Project/Area Number |
22K05063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鍬野 哲 東京工業大学, 理学院, 助教 (50733531)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ヨウ化セレネニル / 生体反応中間体 / セレノ環化反応 / 窒素求核型連続環化反応 / セレノ官能基化 / ポリエン環化 / 連続環化反応 / セレン / ヨウ素 / 生体必須超微量元素 |
Outline of Research at the Start |
生体必須超微量元素であるセレンとヨウ素を含む酵素反応活性種ヨウ化セレネニルは、人工系では不安定な化合物である。所属研究室では独自に開発したキャビティ型分子骨格を用い、ヨウ化セレネニルを安定に合成・単離することに成功している。本研究では、生体機能で鍵因子となっている高周期典型元素間(セレン-ヨウ素)結合の特性の解明と、ヨウ化セレネニルの高いπ結合親和性を活かす窒素求核型ポリエン環化反応の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究では、生体反応の活性中間体ヨウ化セレニネルと単純オレフィンとの反応についてその平衡挙動を調査し、得られた熱力学パラメーターを基に環状オレフィンに対する酸素求核剤と窒素求核剤の導入反応を開発した。本年度は、更なる展開として、窒素求核部位をもつポリエンの連続環化反応を検討した。窒素求核部位をもつポリエンの連続環化反応は、多くの報告がある酸素求核部位や炭素求核部位をもつポリエンの環化反応に比べて圧倒的に例が少なく、難易度の高い分子変換である。また、窒素求核部位をもつポリエンの連続環化反応に成功した報告の多くは強酸を用いたプロト環化反応であり、環化体からの更なる誘導化に課題を残している。窒素求核部位の保護基もトシル基に限定されている。はじめに、アセチル基をもつポリエンに対し、末端オレフィンの活性化剤として単離したヨウ化セレニネルを加え、連続環化反応の溶媒と反応温度を検討した。種々の検討の結果、アセトニトリル/ジクロロメタンコン溶媒を用い、還流温度で反応を行うことで、目的の連続環化体が単一のジアステレオマーとして中程度の収率で得られることを見出した。連続環化体の相対立体配置は単結晶X線構造解析により決定した。また、反応促進のための求電子性ハロゲン化剤を検討し、N-ヨードスクシニミドが最適であった。窒素上の置換基については、アセチル基に加え、Boc基、Fmoc基、Alloc基、Teoc基といったカルバメート系保護基が適用可能であった。官能基許容性については、強酸を用いたプロト環化反応の反応条件では共存が困難なヒドロキシ基やカルボニル基が共存可能であった。ベンゼン環上に電子供与基や電子吸引基をもつ基質も適用可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体反応中間体であるヨウ化セレネニルを用いたπ結合の活性化を基盤とし、既存の反応剤では困難であった窒素求核型セレノ連続環化反応を開発したため。また、トシル基に限定されていた窒素上の置換基について、強酸に弱いBoc基をはじめ、様々なカルバメート系保護基が適用可能であることを明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
セレノ連続環化反応で導入したセレニド部位を足掛かりに、連続環化体からの更なる分子変換について検討する。酸化的な脱セレン化反応によるオレフィン体への変換では、オレフィン体と共に生成するセレネン酸の回収を検討する。一般的にセレネン酸は不安定化学種であり、速やかに二分子間反応を経て失活するが、所属研究室で開発した立体保護基を活用することで長寿命化が期待される。また、セレネン酸からヨウ化セレネニルへの変換を検討し、ヨウ化セレネニルの回収・再利用を行う。最終的に、セレノ連続環化反応と酸化的脱セレン化を組み合わせることで、これまでに例のないヨウ化セレネニルの触媒化を検討する。
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