Project/Area Number |
22K06425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鹿糠 実香 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (80842682)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 愛着行動 / 輸送反応 |
Outline of Research at the Start |
哺乳類に広く見られる愛着行動のひとつに「輸送反応」がある。これは母親が仔を口でくわえると、仔が瞬時にコンパクトな姿勢をとり、おとなしくなる反応であり、そのメカニズムはほとんど解っていない。私たちは、仔マウスの輸送反応時に瞬時に深い睡眠とよく似た脳活動が誘導されることを見出した。この脳活動が、仔マウスの速やかな沈静化に寄与し、さらに内分泌状態にも作用してリラックス状態を生み出している可能性がある。本研究では、標的の神経細胞を遺伝的に破壊したマウスを用いて、輸送反応時に誘導される脳活動が生じるメカニズムと意義の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類に広く見られる愛着行動である「輸送反応」に注目する。輸送反応とは、哺乳動物において、母親が仔を口でくわえると、仔が瞬時にコンパクトな姿勢をとり、おとなしくなる反応のことであり、そのメカニズムはほとんど解明されていない。 私たちは、仔マウスの輸送反応時の脳活動の記録に成功した。その結果、輸送反応時には、特定の脳部位において特徴的な脳活動が誘導されることを見出した(Kanuka et al., unpublished)。この神経活動の誘導が、仔マウスの速やかな行動変化に寄与する可能性が考えられる。そこで本研究では輸送反応の神経基盤の解明を目指し、どの脳部位のどの神経細胞サブタイプが、輸送反応および輸送反応中の脳活動の変化の誘発に重要な役割を担うかを明らかにすることを目的とした。 これまでに仔マウス輸送反応に特定の分子マーカーを発現する神経細胞が重要であることを見出した。具体的には、ジフテリアトキシン存在下でこの神経細胞サブタイプを遺伝的に破壊したマウスでは、正常な輸送反応が起こらなかった。 この神経細胞サブタイプは、いくつかの脳部位に存在する。これら神経細胞の機能を脳部位ごとに阻害することで、仔マウス輸送反応に関与している脳部位を特定することが期待できる。 本年度は、候補となっている神経細サブタイプが存在しているいくつかの脳部位のひとつに着目し、この脳部位の輸送反応についての関与について確認した。具体的にはCre依存的に神経細胞サブタイプを破壊するLSL-DTAノックインマウスと標的脳部位(A)のCreマウスを掛け合わせて仔マウスを作製し、輸送反応の関与を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、輸送反応に関与している脳部位を特定するため、数種の神経伝達物質に作用する薬剤を用いて仔マウス(C57BL/6J, 生後11日~12日)に対する輸送反応への影響を確認した。このうち、2種類の薬剤において用量依存的に輸送反応の抑制が認められた。これらの薬剤の作用機序から推測される脳部位の機能(X)を阻害した仔マウスを作製して輸送反応を確認した。具体的にはCre依存的に神経細胞サブタイプを破壊するLSL-DTAノックインマウスとX-Creマウスを掛け合わせて仔マウスを作製し、生後12日に人工的な刺激によって輸送反応を誘導させ、輸送反応時の姿勢を維持する時間を指標として評価した。その結果、コントロールマウスに比較して目的のマウスは有意な輸送反応の抑制を示した。 本年度は、目的の神経細胞サブタイプが存在するいくつかの脳部位から、脳部位(A)に着目した。この脳部位の神経細胞サブタイプを破壊した仔マウスを作製して輸送反応を確認した。具体的にはCre依存的に神経細胞サブタイプを破壊するLSL-DTAノックインマウスと標的脳部位(A)に特異的に広く分布するCreマウスを掛け合わせて仔マウスを作製し、生後12日に人工的な刺激によって輸送反応を誘導させ、輸送反応時の姿勢を維持する時間を指標として評価した。その結果、コントロールマウスに比較して目的のマウスは有意な輸送反応の抑制を示さなかった。これらのことから、脳部位(A)の関与する可能性は低いと考えられる。 また、昨年度、輸送反応の抑制が認められたマウス(X-Cre;LSL-DTAノックインマウス)に生後11日に脳波電極を取付け、生後12日の輸送反応時の脳波の計測を行った。得られた脳波の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
輸送反応の抑制が認められたマウス(X-Cre;LSL-DTAノックインマウス)に脳波電極を取付け、得られた生後12日の輸送反応時の脳波、詳細な解析を行う。また、昨年度輸送反応に影響が認められた2種の薬剤を投与したマウスについても輸送反応時の脳活動への影響を調べ、輸送反応のメカニズム解明につなげる。
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