Project/Area Number |
22K05046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安東 秀峰 山形大学, 理学部, 講師 (00754946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | ナノカーボン / リチウムイオン伝導 / 電子・核波動関数 / テラヘルツ域分光スペクトル / ナノチューブ / フラーレン / 電子状態 / 核波動関数 / カーボンナノチューブ / イオン伝導 / テラヘルツ分光スペクトル |
Outline of Research at the Start |
基礎科学分野と材料工学分野の双方で近年,機能性物質のホスト・ゲスト物性が重要な研究テーマとなっている.本研究ではカーボンナノチューブの細孔内のリチウムイオン伝導に着目し,電子と原子核の量子性がいかに関連付いてリチウムイオン伝導が起きるか理論的に明らかにする.ミクロのメカニズムとそれを裏付けるマクロの分光スペクトルを提案し,柔軟な量子状態が鍵となるホスト・ゲスト科学の開拓とデバイス理解の深化をもたらす.
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Outline of Annual Research Achievements |
多孔性物質が分子やイオンを細孔中に取り込み多様な物性を発現するホスト・ゲスト物性が,近年,基礎科学的・材料工学的見地から注目されている.本研究ではナノカーボン材料の典型としてカーボンナノチューブ(CNT)に注目し,その幾何的構造と導電性の違いがLi伝導メカニズムにいかに影響するか,量子状態の観点から理論的に詳らかにすることを目指している. 令和5年度は,前年度の予備的な計算結果を踏まえ,金属型及び半導体型CNTのモデル構造を改良した.具体的には,周期境界条件を課した密度汎関数理論(DFT)計算で得た金属型・半導体型CNTの安定構造を元に,細孔骨格が点群の対称性を厳密に保持するよう独自の理論プログラムで精密化した.精密化前後で構造の差異は十分に小さく,また精密化後の構造もDFT計算で安定構造と判定されたことから,Li内包CNTのモデルハミルトニアン構築およびLiの核波動関数計算に点群の知見を利用できる.なお,構造の精密化や基底関数の違いがバンドギャップに与える影響は軽微であった.Liの細孔内運動が及ぼすバンドギャップへの影響について,スーパーセルを用いた先行研究の再現性検証に現在取りかかっている. Liの細孔内運動に伴うポテンシャルエネルギーの変化を調べるため,前年度までに開発した理論プログラムでは,擬0次元細孔(フラーレンの空孔等)に適した球面座標グリッドを用いていた.CNTは円筒状の擬1次元細孔を持つため,新たに円筒座標グリッドをプログラムに実装した.この拡張により,Li内包CNTのモデルハミルトニアン構築とLiの核波動関数計算に必要な理論プログラムの全てが整備されたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
周期境界条件を課したDFT計算の技術的課題を克服し,金属型及び半導体型CNTのモデル構造を構築した状況である.DFT計算で得た安定構造が想定以上に歪んでおり,点群の対称性を保持するように構造を精密化する必要が生じた.この問題により,モデル構造の構築・検証に当初予想よりも時間を要し,研究課題全体の進捗管理の観点から,後述の通り,DFTB法の利用を取りやめることにした.一方,Li内包CNTのモデルハミルトニアン構築とLiの核波動関数計算に必要な理論プログラムは整備済みであり,また予備的研究に位置づけられるLi内包フラーレンの計算で理論プログラムの信頼性も担保されている(令和5年度,学会発表3件).以上の状況を総合的に勘案し,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
Liの細孔内運動が及ぼすバンドギャップへの影響について先行研究の再現性を確認後,スーパーセル内に定義した円筒座標グリッド上でLiを移動させ,DFT法によるポテンシャルエネルギー計算と修正モース関数によるモデル化を行う.このモデルに独自開発した理論プログラムを適用することで,Liの核波動関数とテラヘルツ域吸収スペクトルを計算する.吸収スペクトルの計算には,擬0次元細孔から擬1次元細孔へ理論プログラムを修正する必要がある.研究課題の核心から外れるDFTB法の利用(当初3年目に予定)を取りやめ,テラヘルツ域分光スペクトルに関する理論プログラムの開発に優先的に取り組む.
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