Project/Area Number |
22K05880
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福與 徳文 茨城大学, 農学部, 教授 (30414436)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 地域づくりワークショップ / 参与観察 / 模擬ワークショップ実験 / 会話分析 / 男女の影響力の差 / 集落環境点検ワークショップ / 話し合いの観察・記録 / 女性の活躍 / 女性比率 / 着座位置 / 発言回数 / 多様な主体 / 地域づくり / ワークショップ / 社会実験 |
Outline of Research at the Start |
農山村の活性化や災害に強い地域づくりの現場において、住民参加による地域づくりワークショップの重要性が益々高まっている。こうしたワークショップの効果を高めるためには、話し合いにおいて、女性や若者など、多様な主体が活躍して新たな取り組みにつなげられるかどうかが鍵を握る。しかし、一定年齢以上の男性など、「声の大きな人」により話し合いの場が牛耳られ、多様な参加者の意見が反映されないという現実がある。 本研究では、会話分析により、話し合いにおける性差や年齢差による影響力の構造を明らかにし、どのようなプログラムやグループ編成によりワークショップを実施すれば、多様な主体の活躍を促すことができるのかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
地域づくりワークショップ(以下、WS)における男女の影響力の差を明らかにするため、1)茨城県H市O地区のWS(計2回)を参与観察し、2)大学生対象に模擬WS実験を実施した。 O地区のWSは、午前に地域資源を点検し、午後から資源を活かした活性化方策について話し合うというもので、話し合いの様子を録音・録画し、男女の参加率、発言回数などを分析した。その結果、1)1回目のWSにおいて、午前中の点検活動には参加していた女性が、午後の地域の将来に向けての話し合い時には全員帰宅してしまい、「地域の将来を話し合うのは男性の役割」という固定観念が地域にあることが明確になった。2)2回目のWSにおいては、外部有識者から1回目のWSにおいて女性の不在を指摘された実行委員会(地域の役員)により、女性が地域の将来を話し合う場にも参加するように誘導され、なおかつ男女同じ回数発言できるように配慮されていた。しかし指名された女性のほとんどが「私が発言させられるとは思っていなかった」と前置きして発言していた。「地域の将来のことは男性が決める」ということを、男性だけではなく、女性もそう思い込んでいることが判明した。 一方、学生を対象とした模擬WS実験では、8名(男女4名ずつ)を、男女混合、同性のみのグループに編成し、「廃校活用計画」に取り組んでもらい、それを録画して「支持」「沈黙」「割り込み」を分析した。その結果、「支持」については、女性の反応が、相手の性別に関わりなく僅かに強かったが、「沈黙」は異なる学年の参加者が含まれたグループ(親密度が低い)に多く見られたほかは、大きな違いが見られなかった。また「割り込み」(影響力の差が最も現れる)は全てのグループで確認できなかった。このことから性差は「支持」などに僅かに存在するものの、現代の若年層の間には男性から女性へ、逆に女性から男性へ影響力の行使は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の農村地域で行われた地域づくりワークショップの話し合いの参与観察と、大学生(若年層)を対象とした模擬ワークショップ実験を実施し、現在の若者と農村(中高年齢層)における男女の影響力差を明確にできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の農村地域(茨城県H市O地区)において実施された地域づくりワークショップの参与観察によると、農村地域における男女の影響力差が明らかに認められた。一方、現代の大学生(若年層)を対象とした模擬ワークショップ実験では、男女の影響力差はほとんど認められなかった。その結果を踏まえ、令和6年度は、農村地域における地域づくりワークショップにおいて、男女の影響力差などを排除して、多様な主体が活躍できる地域づくりを進めていくための条件を明らかにしていく。このため、茨城県H市で過去10年間で約30地区で実施された地域づくりワークショップの参加者の男女比率とその成果などを比較分析したり、全国の多様な主体が活躍している地域づくり事例を調査分析したりして、多様な主体が活躍できるための条件を明らかにし、それを促進するような地域づくりワークショップのあり方を提言する。
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