REM睡眠による異常タンパク質の排出増加はアルツハイマー病を治療できるか?
Project/Area Number |
22K07373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長沼 史登 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80780519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | メラニン凝集ホルモン / アルツハイマー病 / AAVベクター / REM睡眠 / アルツハイマー型認知症 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画は3年で実施する。初年度は、MCH神経細胞の活動を制御するAAVベクターの作製・購入を行い、MCH神経細胞全体の制御、または経路特異的な制御により、ADモデルマウスでどの程度REM睡眠量が変化するかについて明確にする。2年目から3年目は、実際にMCH神経細胞の活動制御によるREM睡眠量の増減がADモデルマウスの病態にどのような影響を与えるかについて検討を行う。計画では、2年目は主に組織学的検討やペプチドダイアリシスなどで異常タンパク質の排出と蓄積の変化について検討し、3年目は認知機能、その他周辺症状について行動薬理学的に検討する予定である。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症 (AD) の発症要因の一つとして、脳内に異常タンパク質が蓄積することが挙げられる。ADでは早期から睡眠障害が併発し、特にREM睡眠の減少が異常タンパク質の排出を低下させ、病態増悪に関与することが示唆されている。しかしながらAD病態の増悪と、REM睡眠量の関係についての詳細は明らかでない。視床下部外側メラニン凝集ホルモン (MCH) 神経は、活性化するとREM睡眠を特異的に増加させる。そのため本研究ではMCH神経でのみ特定遺伝子を発現させるAAVベクターを作製する。これを用い、ADモデルマウスにおけるMCH神経の活動を特異的に制御した際に増減するREM睡眠量がADの病態にどのような影響を与えるかについて明らかにする計画である。今年度は、ADモデルマウスである、App-KIおよび、rTg4510の繁殖ラインを確保した。また、組織学的検討条件または、認知機能・周辺症状を行動薬理学的に解析する実験環境を整えた。最後に、MCH神経の神経活動を特異的に制御するため、MCHプロモーター下流にCre および青色蛍光タンパク質 (EBFP) を発現するAAVベクター (AAV-MCHpromotor-Cre-EBFP) を作製した。作製したAAVをまず野生型マウスの視床下部外側に打ち込み、EBFPの発現を検討したが、蛍光顕微鏡でEBFPの発現は確認できなかった。次に、Cre依存的にmCherryを発現するAAVを同時に打ち込み、Creの活性について検討したが、こちらもmCherryの発現は確認できなかった。AAVベクターにてMCH神経特異的に遺伝子 (GFP) を発現させる方法は他のグループから報告があるため、マーカータンパク質としてEBFPを新たに選択したことが問題であった可能性が考えられる。また、AAVの注入条件等についても今後詳細に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で実験に必要なApp-KIマウス、rTg4510マウスの繁殖ラインは確保した。また、アミロイド斑またはtauタンパク質を検出するための免疫染色の条件、および認知機能や周辺症状を検討するための行動実験設備のセットアップが完了したため、実験体制が整ったと言える。AAVベクターの作製は完了したが、目的遺伝子の発現が本年度確認できなかった。そのため、今後はAAVの注入条件や、新たなAAVのコンストラクト作製など考慮し、CreとEBFPの発現を組織学的に検討することを視野に入れて実験を行う。実験環境が整備できたこと、および解決すべき問題が明確になったことは初年度の成果としては、本プロジェクトは概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
AAVベクターの作製は完了したが、MCH神経特異的にEBFPの発現や、Creの活性が確認できなかった。AAVの注入量、注入速度、部位に関してもう一度再検討する必要がある。また、EBFPやCreの発現については免疫染色などで検討し直すことも視野に入れる。また、後の汎用性を考え、AAV-MCHpromotor-Cre-EBFPを作製したが、MCH神経特異的に直接hM3Dq (および、hM3Dqと使用実績があるマーカータンパク質であるmCherry) を発現するAAV-MCHpromotor-hM3Dq-mCherryを新たに作製することも検討している。AAVにてどうしても特定遺伝子の発現が認められない場合は以下の方法の導入を検討する。まず、MCH-CreマウスをJackson研究所から購入できるため、マウスを新たに購入し、App-KIマウス、rTg4510マウスと掛け合わせ、MCH神経特異的にCreを発現するADモデルマウスを新たに作製する。また、実験用試薬としてMCH受容体アゴニストが購入可能なため、その投与でREM睡眠量が増加するか明らかにし、実験に利用することも今後検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)
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[Journal Article] In vivo [18F]THK-5351 imaging detected reactive astrogliosis in argyrophilic grain disease with comorbid pathology: A clinicopathological study2023
Author(s)
Ryota Kobayashi , Tadaho Nakamura, Fumito Naganuma, Ryuichi Harada, Daichi Morioka, Masafumi Kanoto, Shozo Furumoto, Yukitsuka Kudo, Takanobu Kabasawa, Koichi Otani, Mitsuru Futakuchi , Shinobu Kawakatsu, Nobuyuki Okamura
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Journal Title
J Neuropathol Exp Neurol .
Volume: -
Issue: 5
Pages: 427-437
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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