Project/Area Number |
22K05305
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 直子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20357924)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | エネルギーキャリア / 尿素 / 燃料電池 / 水素製造 |
Outline of Research at the Start |
低炭素社会の実現に向け、水素エネルギーの利用と、貯蔵・運搬のためのエネルギーキャリアの開発が急務である。本研究では、無害な化合物で肥料や保湿剤、ディーゼル排ガス浄化剤などとして広く利用されている尿素を活用したエネルギー変換システムの構築を目的とする。尿素のエネルギーを利用する上で鍵となる尿素の電気化学的酸化反応を効率的に進めるための高活性触媒を開発し、直接形燃料電池や高効率水素製造に応用する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
低炭素社会の実現に向け、水素エネルギーの利用と、貯蔵・運搬のためのエネルギーキャリアの開発が急務である。本研究では、毒性も引火性もなく貯蔵や輸送が容易な化合物であり、肥料や保湿剤、ディーゼル排ガス浄化剤などとして広く利用されている尿素に着目した。尿素の安全性と未利用のエネルギー資源としての魅力から、エネルギーキャリアとして尿素を直接形燃料電池や高効率水素製造に応用する新しいエネルギー変換システムを実現するための基盤形成を目的として研究開発に取り組んでいる。 当該年度は以下の3項目について検討を進め、一定の成果が得られた。 1.尿素の電気化学的酸化反応のための触媒電極の作製:尿素の電気化学的酸化反応に対して優れた活性を有するニッケル系酸化物触媒の活性向上を図るとともに、直接形燃料電池や水電解装置に応用する際に必要な、高性能電極の作製に成功した。 2.直接形燃料電池への応用:アニオン交換膜を電解質に、1に記載の高性能電極をアノードに用い、尿素溶液を直接アノードで酸化させて発電するアニオン交換膜形燃料電池の発電を実証した。 3.高効率水素製造への応用:アニオン交換膜を電解質兼隔膜として、1に記載の高性能電極をアノードに用いて作製したアニオン交換膜形水電解装置において、水電解性能の向上を図った。さらに、アノード側から尿素溶液を供給することにより、通常の水電解に比べて低電圧、高効率の水素製造の可能性を実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、尿素のエネルギーを利用する上で鍵となる尿素の電気化学的酸化反応を効率的に進めるための高活性触媒を開発し、直接形燃料電池や高効率水素製造に応用することを目的としている。 前年度は、直接形燃料電池や水素製造に共通する反応である尿素の電気化学的酸化反応のための高活性触媒の探索を中心に進め、当該年度は前年度に見いだしたニッケル系酸化物触媒の活性向上を図るとともに、直接形燃料電池や水電解装置に応用する際に必要となる高性能電極の作製に成功した。 さらに、上記の高性能電極を直接形燃料電池や水素製造に応用するため、アニオン交換膜を電解質とする燃料電池と水電解装置を作製し、それらの性能評価を進めている。上記の高性能電極をアノードに使用した燃料電池および水電解装置において、アノード側から尿素溶液を供給することにより、直接形燃料電池の発電と水素製造の高効率化をそれぞれ実証している。 以上のように、尿素の電気化学的酸化反応に関する基礎的検討から、その応用プロセスである直接形燃料電池と水電解への展開まで取り組んでいることから、おおむね順調に進捗していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の3項目についてさらに研究を推進する。 1.尿素の電気化学的酸化反応のための触媒電極の高性能化:尿素の電気化学的酸化反応を小さい過電圧で進行させるための高活性触媒を使用して電極を作製する際、触媒の種類、バインダーの種類や添加量、電極基板への塗布方法や温度など、種々の条件を検討し、電極の高性能化を図る。 2.直接形燃料電池への応用:電解質にアニオン交換膜、アノードとカソードに非貴金属触媒を用いたアニオン交換膜形燃料電池において、尿素およびその関連化合物を燃料としてアノードに供給した場合の発電性能向上を図る。 3.高効率水素製造への応用:アニオン交換膜形水電解装置において、より高い尿素酸化活性を有するアノード触媒と、非貴金属系のカソード触媒を検討することにより、尿素溶液を用いた水素製造のさらなる高効率化を図る。 以上のように研究を進めて得られた研究成果を取りまとめ、学会や誌上での発表を通じて外部へ積極的に発信するように努める。
|