Project/Area Number |
22K05962
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
|
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
松浦 友紀子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60374245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 純一 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (30344493)
中下 留美子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00457839)
亀井 利活 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究主任 (50794765)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | ニホンジカ / 肉質 / 極限pH / けん吊方法 / 安定同位体比 / 生息環境 / 本当に美味しいシカ肉 / 個体の属性 / 品質基準 / 捕獲後の処理 |
Outline of Research at the Start |
ニホンジカの肉は、“ジビエ”として利用促進が図られている一方で、大半は利用されることなく処分されている現状がある。理由の一つに、「本当に美味しいシカ肉」が提供されていないことがあげられる。シカには野生動物特有の肉質の「ばらつき」があるが、このばらつきを考慮した処理方法や調理方法が取られていない。そこで、①シカ肉が持つ様々な“背景”が肉質に与える影響とその要因を明らかにし、それらを考慮した上で②より良質な肉を産出するための処理方法、具体的には枝肉のけん吊方法を提案する。これにより、シカ肉の科学的根拠を伴った品質基準に基づく適切な取り扱い手法を確立し、「本当に美味しいシカ肉」の普及に貢献する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、極限pH(捕殺後24時間後のpH)値の収集、肉質分析に用いる筋肉サンプルの収集を中心に、安定同位体比による予備分析、研究環境の整備について行い、今後の肉質分析を行うための準備を整えた。 1.肉質の基準作成:肉質のpHによる評価基準を作成するために、銃で捕殺された38頭の背最長筋および29頭の大腿二頭筋の極限pH値を収集した。まだサンプル数が不十分であるが、安静状態で射殺したエゾシカの平均pH値は5.5-5.7程度となっており、異常値の基準はこれ以上の値になると考えられた。 2.生息環境による影響:炭素・窒素安定同位体比は、予備試験から地域による傾向がみられた。牧草地が無い森林環境では、比較的低い窒素同位体比を示し、牧草地が多い地域では比較的高い炭素同位体比を示していた。このことから、牧草地を利用するシカと森林内に生息するシカを判別出来る可能性あり、生息環境による肉質の違いを検討できる可能性が高まった。 3.性齢の影響:個体の性齢が肉質に与える影響を明らかにするために、0歳1頭、1歳11頭、2歳8頭、3歳以上19頭の計39頭の筋肉を採取した。また年齢を正確に査定するための実験系を整備した。 4.けん吊の影響:枝肉のけん吊方法による肉質の違いについて、26頭で試験を行った。アキレス腱でけん吊した場合と、骨盤でけん吊した場合では、肉のかみ切りやすさが異なり、6部位中4部位で骨盤けん吊の方が有意にかみ切りやすかった。他の2部位は差が見られず、けん吊方法の影響は部位によって異なることと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究環境整備と現場調整、採材及び予備分析を目標としており、いずれも計画通り進められた。野生動物から、分析に耐えうる質の良いサンプルを多数収集することが重要な本調査において、良質なサンプルを集めることができた。一方で、世界情勢により、シカの捕獲に用いる弾薬の入手が困難になり、かつ価格も高騰している。それに伴い、銃器による捕獲が中心の北海道では、シカの捕獲を控える狩猟者が増加した。そのため、想定よりもサンプリング機会が減少し、サンプル数が伸び悩んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.肉質の基準作成:引き続き極限pHの計測を行う。基準作成のためには異常肉の数値も必要となることから、異常肉になりやすいわな捕獲個体の計測も進める。 2.生息環境の影響:安定同位体比の違いが見られた森林性の個体と草地性の個体を中心に、脂肪酸組成を比較する。 3.性齢の影響:年齢が肉質に与える影響評価のためには、異なる齢クラスのサンプルを満遍なく採取する必要があることから、現在不足している高齢個体のサンプルの採取に努める。初年度に集めた筋肉において、色調、かたさ、保水性等の肉質分析を進める。 4.けん吊の影響:けん吊の影響はシカの大きさによっても異なることが予想されたため、サンプルが不足している小型の個体及び大型の個体での試験を進める。
|