盗葉緑体現象における遺伝子伝搬に依らない形質伝搬機構をタンパク質解析から解明する
Project/Area Number |
22K06345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 太郎 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任助教 (50631404)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 葉緑体 / 軟体動物 / 光合成 / 種間相互作用 / 盗葉緑体現象 / プロテオーム / 盗葉緑体 / 盗タンパク質 / 進化 |
Outline of Research at the Start |
軟体動物ウミウシは、生来的には光合成能力を持たないが、摂食した藻類の葉緑体を細胞内に取り込むことで光合成能を獲得する。我々は、本現象には藻類の遺伝子の取り込みが無いことを示し、藻類中で作られた光合成タンパク質をそのまま流用していると予測した。本研究では、このタンパク質流用の有無を検証し、それに関わるウミウシ側タンパク質を明らかにする目的で、ウミウシ葉緑体のプロテオーム解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
軟体動物門腹足綱に属するチドリミドリガイPlakobranchus ocellatusは、生来的には葉緑体を持たず、光合成能力を持たないが、摂食した藻類の葉緑体を細胞内に取り込むことで、光合成能を後生的に獲得する。 本種のゲノム解読から、動物側に藻類に由来する光合成遺伝子が存在しないことが確認された。しかし、光合成能力は明確に維持されている。本研究では、この遺伝子伝播を経ない形での光合成能力の伝播の機構について、本来容易に失活する はずの藻類由来の光合成タンパク質が、ウミウシ細胞中では長期間維持されており、それを可能にするウミウシ側のタンパク質が葉緑体に輸送されているとの仮説を立てた。昨年度は、プロテオーム解析から、藻類由来のタンパク質の維持の有無を検証した。また、餌藻類の培養技術開発開発を行った。結果、タンパク質プロファイルの定性的な解明に成功したが、定量的な変化については検出できなかった。これを改善するために、今年度は、ペプチドマスフィンガープリンティング解析に用いるリファレンス配列をより正確にし、藻類由来タンパク質のより高精度な同定を可能とするすために、餌藻類Rhipidosiphon lewmanomontiaeのゲノム解読、及びP. ocellatusの染色体レベルでのゲノム解読を開始した。これには昨年度に確立されたR. lewmanomontiaeの実験室環境下での培養株などを用いた。藻類タンパク質の定量的な変化が、現状の手法的な検出限界以下である原因として、外来タンパク質の維持に関与する可能性があるウミウシ側のタンパク質が存在すると考えその探索をRNA-Seq解析から行った。また、その結果の効率的な実験系を確立するために、P. ocellatusの初期生活史について調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のプロテオームプロファイリングに成功し、存在するタンパク質の同定に成功したが、その定量的な変化については、 現状の解析方法では検出できないほどわずかである可能性が示唆された。そのため、プロテオームの精度を高めるために、餌藻類と軟体動物チドリミドリガイのいずれについてもゲノム情報を高精度化しペプチドマスフィンガープリンティングの精度を高めることとした。この解析はいずれも順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
餌藻類と軟体動物チドリミドリガイのゲノム解読をさらに進め、得られたデータによって、チドリミドリガイ体内のプロテオームプロファイルの追跡を高精度化し、環境への応答や経時的変化を明瞭にする。また、餌となる藻類のタンパク質の同位体及び蛍光ラベリングを実施する。ラベルした葉緑体は、チドリミドリガイのまだ餌を食べたことが無い個体に摂食させ、その葉緑体の追跡を可能とする。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)