Project/Area Number |
22K05699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 福山大学, 生命工学部, 教授 (80399162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | DNAメタバーコーディング / 糞 / アカネズミ / ニホンテン / 食物連鎖 / 生態系 / 食性 / ローカルDNAデータベース / DNAメタバーコーディング / 無脊椎動物 / 植物 / 哺乳類 |
Outline of Research at the Start |
哺乳類の糞中の生物のDNAを対象にして、DNAメタバーコーディング分析を行うことで、生態系における食物網の一部を明らかにすることができる。しかしながら、この手法は発展の途中段階にあり、様々な課題を抱えている。その課題とは①糞中生物“全て”を検出することが難しいこと、②糞中生物の“量”の分析が難しいこと、そして③非食物生物の混入を防ぐ手法が確立されていないことである。本研究では、雑食性であるアカネズミとニホンテンをモデルとして、給餌実験により最適なDNAメタバーコーディング法を確立し、それを野外実験に適用することで、哺乳類の糞から食性を量的・質的に解明するための基盤を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
糞中DNAから哺乳類の食性を分析することは、生態系を構成する食物網における哺乳類の役割を解明する上で重要である。2023年度はDNAメタバーコーディング法を用いて福山大学キャンパスに生息するアカネズミの食性を分析した。 2023年4月から2024年3月まで、福山大学キャンパス内で、毎月採集を行い、計38頭のアカネズミを捕獲することに成功した。それらの糞から、現時点で2023年9月までのサンプルを対象に無脊椎動物および植物検出用のDNAマーカーを使って食性分析を行った。その結果、2022年度と同様、チョウ目とハエ目を中心とした無脊椎動物や、ブナ科の植物の季節変動を把握することができた。特に、ブナ科については、2022年4月から2023年9月までの1年半の食性の傾向から、アカネズミが秋から春までドングリを貯食することが確認された。昨年度に引き続き、アカネズミとブナ科の植物との相利関係が示唆された。2023年10月から2024年3月までの糞サンプルからもDNAを抽出済みであり、確立した手法により、2024年度中には、2-3年間の食性の変動を理解することができると考えている。2022年4月から2年間のサンプルを確実に取得できているため、今年度1年もサンプル採取に期待できる。本研究から長期的なアカネズミの食性の知見が得られるものと期待される。 さらに福山大学キャンパス内に生息する昆虫を中心とした無脊椎動物を、昨年度のサンプルと合わせて188個体(18目)採集することができた。その中で、9目に属する62種を対象に、ミトコンドリアDNA COI遺伝子の塩基配列(約650p)を決定し、福山大学キャンパス内に生息するアカネズミやニホンテンの昆虫食性を解明するための、ローカルDNAデータベースの構築に着手することができた。研究実施計画にある給餌実験と新規のDNAマーカー開発は今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にある給餌実験と新規のDNAマーカー開発は今後の課題であるが、2024年度、2025年度に予定していたアカネズミの食性分析を先取りして実施することができた。2年間の長期にわたるDNAサンプルを取得することができたため、新規のDNAマーカーを開発できれば、それを適用することで、長期の視点でアカネズミ食性の解明という目標を達成することができる。今年度と来年度で3,4年目のデータも継続的に取得したい。また、計画通りにローカルDNAデータベース構築に着手することができた。申請計画とは順番が前後しているが、おおむね順調に進展していると考えている。 研究成果の報告としては、昨年7月に開催された国際哺乳類学会議(アラスカ)でニホンテンの食性研究について報告し、9月に開催された日本哺乳類学会(琉球大学)では、ニホンテンとアカネズミの食性研究について報告した。2024年7月刊行予定の「進化生物学 - DNAで学ぶ哺乳類の多様性」では、DNAメタバーコーディング法や野ネズミの食性研究の解説を行った。また、DNAメタバーコーディング法に基づく野ネズミの食性分析に関する総説を執筆し、現在、投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、アカネズミのサンプルの採取、および新規のDNAマーカーの開発を行うとともに、給餌実験、ローカルDNAデータベースの構築を行いたい。新規DNAマーカーの開発のために、2023年度にDNA塩基配列を決定した無脊椎動物のミトコンドリアDNA COI遺伝子を対象に新規のプライマーを開発することも行っていきたい。また、無脊椎動物を用いたアカネズミの給餌実験とDNAメタバーコーディング分析を通して、より広範な無脊椎動物を検出することができ、かつ量的な分析が可能な新規のDNAマーカーの開発に努めたい。さらに研究実施計画書に書いたようにマルチプレックスPCRの有効性も評価したい。新規のDNAマーカーの開発に至れば、アカネズミやニホンテンについてすでに得られた糞中DNAや、新規のサンプルを対象として、食性分析における新規マーカーの有効性を評価していきたい。他に研究実施計画に掲げた課題として、排便後に付着した非食物生物の特定や2次的捕食の影響度も評価したい。 2024年度は日本哺乳類学会で食性分析結果について報告するとともに、2022年度に得られたニホンテンの食性分析結果について論文としてまとめていきたい。
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