Project/Area Number |
22K05700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | Yamashina Institute for Ornithology |
Principal Investigator |
澤 祐介 公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 研究員 (00896011)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 生息地選択 / 環境利用 / カリガネ / 採食内容 / 渡り / 越冬地 / 越冬生態 / 個体群動態 |
Outline of Research at the Start |
渡り鳥は繁殖地,中継地,越冬地,それぞれの場所での栄養状態や環境条件がその生存や繁殖成功率,個体群動態に影響を及ぼす.北極圏で繁殖するガン類は,気候変動の影響を受け多くの種で個体数が増加しているが,カリガネ(IUCNレッドリスト:VU)は世界的に減少が続いている.一方,日本のカリガネ越冬個体群は,唯一個体数が増加しており,世界的にも重要な個体群である.さらに,越冬期の採食地における農地への依存の割合が高いなど特徴的な生態をもつ.本研究では,日本の個体群増加要因の検証に向け,越冬生態の解明及び繁殖地の特定を目的とする.これらの知見を蓄積し,保全管理の具体的な指針となることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
越冬地におけるカリガネの生息地選択解明のため、本年度は、カリガネの発信器による追跡調査、調査地におけるカリガネの利用環境・栄養状態の季節変化、食性解析のための糞サンプルの採取を前年度に引き続き、実施した。 発信器による追跡調査では、現在、9羽を継続追跡中である。発信器装着個体は、2023年5月上旬から9月まで繁殖地であるロシア・アナディール内陸部とその周辺に滞在した後、10月に中継地に移動、11月に越冬地に移動した。追跡中の9個体は、全て宮城県登米市で越冬期中に捕獲した個体であるが、このうち、5個体が捕獲地である登米市に帰還したものの、残り4個体は中国長江流域へと越冬地を変更した。ガン類の越冬地変更に関する記録は非常にまれであり、今後越冬地変更の要因の解明を検討する。 カリガネの利用環境については、2023年10月から2024年2月にかけて2週間に2日間のペースで宮城県登米市内の調査地約600haにおいて、カリガネの個体数および採餌した農地の特徴、その時のカリガネの脂肪蓄積状態を記録した。調査地周辺は昨年度に比べて温暖であり、稲刈り後の二番穂の生育も良かったため、昨年度よりも水田を頻繁に利用する傾向がみられた。また、栄養状態についても、越冬地への渡来初期である10月の段階で、すでに脂肪蓄積量が良好であり、夏季から秋季にかけての繁殖地、中継地との気候、植物の生育状況などとの関連性が考えられた。 糞サンプルの採取では、11月から2月にかけて80サンプルを収集した。2024年度に食性解析を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発信器を装着したカリガネは、全て1年間の追跡に成功している。発信器の機種選定、装着方法、装着部位等を事前に詳細に検討したことで、想定以上のデータを取得することができている。 追跡により、渡りルートや環境利用についての新たな知見を得ることができており、今後の解析により、新規性の高い論文として発表することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、発信器個体の追跡継続を行いつつ、これまでの追跡データの解析、収集した糞サンプルの分析を重点的に行う。 発信器追跡では、越冬期に利用した農地の特徴の定量的な分析に加え、特に越冬地を中国に変更した個体の渡りルートを中心に経年変化について解析する。食性解析では、糞のサンプルのDNAメタバーコーディングによる食性解析を重点的に行う。 これらのデータについては、中間報告として、日本鳥学会大会(2024年9月開催)にて発表する。
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