Project/Area Number |
22K04844
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
池野 慎也 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (20437792)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | LEAペプチド / LEAタンパク質 / 大腸菌 / 塩ストレス耐性 / 分子シールド機能 / 定量的構造活性相関解析 / 環状ペプチド / ストレス耐性 / 分子シールド |
Outline of Research at the Start |
細胞に乾燥耐性を付与するLEAタンパク質の配列をベースにLEAペプチドを設計し、それを大腸菌内で発現させると様々なストレスに対して耐性が向上することを発見し報告してきた。しかし、LEAペプチドが細胞内でどのように機能してストレス耐性を向上させるのかは明らかになっていない。本研究では以下の研究項目を実施する: (1)LEAペプチドの機能部位の特定と分子シールド機能の解明 (2)変異導入および環状LEAペプチドの発現による高機能化 LEAペプチドが細胞内で分子シールドとして機能することを明らかにし、その機能を発展させることで、ストレス耐性向上の新しい方法論および技術の確立を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
LEAタンパク質は細胞膜の構造を安定化させ、過剰なイオン毒物から保護し、最終的に細胞内浸透圧の調整をすると報告されている。これは、発現したLEAタンパク質がストレス環境下において無秩序な構造からコイルドコイルを形成し、この構造形成により保護機能(分子シールド)が発揮していると考えられている。本研究では、塩ストレス環境下において、その微小ドメインであるLEAペプチドが細胞内で『分子シールド』として機能することを明らかにし、その機能を向上させることを目的としている。 初年度は、LEAペプチド配列のアミノ酸を一つずつ非極性のアラニン (A)に置換するアラニンスキャンおよびグリシン (G) に置換するグリシンスキャン実施することで、塩ストレス耐性におけるペプチド内の機能部位の特定を行った。 本年度は、ストレス耐性が著しく変化した機能部位に対して、網羅的に変異をかけたペプチドを用いて塩ストレス耐性試験を行った。その結果、LEAペプチドよりもストレス耐性が2倍ほど向上する変異ペプチドが得られた。 得られた配列と活性のデータから定量的構造活性相関(QSAR)解析によりモデル式の構築を行った。変異体LEAペプチドの構造は分子動力学的による安定構造を探索し、最安定なものをペプチドの構造とした。得られた構造より記述子(構造に関する特徴量)を計算し、塩ストレス耐性と記述子の相関性を分子モデリングソフトウェアMOEに搭載されているAutoQSARを用いて算出し、部分最小二乗(PLS)回帰モデルおよび主成分回帰(PCR)モデルを作製した。構築したモデル式を用いて、ランダムで構築した新規ペプチド375種を予測した。活性が高いと予測されたペプチドを用いて実験で評価したところ、予測モデルの有用性が検証された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、LEAペプチド内のカギとなる配列を確認し、その網羅的変異体を作成して塩ストレス耐性を評価した。その結果、オリジナルのLEAペプチドに比べて塩ストレス耐性が約2.2倍上昇したペプチドを見出した。 得られた配列と塩ストレス耐性向上との関連を明確にするため、QSAR解析により構造情報からペプチド活性値を予測するPLSおよびPCR回帰モデルを構築した。解析の結果、PLSでは分子表面の情報に関する記述子が多く選抜されていたが、PCRでは様々な記述子が混在したモデルであった。また、構築したモデル式を用いて375種の新規ペプチドの活性値を予測した。予測結果、オリジナルのLEAペプチドに比べ、ストレス耐性を約2倍向上させるペプチドがいくつか存在した。約3倍向上させるペプチドも一つ確認された。予測スコアが高いペプチド10個を選抜し、塩ストレス試験を行った結果、10個中8個のペプチドがストレス耐性を有意に向上させる結果となり、予測モデルのある程度の有用性が検証された。 一方、環状化するペプチドの技術に関しては、大腸菌を用いた評価を行い、ペプチドを細胞内で環状化することでストレス耐性を向上させた結果を得ている。 上述のように本年度は網羅的に変異導入により、LEAペプチドの機能に関わる配列を特定し、そこへさらに変異を導入することにより高い活性を有するペプチドを見出した。そして、細胞内でペプチドを環状化させる技術を確立し、線状のペプチドと比較し活性が向上していることを確認した。さらに得られた配列と活性のデータから定量的構造活性相関解析によりモデル式の構築を行い、一定の活性を有するペプチドを予測できている。以上のことから、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ポイントミューテーションを行った変異ペプチドのデータを用いて解析を行ってきた。このデータはアミノ酸配列を一部分しか変えておらず、データに偏りが生じている可能性がある。偏ったデータは過学習を起こす可能性が高くなり、予測性能を低下させることがある。ペプチドの配列にもう少し幅広く変異を導入し、得られた活性データを用いてモデル式の精度を高める。これらの解析によりペプチド構造と塩耐性活性との相関を明確にすることで、LEAペプチドが分子シールドとして機能しているのか明らかにしていく。 一方で、これまでに得られた高い活性を有するペプチドを用いて、環状化させたペプチドを用いた検討もおこなっていく。
|