細胞老化誘導に関わる酸化ストレス発生の分子機構の解明と関連microRNAの同定
Project/Area Number |
22K05678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石丸 善康 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (50435525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ROS / 細胞老化 / Myoglianin / 酸化ストレス / 寿命 / コオロギ / RNA-seq / 活性酸素種(ROS) / CRISPR/Cas |
Outline of Research at the Start |
本研究では、老化の原因となる活性酸素種(ROS)の産生と抗酸化機構のバランスを制御する分子機構の解明を目指す。加齢依存的に発現上昇するMyoglianin(Myo)遺伝子の欠損コオロギは長寿命の表現型を示すことから、Myoの詳細な機能解析を行うことで、ROS産生酵素と抗酸化酵素の発現調節および細胞老化誘導の分子機構を明らかにする。また、特定の細胞種(老化細胞など)で顕著に発現あるいは抑制されるmicroRNA(miRNA)の網羅的な発現解析を行い、機能性スクリーニングを実施することで、miRNAの活性化・不活性化による老化の遅延効果を評価し、抗老化の誘導技術としてmiRNAが有用か検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
モデル動物の長寿変異体あるいは短命変異体は、酸化ストレスに対して抵抗性あるいは感受性を示すことから、寿命の長短と老化は酸化ストレスに依存する可能性が示唆されている。脊椎動物においても、また昆虫においても細胞内で活性酸素種(ROS)の増加と抗酸化能力の低下が酸化ストレスとなり細胞老化が誘導される。Myoglianin(Myo)遺伝子を欠損したコオロギは寿命が延長される(未発表データ)ことから、本研究では長寿モデルとしてMyoノックアウト(KO)コオロギを用いてROSレベルの制御と細胞老化誘導の分子機構解明を目指している。 Myo KO個体と野生型のコオロギ幼虫からRNAを抽出し、2群間比較によるトランスクリプトーム解析(RNA-Seq)を行い、ROS産生とその代謝に関連する因子に着目してMyoの標的候補因子を探索した。その結果、ROSを分解する抗酸化酵素GPXとCATの発現上昇が認められた。そこで、GPXとCATのクローニングを行い、RNA干渉(RNAi)により個々の遺伝子に対する機能阻害を行った結果、いずれも急速に生存率が低下し、約70%の平均寿命短縮が見られた。さらに、長寿命となるMyo KO個体を用いた解析でも、同様の寿命短縮効果が見られた。一方、RNA-Seq 解析の結果から、ROSの産生酵素であるNoxとDuoxの発現が減少しており、RNAiによる機能解析を試みたが寿命に影響は見られない結果となった。NoxとDuoxは、計7種類のホモログが機能していることから、複数同時のRNAiや実施時期などを今後検討する必要がある。 RNA-Seq解析からMyoの標的因子にROS産生酵素と抗酸化酵素が含まれており、MyoはROSの生産と分解の両方に機能してROSレベルを制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Myo KOを用いたRNA-seq解析の結果から、ROS産生酵素と抗酸化酵素の発現が変動していることを明らかにした。野生型またはMyo KOコオロギを用いた抗酸化酵素のRNAiによる機能解析の結果、生存率の低下と寿命の短縮が確認された。一方、ROS産生酵素のRNAiでは、寿命に影響は認められていない。 本年度の計画では、Myo KOもしくはRNAi個体における細胞老化の割合を評価するため、老化細胞マーカー遺伝子の定量PCRによる発現解析とSA-β-Gal活性の測定を予定していた。さらにROSの定量と抗酸化酵素活性を調べることで、ROS制御と細胞老化誘導におけるMyoの機能解明を目指していたが、まだ至っていないため、当初の予定よりやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Myoの機能がROSの産生と分解に関わる可能性が示唆されたことから、令和5年度は、Myo KO及びRNAi個体においてROSレベルの定量と抗酸化酵素活性の測定を行う。また、老化細胞の検出指標として老化細胞マーカー遺伝子の定量PCRによる発現解析とSA-β-Gal活性を測定し、細胞老化の割合を比較評価する。本解析により得られる結果から、ROSと細胞老化の制御に関わるMyoの機能を明らかにする。 さらに、野生型の成熟成虫と高齢成虫およびMyo KO個体とMyo RNAi高齢成虫からRNAを抽出してRNA-Seq解析を行い、ROS制御および細胞老化に関連するMyoの標的候補因子をさらに探索する。Myo KO個体で標的候補因子のRNAiまたはCRISPR/Cas遺伝子ノックイン(過剰発現)解析を行い、KO表現型のレスキュー効果を評価する。さらに、SA-β-Gal活性とROS濃度の測定・解析することにより、細胞老化誘導に関わる一連の分子機構を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Toll signalling promotes blastema cell proliferation during cricket leg regeneration via insect macrophages2022
Author(s)
Tetsuya Bando, Misa Okumura, Yuki Bando, Marou Hagiwara, Yoshimasa Hamada, Yoshiyasu Ishimaru, Taro Mito, Eri Kawaguchi, Takeshi Inoue, Kiyokazu Agata, Sumihare Noji, Hideyo Ohuchi
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Journal Title
Development
Volume: 149(8)
Issue: 8
Pages: 1-14
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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