新規ゼオライトの特異な細孔構造を活かした高性能触媒の創製
Project/Area Number |
22K04825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
窪田 好浩 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30283279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | チタノシリケート / アルミノシリケート / 触媒 / フェノール酸化 / ヒドロキノン / 形状選択性 / YNU-5 / カテコール / 新規ゼオライト / 細孔構造 |
Outline of Research at the Start |
新規ゼオライトYNU-5を軸として,骨格アルミニウム(Al)をチタン(Ti)に変換することによる新規なチタノシリケート触媒を開発し,特徴のある部分酸化触媒性能を発現させる。MCM-68および類縁体YNU-2ですでに得られている知見を活かし,YNU-5に適切なポスト処理を施すことで,完全に新規なチタノシリケート系触媒材料であるTi-YNU-5を調製する。その過程で,触媒活性点の分布を各種分光学的手法により緻密に調べ,計算機化学を併用して骨格内での活性点分布の違いによるエネルギー差を検討する。これらの要素を統合することで,活性点分布と触媒性能の相関を明らかにし,高選択的な新規固体触媒を創製する。
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Outline of Annual Research Achievements |
YNU-5ゼオライトはアルミノシリケートに属し,Si/Al=9 と比較的Al含量が多い。Alの脱離処理(脱Al処理)によって欠損部位を意図的に形成し,欠損部位にTiを導入することで,チタノシリケートであるTi-YNU-5の調製を図った。 まずAl-YNU-5の水熱合成を行った。その後,焼成処理,二度の硝酸処理による徹底的な脱Alと安定化,気相TiCl4処理を順に施して[Ti]-YNU-5を得ることに成功した。さらに熱処理を施して疎水化したものを[Ti]-YNU-5_calと表記する。反応は,触媒,基質,酸化剤を耐圧管に加えて撹拌することにより行った。フェノールの酸化は100℃,10分間の条件で行った。ただし,添加剤(≒共溶媒)を加える場合は,70℃,60分間の条件で行った。 フェノール酸化反応の液相は,大過剰のフェノールが溶媒を兼ねるとともに,過酸化水素水由来の水が共存する系であるが,それ以外の溶媒を添加する場合は「共溶媒」と呼ぶこととする。共溶媒を加えない系において,[Ti]-YNU-5_calは既存の触媒であるTS-1と同程度のTONを示した。また,生成物のうちオルト体であるカテコール(CL)が優位に得られた。一方,炭素数が3~4のアルコール体(C3~C4アルコール)を共溶媒とした系では,パラ体であるヒドロキノン(HQ)が優先的に得られた。立体規制が強まったことと,粒子外表面の反応が抑制されたことにより,形状選択性が向上したと解釈できる。なお, [Ti]-MCM-68 (MSE) 触媒5)の場合は,共溶媒としてEtOHが高いパラ選択率向上効果を示したが,[Ti]-YNU-5_calにおいてはアルキル基がより嵩高いC3~C4アルコールが効果的であった。[Ti]-YNU-5_cal触媒は,アルケンのエポキシ化反応に有効であり,特にシクロオクテンの反応において威力を発揮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti-YNU-5の調製法に工夫を加えることにより,従来よりも優れた手法(他のゼオライトにも適用可能な方法)を見出した。フェノールの酸化触媒として使用したところ、触媒性能は期待したほどではないことがわかった。溶媒効果を活用することで、結果を改善することができた。アルケンのエポキシ化にも有効であったが、直鎖状アルケンに対しては従来型触媒と同等の性能であった。環状アルケンに対しては,従来型触媒よりも優れており,特にシクロオクテンのエポキシ化に対して明らかに優れた触媒性能を示した。 現時点でのこれらの結果は,当初我々が目標にしていたレベルに到達しているため,概ね順調であると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討の過程で予期せぬ進展が見られた。そこで見出した新たな手法(二段階酸処理)と,当初から計画していた方向性(階層型YNU-5の適用)を加味した上で,高性能触媒の開発を達成したい。具体的には,塩基処理によってYNU-5の粒子にメソ孔を形成する。メソ孔は最初はランダムで良いが,規則性を持たせることも検討する。メソ孔表面の親水性/疎水性を制御する。Tiの位置とTサイトとの関係を明らかにし,Ti導入位置の制御につなげる。 以上の課題を解決していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(43 results)