Project/Area Number |
22K06900
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大東 いずみ 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (00596588)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 胸腺 / ケモカイン / 胸腺髄質上皮細胞 / 自己免疫 / がん / CCL21 / 発現制御 |
Outline of Research at the Start |
ケモカインCCL21は、リンパ球T細胞やガン細胞の移動を制御し、自己免疫疾患発症やガン病態の制御にあずかる。多数の研究により、CCL21の機能的重要性は明らかにされつつあるが、その発現制御メカニズムは不明である。本研究では、T細胞の自己寛容性成立を担う胸腺髄質上皮細胞でのCCL21発現制御メカニズムの解明を目指すことを主軸とし、CCL21発現制御と自己免疫疾患やガンとの関連性について明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度得られたインターフェロンシグナル関連分子であるIRF分子がCCL21の転写を正に制御するというin vitro実験結果を受け、CCL21発現を正に制御した分子の一つであるIRF7を欠損するマウス胸腺の組織解析を進めた。In vitroでの結果に反して、IRF7欠損胸腺では、髄質領域でCCL21の発現が検出され、髄質構造も正常であった。また、インターフェロンシグナルの重要メディエーターであるSTAT1を欠損するマウス胸腺でも、髄質領域でCCL21の発現が検出され、胸腺構造の異常は検出されなかった。IRF7やSTAT1を欠損するマウスでは、T細胞への自己抗原提示を担うAire発現髄質上皮細胞の生成異常と、髄質形成異常が報告されているが、既報とは異なり、IRF7やSTAT1は、CCL21発現制御のみならず、Aire発現細胞分化や髄質形成への寄与はわずかであることが明らかになった。 一方、髄質上皮細胞分化異常により機能的な髄質形成を欠くRelB欠損マウスの胸腺を解析したところ、本来なら髄質が形成される領域でCCL21の発現が検出された。このことから、CCL21発現はRelB非依存的なメカニズムで制御されていること、さらに、CCL21発現上皮細胞は、成熟髄質上皮細胞への分化ポテンシャルを有する可能性が考えられた。 そこで、CCL21発現細胞が髄質上皮前駆細胞である可能性を検討したところ、胎仔期のCCL21発現髄質上皮細胞は、T細胞の髄質移動を制御する機能的に成熟した細胞であるにもかかわらず、Aire発現髄質上皮細胞への分化能を有することが明らかになった。このことから、機能的には成熟細胞であるCCL21発現上皮細胞は前駆細胞活性を有しており、T細胞の胸腺内移動を担う細胞から自己抗原提示を担う細胞への機能転換が、髄質上皮細胞の亜集団形成に寄与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CCL21の発現制御機構に関しては、当初予想していた結果とは異なり、インターフェロンシグナル分子の寄与はわずかであることが明らかになったものの、発現制御機構の同定には未だ至っていない。しかし、実験から得られた結果をもとに実施したCCL21発現細胞の分化能解析において、CCL21を産生するT細胞の胸腺内移動を制御する髄質上皮細胞は、自己抗原提示を担う髄質上皮細胞へと分化する前駆細胞活性を有するという新たな知見を得ることができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
CCL21の発現有無だけでなく、他の髄質上皮細胞分子の発現有無を加味することにより分類した髄質上皮細胞亜集団のトランスクリプトーム解析から、CCL21の発現有無のみで分類した上皮細胞間のトランスクリプトーム比較では検出されなかった分子的特徴が検出された。この結果をもとに、CCL21の発現制御を担う分子の同定と、T細胞の自己寛容性獲得における分子基盤の解明に向けて研究を進める。
|