MafB遺伝子を糸口とした心臓神経堤細胞の心臓における役割と分化機構の解明
Project/Area Number |
22K06251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松花 沙織 神戸大学, 理学研究科, 講師 (70767251)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 心臓神経堤細胞 / 転写制御機構 / エンハンサー / MafB / ニワトリ / 細胞分化 / 遺伝子発現制御機構 / 心臓形成 / 心臓発生 / 心疾患 / 遺伝子制御ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
神経堤細胞は脊椎動物の初期発生時に生じる、多分化能と移動能を合わせ持つ細胞群である。心臓神経堤細胞は神経堤細胞の中で唯一心臓中隔へ分化できる細胞であり、この分化能は心臓神経堤細胞に特有である。心臓神経堤細胞の異常・欠損は心臓神経堤細胞由来の中隔形成不全に加え、種々の心疾患を併発するがその発症機序は不明な点が多い。 心臓神経堤細胞の形成初期から特異的に発現し心臓神経堤細胞形成に必須であるMafB遺伝子を糸口に、心疾患モデルニワトリ胚を構築し心臓神経堤細胞の心臓における役割を明らかにするとともに、心臓神経堤細胞がもつ独自の分化機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経堤細胞は脊椎動物の初期発生において、背側神経管から生じる移動能と多分化能をもつ細胞集団である。心臓神経堤細胞は耳胞から第3体節にかけて位置する神経堤から生じ、心臓形成に貢献する。特に、心臓の大動脈肺動脈中隔への分化能は心臓神経堤細胞に特有である。 私たちは先行研究において、神経堤細胞の中で心臓神経堤細胞で特異的に発現するMafBを遺伝子を見出し、その発現調節領域 (MafB_E1)を同定した。MafB_E1をGFPに繋いだレポーター (MafB_E1-GFP)は、ニワトリ初期胚において、心臓神経堤細胞を生み出すロンボメア5・6及び心臓神経堤細胞で発現が観察され、内在のMafB発現を再現する。MafB_E1には心臓神経堤細胞特異的な発現を生み出す転写制御ユニットが含まれていると考えられる。そこで、本研究の目的である心臓神経堤細胞の独自の分化機構を明らかにするため、本年度はMafB_E1を制御する転写因子の解析を進めた。JASPRを用いて、MafB_E1配列内に存在するロンボメア形成関連および神経堤細胞関連転写因子の結合モチーフを探索した。これらの結合部位に変異もしくは部分欠失を導入した変異型MafB_E1を作成し、GFPにつないだレポーター遺伝子を構築した。これをニワトリ初期胚に導入し、レポーター活性を検証した。その結果、心臓神経堤細胞でMafB発現に関わるシス配列92塩基を同定した。さらに、この92塩基の配列内に存在する転写因子結合配列8塩基が、MafB発現活性に貢献していることを明らかにした。また、MafB発現をGFPで可視化したトランスジェニックゼブラフィッシュ系統を利用し、このゼブラフィッシュ胚におけるMafB発現陽性細胞の追跡を行った。その結果、これらの細胞が鰓弓を通り、心臓原基に向かって移動していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MafB_E1は全長約1.8kbであるが、MafB_E1に部分欠失や変異導入したレポーターを作成し、ニワトリ胚内でレポーター活性を検証することで、心臓神経堤細胞で発現させるための領域を絞り込むことができた。しかし、変異導入レポーターアッセイの結果から、複数の転写因子モチーフによって時空間的な発現が制御されていることが示唆され、MafB_E1の活性を包括する全ての転写因子結合モチーフの同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
MafB_E1において、ロンボメアと心臓神経堤細胞での活性を、それぞれ切り離して明らかにするため、今後は発生段階や複数の転写因子結合モチーフに変異を入れたMafB_E1レポーターを作成し、その活性を検証する。また、関与が示唆される転写因子の機能阻害や発現阻害ニワトリ胚を作成し、その胚内でのMafB_E1レポーター活性の解析を行う。これらの結果を合わせて、MafB_E1の転写制御機構を明らかにするとともに、心臓神経堤細胞特異的な遺伝子がどのような転写因子によるネットワークによって構築されているのかその全容の解明を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)