Elucidation of neural stem cell (NSC) niche signaling pathways using NSC self-renewal-inducing polymer
Project/Area Number |
22K06234
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田賀 哲也 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40192629)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 神経幹細胞 / 自己複製 / ニッチ / ポリマー / シグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
神経幹細胞の自己複製能は細胞外微小環境(ニッチ)により制御され、神経系の発生と恒常性維持に重要であるが、神経幹細胞ニッチは要素複雑性に因り全容解明は困難であった。本研究は独自に開発した神経幹細胞の自己複製を誘導するニッチ擬態ポリマーPA518を用いて、神経幹細胞のニッチシグナル経路の全容解明を目的に行われる。ニッチ擬態ポリマーPA518と対照ポリマーによりトリガーされる経路の網羅的比較解析やPA518結合分子の探索など、この先駆的なポリマー手法を用いた研究の実施により、複合的要因で構成される神経幹細胞の自己複製を制御するニッチシグナル研究における新機軸を打ち出せることが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系の発生と恒常性維持において神経幹細胞は重要な役割を担っており、その自己複製能は、神経幹細胞が枯渇しないで生涯に亘ってその役割を果たすために不可欠な特性である。神経幹細胞の自己複製において細胞外微小環境(ニッチ)からのシグナルの重要性は明白であるが、神経幹細胞ニッチの全容解明には至っておらず、その要因が、神経幹細胞ニッチが様々な要素が関わる複雑性であると研究代表者は捉えている。そこで本研究は、これまでに合成ポリマーアレイを用いて独自に得た、神経幹細胞を自己複製させるニッチ擬態ポリマーPA518を用いて、神経幹細胞ニッチシグナルの全容を解明することを目的に遂行されている。2023年度はこの目的達成のためPA518および対象ポリマーのPA531を用い、前年度に改良を施したポリマーガラスプレート作成・洗浄・培養法により研究を進めた。胎生14.5日目のマウスから調整しFGF2を添加した培養により純度を上げた神経幹細胞画分をPA518または対照のPA531上で培養する際に、FGF2非添加に切り替える培養を72時間施した後の神経幹細胞について、ニューロスフェアアッセイを3回繰り返すことで、PA518の神経幹細胞維持機能を明確に示す実験を行った。ニューロスフェア数(神経幹細胞の存在指標)は、第三次ニューロスフェアアッセイ後においてもPA518処理のものは有意に保持された。PA518の作用機序に関する取組として、2023年度にはPA518で刺激を受けた神経幹細胞が何らかの神経幹細胞自己複製誘導因子を産生するのではとの仮説に基づいた実験も実施した。PA518または対照のPA531上でFGF2非添加培養後のそれぞれの培養上清を別の神経幹細胞のFGF2非添加培養系に加え、神経幹細胞の維持を調べたがそれは見られず、PA518の作用は、神経幹細胞に何らかのシグナルを直接トリガーするか、PA518が何らかの因子をトラップしてそれが神経幹細胞の自己複製シグナルを開始させるのではと考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究遅延により2023年度の本研究はスタート当初が出遅れたのは否めないが、改良を施したポリマーガラスプレート作成・洗浄・培養法により研究を進めることで、最終年度である2024年度の目的達成につながる進捗を得たと認識している。具体的には、神経幹細胞画分をPA518または対照のPA531上で培養する際に、FGF2非添加に切り替える培養を72時間施した後の神経幹細胞について、ニューロスフェアアッセイ(自己複製能を有する神経幹細胞の存在を示すアッセイ系)を3回繰り返すことで、PA518の神経幹細胞維持機能を明確に示すことができたこと、および、PA518の作用は、神経幹細胞に何らかのシグナルを直接トリガーするか、PA518が何らかの因子をトラップしてそれが神経幹細胞の自己複製シグナルを開始させるのではとの考察を得たことである。これらの結果は、今後、PA518または対照ポリマーのPA531上で神経幹細胞を培養する系で、FGF2非添加培養に切り替えた後の神経幹細胞を用いて、RNAを抽出して網羅的な遺伝子発現比較を行うトランスクリプトーム解析や、PA518やPA531にトラップされるタンパク質の比較を行うプロテオーム解析への展開につながるものである。総じて、前年度の予期しない研究遅延による影響はあったものの、2023年度の本研究は、最終年度において当初の目的を達成できる見通しを得る進捗であったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、PA518または対照ポリマーのPA531上で神経幹細胞を培養する系で、FGF2非添加培養に切り替えた後の神経幹細胞を用いて、RNAを抽出して網羅的な遺伝子発現比較を行うトランスクリプトーム解析や、PA518やPA531にトラップされるタンパク質の比較を行うプロテオーム解析へと展開することで本研究課題を推進することとする。具体的な実験方法として、前者は、PA518または対照となるPA531のそれぞれのポリマーガラスプレートを作成し、胎生14.5日目のマウスから調整しFGF2添加培養で純度を上げた神経幹細胞をその上で培養する系を用いて、FGF2非添加培養に切り替えた後の神経幹細胞からRNAを抽出して網羅的な遺伝子発現比較解析を行う。後者については、PA518と対照のPA531の上で神経幹細胞を培養した後に細胞を除去してそれぞれのポリマーに結合したタンパク質を回収後、電気泳動とゲル染色によりPA518ポリマーに特異的に結合したタンパク質のバンドを確認し、それらを切り出して、質量分析により蛋白質の同定を行う。これら細胞内外のマルチオミクスにより得られたデータを統合し、神経幹細胞維持に寄与する新規ニッチシグナル伝達の候補経路を絞り込む。
|
Report
(2 results)
Research Products
(17 results)