IL-17シグナリングを介した腸上皮細胞の機能調節
Project/Area Number |
22K07007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山崎 創 東邦大学, 医学部, 准教授 (70315084)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | IL-17 / 腸上皮細胞 / IκBζ / 抗菌 / 自己免疫疾患 / 腸上皮 / 腸内細菌叢 / 抗菌タンパク質 |
Outline of Research at the Start |
腸内細菌叢を適正に調節することは、消化管での局所的な宿主防御だけではなく、全身性の免疫応答の最適化に不可欠である。IL-17シグナルが腸上皮細胞による腸内細菌叢の調節に関与することが示されてきているが、その仕組みについては不明な点が多い。 我々が着目している転写調節因子を腸上皮細胞で欠損させたマウスでは、腸内細菌叢の変化に伴って免疫細胞の分化異常や自己免疫疾患モデルの重症化が認められるので、このマウスを用いた解析を中心に、IL-17シグナリングを介した腸内細菌叢の制御と、その破綻に起因した病態の形成機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々が以前同定したNF-κB結合因子であるIκBζ (遺伝子名:Nfkbiz)が、消化管で発現していることに着目し、腸上皮細胞で特異的にこの因子を欠損するマウスを作出した。この変異マウスの小腸では、抗菌ペプチドや、IgAの生合成関連因子、ラジカル産生酵素などの多くの抗菌関連遺伝子の発現が著明に障害されていた。そこで、16S rRNA遺伝子領域を標的とした細菌叢解析をおこなったところ、このマウスの小腸および糞便中の細菌種の構成は、同腹のコントロールマウスと比べて大きく変化しており、特に、セグメント細菌 (SFB)の増多が顕著であった。小腸上皮へのSFBの生着は、粘膜固有層におけるTh17細胞の分化を誘導することが知られているが、実際にこのマウスの小腸でもTh17細胞が異常に増加しており、Th17細胞を主要な責任細胞とする自己免疫疾患モデルの増悪が認められた。このマウスの小腸で発現が障害されていた遺伝子の多くは、IL-17シグナルに応答して発現が誘導される遺伝子であったため、次に、マウスの小腸から上皮オルガノイドを作出し、IL-17刺激に対する発現応答性を検討した。その結果、上述の複数の遺伝子がIL-17刺激によってIκBζ依存的に発現誘導されたことから、このマウスの小腸では、Th17細胞の増多によってIL-17が大量に放出されているにもかかわらず、腸上皮細胞でIκBζが欠損しているために、抗菌作用に必要な遺伝子の発現が障害されていると考えられた。腸上皮細胞において、IL-17と並んでIL-22の役割の重要性が報告されてきているが、興味深いことに、今回の変異マウスで発現が障害されていた複数の遺伝子の発現は、上皮オルガノイド培養系において、IL-17とIL-22の同時刺激により相乗的に発現が増強され、しかもその増強作用はIκBζに依存していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
腸上皮オルガノイド培養系を用いることにより、マウスの小腸組織内における遺伝子発現メカニズムに迫ることができた。IκBζ自身の発現もIL-17応答性であり、腸上皮に発現するIκBζを介して重要な抗菌関連遺伝子の発現が調節されていることが明らかになった。さらに、複数のサイトカインの協調作用によってこれらの抗菌関連因子の発現が調節されていることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回着目した遺伝子の中には、ラジカル産生関連因子をコードするものが複数含まれていたので、IL-17とIL-22の同時刺激により、ラジカル産生量が相乗的に増加するかを明らかにする。また、今回観察された相乗効果が、両シグナル伝達経路間のどのレベルで生じたものかを明らかにするために、シグナル伝達経路の中間分子に対する阻害剤を用いた実験を実施するほか、転写調節領域のシスエレメントに着目した転写レベルでの解析をおこなう。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Fibroblast growth factor 18 stimulates the proliferation of hepatic stellate cells, thereby inducing liver fibrosis2023
Author(s)
Tsuchiya Y, Seki T, Kobayashi K, Komazawa-Sakon S, Shichino S, Nishina T, Fukuhara K, Ikejima K, Nagai H, Igarashi Y, Ueha S, Oikawa A, Tsurusaki S, Yamazaki S, Nishiyama C, Mikami T, Yagita H, Okumura K, Kido T, Miyajima A, Matsushima K, Imasaka M, Araki K, Imamura T, Ohmuraya M, Tanaka M, Nakano H
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Issue: 1
Pages: 6304-6304
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Fibroblast growth factor 18 stimulates the proliferation of hepatic stellate cells, thereby inducing liver fibrosis2024
Author(s)
Takao Seki, Yuichi Tsuchiya, Shigeyuki Shichino, Takashi Nishina, Soh Yamazaki, Kouji Matsushima, Hideo Yagita, Ko Okumura, Minoru Tanaka, Hiroyasu Nakano
Organizer
第52回日本免疫学会学術集会
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