Project/Area Number |
22K05654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
市村 和也 香川大学, 農学部, 教授 (70321726)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 病害抵抗性遺伝子 / 転写後調節 / DEAD-box RNAヘリカーゼ / 核RNAエキソソーム / 抵抗性遺伝子 / 病害抵抗性 / 核エキソソーム / 防御反応 |
Outline of Research at the Start |
核エキソソームは、遺伝子の転写後調節段階において異常なRNAの除去などで重要である。核エキソソームの構成因子hen2の変異体では、抵抗性遺伝子RPS6の3′UTRに異常な転写物が蓄積し、RPS6を介した病害抵抗性が低下する。転写物の蓄積とRPS6の機能低下は相関するが、直接の原因であるかは不明である。HEN2が制御する抵抗性遺伝子の転写後調節機構の知見を得るため上記の問いを分子生物学的に検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナMAPキナーゼ経路、MEKK1-MKK1/MKK2-MPK4経路の欠損は、NLRタンパク質のRPS6とSUMM2の活性化により、矮性を伴う防御反応表現型を示す。申請者は、この表現型のサプレッサーとしてRNAの品質管理で重要な核エキソソームの構成因子HEN2を同定した。核エキソソームは、遺伝子の転写後調節段階において異常なRNAの除去、プロセシング、ターンオーバーなどで重要である。RNAヘリカーゼをコードする核エキソソームの構成因子hen2 の変異体では、抵抗性遺伝子RPS6の3′UTRに異常な転写物が蓄積し、RPS6を介した病害抵抗性が低下する。異常な転写物の蓄積とRPS6の機能低下は相関するが、直接の原因であるかは不明である。この点を解明するため、野生型での上記転写物の過剰発現がRPS6の病害抵抗性を低下させるか、また、hen2 変異体おける異常な転写物をコードするDNA領域の欠失が病害抵抗性を回復させるか検証することを目的としている。 最近、他のグループの研究により、転写物が増加した領域にTIRドメインをコードする新奇遺伝子の存在が示された。これを受けて、RPS6遺伝子の3′末端領域に由来する転写物自体か、もしくはそこにコードされるTIRタンパク質のどちらが、hen2変異体における病害抵抗性低下の原因か検証を行った。その結果、RPS6遺伝子の3′末端領域に由来する転写物がhen2変異体における病害抵抗性低下の原因である可能性が強まった。更に上記の転写物を過剰発現するシロイヌナズナ形質転換体を作製し、hopA1認識を介した病害抵抗性および防御関連遺伝子発現を解析したところ、両者において低下が確認された、以上より、hen2 変異体で生じるRPS6 3′領域の異常な転写物の過剰発現がRPS6 の機能低下に十分であると示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RPS6遺伝子の3′末端領域に存在する新奇TIR遺伝子は、hen2変異によりTIRドメインをコードするORF全長を含む領域の転写量が上昇した。hen2変異体における病害抵抗性低下の原因が転写物自体か、もしくはそこにコードされるTIRタンパク質のどちらが判別するため、Yeast two-hybrid法により新奇TIRタンパク質とRPS6のTIRドメインの結合を解析した。その結果、タンパク質間の相互作用は検出されなかった。このことから、新奇TIR蛋白質がRPS6に干渉して機能低下を引き起こす可能性は低いと考察された。 次に、転写物がRPS6 の3′UTR から生じる転写物が影響を与える可能性を検証するため、転写物のみを過剰発現する野生型シロイヌナズナを作製し、RPS6 を介した病害抵抗性を解析した結果、野生型に比べ罹病性を示した。よって、hen2 変異によるRPS6の機能低下は異常なRNA に起因すると考えられた。転写物の過剰蓄積によるRPS6機能低下をさらに実験的に検証するため、エストラジオール誘導性hopA1 形質転換体との二重形質転換体が作製された。hopA1 誘導依存的にRPS6 を介した防御関連遺伝子の発現を解析した結果、二重形質転換体では野生型バックグラウンドと比較してhopA1 誘導依存的に防御関連遺伝子の発現量が低下した。以上の結果から、hen2 変異体でのRPS6 3′領域の異常な転写物の過剰発現はRPS6 の機能低下に十分であると示めされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、hen2 変異体を用いてRPS6遺伝子の3′UTRにおける異常な転写物をコードするDNA領域を欠失させ、hen2変異体が示す病害抵抗性低下が回復するかの検証を進める。2系統のゲノム編集系統が作製されたため、hen2およびsmn2変異を導入し、二重変異体を作製する。これら系統にPesudomonas syringae pv. tomato DC3000 (hopA1)を接種して病害抵抗性を変異体、及び野生型と比較する。さらに、ゲノム編集系統を、エストラジオール誘導性hopAを含むベクターで形質転換することで、hopA1誘導時の防御関連遺伝子発現を解析する。以上により、先に実施しているRPS6遺伝子の3′UTRから生じる異常な転写物の過剰発現体の解析に加え、ゲノム編集系統を用いることでcomplementな実験系となり、本実験を実施することでsolidな実験的検証が可能になると考えられる。
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