Project/Area Number |
22K05745
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
江草 智弘 静岡大学, 農学部, 助教 (90829897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
山川 陽祐 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20611601)
佐藤 貴紀 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (20755962)
今泉 文寿 静岡大学, 農学部, 教授 (80378918)
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80456748)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 土壌炭素 / 斜面崩壊 / 土砂移動 / 炭素分解性 / 植生回復 / 森林伐採 / 航空写真 / 物理的分画 / 化学的分画 |
Outline of Research at the Start |
森林土壌は大量の炭素を蓄えることが可能であり、地球温暖化の進行に大きな影響を及ぼす。従って、森林土壌への将来の炭素蓄積量の予測精度を向上させることが求められている。しかし、森林土壌への炭素蓄積速度に関する情報は不足している。特に、森林土壌において、「数十年の時間スケールで、どのような形態の炭素が、どこに、どれほどの速度で蓄積されていくのか」は未解明の課題である。本研究では、斜面崩壊からの経過年数のわかっている試験地を用い、土壌炭素の存在形態に関する調査を行うことで、現在までの数十年間における土壌中への炭素蓄積過程を詳細に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は今年度2つの課題に取り組みました。一つは、斜面崩壊に伴う移動土砂中の土壌炭素・窒素量の長期的な変化を定量的に評価すること、そして森林施業が、斜面崩壊を通じて土壌炭素・窒素の移動にどのように寄与しているかを解明することです。もう一つは、斜面崩壊地に蓄積された土壌炭素量とその分解特性を明らかにすることです。 前者について、我々は、1948~2012の航空写真を用いて崩壊地を抽出しました。抽出された個々の崩壊地について、レーザー測量データを用いることで、その面積と深さを算出しました。さらに、斜面崩壊が起こっていない斜面の合計17か所で土壌を採取し、化学分析を行うことで、土壌炭素・窒素濃度を求めました。得られたデータを元に、それぞれの崩壊による移動炭素・窒素量を推定しました。我々が対象とした64 年間において、平均の斜面崩壊発生率は 3.7×10-2 ha km-2 yr-1 でした。斜面崩壊に伴う土壌中の炭素・窒素移動量は、64年間の平均で、それぞれ5.8-9.3 MgC km-2 yr-1、0.5-0.9 MgN km-2 yr-1と推定されました。斜面崩壊は、林齢の若い範囲で多発しており、林齢20年以下の範囲における斜面崩壊による土壌炭素・窒素の移動量は、全体の87%を占めていました。この結果は、山地森林域で、森林伐採により、斜面崩壊による土壌炭素・窒素移動量が大幅に増加することを明確に示しています。これらの結果は、2023年9月18日にCatena誌に掲載されました。 後者について、斜面崩壊地の内外で採取した土壌を用いて、炭素量の分析と培養実験を行いました。そして、易分解性・中程度の分解性・難分解性の炭素プールの炭素含有量をそれぞれ推定しました。結果として、総炭素量は崩壊地内の植生あり、崩壊地外、崩壊地内の順に高く、分解性は地点によって変わらないことが明らかになりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の研究では、斜面崩壊後の土壌炭素の回復過程に焦点を当てています。今年度は、斜面崩壊跡地でサンプリングした土壌を用いて、10か月の培養実験を行い、斜面崩壊地内外での土壌炭素分解性に差が無いことを明らかにしました。これは、土壌炭素が崩壊発生後にいかに変化しているかを知るうえで、一つの核になる情報だと考えています。 また、斜面崩壊が長期的な土壌炭素動態に及ぼす影響について、長期的な航空写真履歴を持つ井川演習林を用いて定量的な評価を行いました。その結果は、新規性が高く、国際的にも評価されているCatena誌に掲載されました。 従って、当研究課題は、現在までに着実な成果を上げており、順調に進展していると考えています。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに、一つの斜面崩壊跡地でサンプリングした土壌を用いて、10か月の培養実験を行い、斜面崩壊地内外での土壌炭素分解性に差が無いことを明らかにしました。あくまでこれは一つの崩壊地における結果であり、これが一般的な現象であるかを検証する必要があると考えています。そこで、令和6年度は、複数の斜面崩壊地を対象とした土壌サンプリングを行い、同様の実験を行う方針です。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)