Project/Area Number |
22K06160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三野 広幸 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70300902)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | EPR / 光合成 / 酸素発生 / マンガンクラスター / 電子移動 / ESR |
Outline of Research at the Start |
光合成酸素発生反応は光化学系Ⅱタンパク質のマンガンクラスターで行われる。反応中間状態の分子構造はX線結晶構造解析により構造が解明されつつあるが、分子構造の解明だけでは酸素発生メカニズムは解明できない。本研究はマンガンクラスターの高酸化中間状態S2、S3の電子状態を電子スピン共鳴(ESR)により解析し、基質酸素原子の取り込み過程を解明することを目的としている。申請者が発見した新しいS2中間状態g =5異性体は高スピン(S = 5/2 or 7/2)を持ち酸素原子取り込み反応に直結する構造をとると考えられる。本研究ではこの信号の解析を中心に高酸化状態の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
光合成酸素発生反応は光化学系Ⅱタンパク質のマンガンクラスターで行われる。反応中間状態の分子構造はX線結晶構造解析により構造が解明されつつあるが、分子構造の解明だけでは酸素発生メカニズムは解明できない。現在の反応モデルの中心となっている量子化学計算では、プロトン1つの配置の違いで全く異なる電子状態、化学状態を導いてしまう。本研究では、磁気構造解析の結果と組み合わせることによりマンガンクラスターの分子構造、プロトン状態、電子状態の三者を統合する。本研究はマンガンクラスターの高酸化中間状態S2、S3の電子状態を電子スピン共鳴(ESR)により解析することを目的としている。 S2中間状態には構造異性体が存在する.低スピン状態(g=2)と高スピン状態(g=4)としてEPRで検出される信号に相当する。その他に高スピン状態(g=5)が異性体として存在することを確認している。 これまでの量子化学計算から、3つのマンガンと4つのマンガン1つのCaの立方体が開いたopen-cubaneと立方体が閉じたclosed-cubaneと呼ばれる分子構造が提唱されている。 本年度は高スピンg=4状態をQ-bandパルスEPRを用いて測定し解析することに成功した。X-band(9.5GHz帯)のEPR測定ではパルスEPRによる測定は困難であったが、Q-bandではg=3.1に信号を検出することができた。また緩和時間の測定により高スピン状態における基底状態と励起状態のエネルギーギャップを定量的に評価することに成功した。得られたエネルギー準位は量子化学計算と直接比較することが可能なパラメーターである。広範囲でのMM領域を考慮に入れたQM/MM計算(共同研究)によりg=4状態がclosed-cubane構造であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルスEPR法による成果は当初計画以上の進展といってもよい。しかし、当初の計画を変更している観点から、トータルの評価として“おおむね順調”としている。 マンガンクラスターが不安定な非対称構造をとっている理由はクラスター内の2つのマンガン原子(Mn1とMn4)の距離が長いためである。このため、異性体構造モデルの存在が量子化学計算により提唱されてきた。g=4信号はopen-cubaneと呼ばれる分子構造とされている。しかし自由電子レーザーによる構造解析ではclosed-cubane構造は観測されていない。そのためプロトンの条件などを変更した新たな量子化学計算モデルでは、open-cubane構造との主張がある。しかし、結晶構造にそもそもg=4は含まれていないため議論に矛盾がおこっている。量子化学計算の検証はESRでの実験結果との比較が最重要である。共同研究によりQM/MM計算(共同研究)によってg=4状態がclosed-cubane構造であることがもっとも実験をよく説明することを明らかにしている。 g=5状態についてもパルスEPRにより検出することができ、実験を進めている。これらの研究をとおして、高スピン状態についての新しい知見が得られることを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
マンガンクラスターのS2中間状態には複数の異性体構造由来のEPR信号が観測されることがわかっている(g=2マルチライン,g=4,g=5, g=10信号)。g=2マルチラ イン信号の研究は膨大な数行われておりマンガンクラスター研究の中心となっているのに対し高スピン状態の信号の研究は限られている。これはパルスEPRによ る研究の有無によっている。Q-bandを用いた測定においてもパルスEPRによる信号検出はあまり期待していなかったが、有用な情報が得られている。本年度はg=4 高スピン状態において解析を進め、さらに量子科学計算との比較からマンガンクラスターの構造の議論へとすすめることができた。次年度以降もQ-bandにおける測定解析を優先課題として研究を進めてゆく。 g=5状態についてはパルスEPRによる信号の検出が可能なことを明らかにしている。緩和時間の温度変化を用いた励起状態準位の測定を行い、量子化学計算に基づき現在提唱されている構造モデルと比較検討を行い、分子構造を明らかにする予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)