Project/Area Number |
22K07339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 由紀子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員 (30433246)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | セロトニン / 時間割引 / 5-HT4受容体 / 線条体 / 5-HT4 / 意思決定 / 薬理 |
Outline of Research at the Start |
2022年度は、2頭のマカクザルに遅延報酬課題の訓練を実施し、安定した行動になったところで5-HT4受容体の阻害剤を尾状核へ局所注入し、報酬価値割引率の評価を行う。2頭中1頭の動物において、細胞外記録で尾状核の5-HT4受容体阻害によって生じる神経活動変容を調べる。 2023年度は、昨年度に引き続き1頭目の尾状核の5-HT4受容体阻害によって生じる神経活動の変容を調べる。2頭目を導入し、5-HT4受容体阻害による行動を評価と神経活動の変容を調べる。 2024年度は、昨年度に引き続き2頭目の神経活動の変容を調べ、結果をまとめながら論文を作成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの正常から病態までの衝動性の理解を意識し、時間による報酬割引に関わる分子・神経・行動の一貫した神経基盤の理解を目指す。そのため、脳内の伝達物質の一つであるセロトニンに着目し、時間による報酬割引の意思決定におけるセロトニン伝達の役割とそれに関係する神経表現を特定することを目的とする。 2023年度は昨年度に行ったセロトニン受容体阻害の程度と報酬価値またはコストに基づく意欲についてまとめ、PlosBiology(https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3002445)に掲載された。この論文では全身での5-HT4受容体阻害投与によって、報酬価値やコストに対する意欲そのものに影響は与えないことが示された。 加えて、尾状核が5-HT4受容体を介したセロトニン伝達によって遅延報酬選択行動をどのように調節しているのかを遅延報酬課題を用いて調べた。バーを握ると報酬量(1滴と4滴)と報酬までの遅延時間(0.3秒、3.6秒、6.9秒、10.5秒)の8条件それぞれを示す視覚刺激が提示され、バー放しの合図で放せば成功試行となり、時間内(0.2-1秒)にバーを放さない、または0.2秒以内にバーをはなした時は不成功試行となる。この不成功試行は行動の拒否を反映することから、行動指標とした。拒否率と遅延時間の関係は、遅延時間が長くなるほど増加し、4滴よりも1滴の報酬量の時に増大して、直線的な増加を示した。この関係について回帰解析を行った結果、回帰直線の傾き(衝動性係数)はコントロールよりも5-HT4受容体阻害剤で有意に増加し、衝動性が増えていることが2頭のサルで示された。この結果は尾状核の5-HT4受容体を介したセロトニン伝達は衝動的な意思決定の調節に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2頭のサルで尾状核への5-HT4受容体阻害剤の局所投与を実施し、2頭で一致した結果を取得し、論文にまとめることができた。また、PETイメージングによる薬量の定量評価と報酬価値、コストに基づく意欲の関係を示した論文が掲載され、本研究の結果を支持することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、神経活動記録と薬理投与を同時に行い、5-HT4受容体阻害による神経活動の変容を調べるため、円滑に実験が実施できるよう動物の健康管理、行動の安定化に努める。CT-MRIイメージングによる局所注入、神経細胞記録位置の確認が可能であるため、組織学的検討を待たずして結果をまとめていく。最終年度となるため、実験に必要な物品については年度初めに準備し、実験を計画する。また、これまでの成果を報告するために学会発表を行う。加えて、現在投稿中の論文の掲載に注力する。
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