肝臓マクロファージサブセット解析から迫る新規線維化亢進NASHマウスの病態解明
Project/Area Number |
22K07005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
長井 良憲 富山県立大学, 工学部, 教授 (30431761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / マクロファージ / 腸内細菌 / 線維化 / 腸内細菌叢 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者は、3-F miceのNASH病態の進展に伴い、表現型の異なる複数のマクロファージサブセットが肝臓に浸潤することを発見した。サブセットの一つは炎症・線維化に関連するマクロファージであり、また他のサブセットは抗炎症に関連するマクロファージであることが示唆された。そこで本研究では、NASHの炎症・線維化または抗炎症における肝臓マクロファージサブセットの動態・機能を解明するために、3-F miceの病理組織学的解析及び免疫学的解析、網羅的遺伝子発現解析などを行う。また、腸内細菌叢の変化とNASH病態及び肝臓マクロファージサブセットの動態との関連についても解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
①肝臓マクロファージサブセットの組織内局在と動態の解析:NASH誘導食又は普通食を4,8,12,24週間自由摂餌させ、肝臓のパラフィン包埋切片及び凍結切片を作製した。Ly6CとCD11cの免疫組織染色を確立し、肝臓におけるLy6C+細胞とCD11c+細胞の位置関係を解析した。その結果、CD11c+細胞は肝細胞周囲に網目状に集積し、いわゆる王冠様構造を示した。一方、Ly6C+細胞は脂肪滴を中心とした周りにドーナツ状の炎症性構造を示した。さらに蛍光染色により、NASH誘導食摂餌マウスの肝臓において、CD11c+細胞はコラーゲン線維と共局在することを見出した。 ②肝臓マクロファージサブセットにおける炎症・線維化関連遺伝子の発現解析:Ly6C+細胞とCD11c+細胞を単離後、炎症・抗炎症又は線維化関連遺伝子をqPCR法で測定することを目的とした。しかし、qPCRに供するには両サブセットの細胞数は非常に少なく、qPCRは実施せず、③の網羅的解析で検討することとした。その結果、CD11c+細胞には多数のケモカイン受容体が高発現することを明らかにした。 ③肝臓マクロファージサブセットの網羅的遺伝子解析:Ly6C+細胞とCD11c+細胞をセルソーターにより単離し、次世代シークエンス解析に供し、両サブセットに特徴的な遺伝子群を探索した。その結果、CD11c+細胞には線維化や肝星細胞の活性化に関わる遺伝子が高発現していた。一方、Ly6C+細胞には抗炎症性又は組織修復関連の遺伝子が高発現することが分かった。 ④3-F miceの腸内細菌叢及び腸管粘膜バリアの解析:抗生剤投与により腸内細菌叢を攪乱し、3-F miceのNASH病態や肝臓マクロファージサブセットの動態に与える影響を解析した。その結果、バンコマイシン投与によりNASH病態の悪化とCD11c+細胞の肝臓への顕著な浸潤を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓マクロファージサブセットであるLy6C+細胞とCD11c+細胞の組織内局在を明らかにし、さらにそれらを単離して発現する遺伝子の発現を網羅的に解析した。その結果、CD11c+細胞は死んだ肝細胞周囲に集積し、線維化や肝星細胞の活性化に寄与することが示唆された。また、Ly6C+細胞の局在はCD11c+細胞とは異なり、抗炎症や組織修復に関わることが示唆された。 さらに、バンコマイシン投与による変化から、バンコマイシンにより殺菌される細菌の中に、NASH病態に対して善玉として作用する細菌が存在することが示唆された。 以上から、研究は当初の計画通り、順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
・作用が異なる他の抗生剤投与が、NASH病態や肝臓マクロファージサブセットの動態に与える影響を病理組織学的解析やフローサイトメトリー解析により明らかにする。 ・腸内細菌により代謝される胆汁酸の組成が、NASH誘導食でどのように変化するか解析する。また、バンコマイシン投与による腸内細菌叢の変化が、胆汁酸組成に与える影響も解析する。 ・NASH誘導食によりNASH病態になりにくいマウス系統における肝臓マクロファージサブセットの動態を、フローサイトメトリーにより解析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)