要素からなる、新たなカーボンフリー水素合成プロセスの新規開発を行う。これまでは特に、その最適な構成材料の選定を進めるべく、特に使用されるCO2吸収剤および気液分離セパレータに関して、その反応挙動の解析評価を実施してきた。 まずCO2吸収剤については、本プロセスの大きな独自性の一つである吸収剤の連続循環システムを実現するために不可欠な高い液体流動性を検証すべく、高温の反応条件下での動的レオロジー特性評価を実施した。その結果、この吸収剤の動粘性特性は、その吸収剤の構成元素組成に大きく依存し、特に高いCO2吸収性を示すLi-Na共晶型オルソホウ酸塩において、従来予想されていたよりも遥かに高い液体流動性(低粘性)を示すことが分かった。そしてこの液体流動性はCO2吸脱着量によらずその変化は極めて小さいことが確認された。そしてこの詳細な動的IRスペクトル分析により、この安定した液体流動性は、溶融イオン中の特異なイオン間相互作用の発現によるものであることが明らかとなった。本成果は、開発ターゲットのCO2吸収剤の連続循環システムを低エネルギーで安定的に動作させる上で、非常に重要な技術ブレークであると考えられる。また上記と並行して検討を進めてきた気液分離セパレータについては、特に複数の異なる金属酸化物ポーラス膜を作成し、その溶融イオン分離性、ガス透過性について特性評価を進めてきた。その結果、特にNiO多孔質膜が優れた溶融イオンの分離性を有し、目的とする気液分離セパレータとして好適に使用可能であることが明らかとなった。以上の結果、現在までに、本研究で実現を目指す新たな水素合成プロセスに関する構成材料の選定とその物性評価について、大きな技術的進捗を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
以上の取り組みにより、本研究の研究ターゲットとして開発を進める連続CO2吸収強化型メタン水蒸気改質プロセスについて、特に、その重要な構成要素であるCO2吸収剤と気液分離セパレータに関して、その材料の選定と最適化を進め、それらの基礎的物性について明らかとすることが出来た。今後はさらにこの新プロセスの実現へ向け、メタン水蒸気改質反応槽の最適化を進めていく予定である。このメタン水蒸気改質槽は、改質触媒として機能する固体触媒ペレットが充填された固定床型反応器からなり、その中に反応原料となるメタンガスと高温水蒸気の混合ガスが導入されることにより、H2とCOそしてCO2が生成される反応が進行する。この時、混合ガスの組成、分圧、固体触媒の種類、触媒の充填配置、反応ガス経路、反応温度等の反応パラメータにより、その反応効率、選択性は大きく変化する。また本研究の開発ターゲットであるCO2吸収強化型プロセスにおいては、このCO2吸収性、吸収効率、吸収槽配置によっても、その反応性が大きく影響を受けるものと予想される。 以上の観点から、今後はまず基本となるメタン水蒸気改質槽を実際に作成し、その反応評価システムのセットアップを行う。この反応評価システムは、導入反応ガスのガス流量、水分量の制御システムと、生成ガスから未反応水蒸気の凝縮除去器、生成ガスの組成、濃度測定をガス分析装置からなる。そしてその後、各種の固体触媒を用いた固定床型改質槽について、その触媒種、充填条件、反応ガス条件、CO2吸収条件等を条件パラメータとしてその反応性評価を進めることで、その反応システム最適化を進める。そしてさらに、ここで最適化されたメタン改質槽とCO2吸収槽、気液分離セパレータを最終的に統合することで、目的とする連続CO2吸収強化型メタン水蒸気改質プロセスの実現を目指す。
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