がん特異的糖鎖抗原を用いた小児がんに対する近赤外光線免疫療法の確立:前臨床モデル
Project/Area Number |
22K07884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長 祐子 北海道大学, 大学病院, 助教 (50507952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真部 淳 北海道大学, 医学研究院, 教授 (20292849)
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
樋田 泰浩 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30399919)
植木 将弘 北海道大学, 大学病院, 医員 (30815288)
中島 孝平 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40907771)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 光免疫療法 / 抗GD2抗体 / 神経芽腫 / 小児がん / 近赤外光線免疫療法 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,頭頸部がんにたいし既に有効性が確認されている近赤外光線免疫療法と神経芽腫及び骨肉腫に発現しているがん特異的糖鎖抗原GD2に着目し,まずはじめに細胞株を用いて抗GD2抗体を光感受性物質のがん細胞結合物として用いた際の有効性を検討する.有効性が示された場合、動物実験に進み生体内での有効性を検討する.将来的には本研究を基盤として,予後不良の小児がんに新たな治療戦略をもたらされることが期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度、抗GD2抗体を用いた光免疫療法(以下PIT)が神経芽腫に適用可能か否かを検討するため、マウス化抗ヒトガングリオシドGD2モノクローナル抗体(clone 3F8)と光感受性物質IR700との抗体-光吸収体(以下APC)を作成し、GD2を発現するヒト神経芽細胞腫細胞株(SK-N-SH)を用いてin vitroおよびin vivoで基礎実験を行なった。in vitro実験では細胞の形態変化およびフローサイトメトリー(FCM)による死細胞の定量化によりPITの効果が確認された。In vivo実験ではSK-N-SH-Tumor搭載マウスを作成し、PIT群と非治療群(コントロール群)の2つに分け観察したところ腫瘍サイズの縮小と組織学的にも腫瘍組織の破壊が確認されPITが神経芽腫に有効である可能性が示唆された。 2023年度は同様にGD2を発現する小児がんの一つである骨肉腫の細胞株(NOS-10)を利用して同様の現象が認められるか否かを検証した。In vitro実験ではNOS-10においてもPITによる細胞の形態変化およびFCMによる死細胞定量化のいずれにおいてもSK-N-SHと同様の結果が得られたが、NOS-10-Tumor搭載マウスを用いたin vivo実験では、腫瘍サイズの明らかな縮小は観察されなかった。またSN-N-SK-Tumor搭載マウス群もNOS-10-Tumor搭載マウス群もコントロール群も、設定した観察期間の範囲では生存率に差は見られなかった。SK-N-SHとNOS-10のin vivo実験の結果の相違は主に腫瘍細胞のGD2発現量に関連があると考えられた。また一部のマウスでは時間経過後の腫瘍の再増大が観察され、APC投与量や照射方法など、より適切なPITプロトコールの検討が必要と考えられた。これまでの成果については国際学会にて発表し、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は、代表的な小児がんであり予後不良とされる神経芽腫及び骨肉腫に対して、これら腫瘍組織に高頻度に発現しているヒトガングリオシドGD2をターゲットにした光免疫療法(以下PIT)が適用可能かどうかを検証することである。GD2を発現した神経芽腫細胞株および骨肉腫細胞株を用いた実験は、前年度および今年度にかけてin vitro実験でその一定の効果が確認できている。In vivo実験として、両腫瘍細胞株とマウスを用いた異種腫瘍移植モデルにも進んでおり、研究は概ね順調に進展していると考えている。 ただしIn vivo実験では細胞株間で効果の相違が観察されており、これが疾患(神経芽腫と骨肉腫の腫瘍としての質の違い)に起因するものなのか、GD2の発現量に関連するものなのかをさらに探索していく必要がある。またPITで間接的に誘導されると報告されている抗腫瘍免疫効果(アブスコパル効果)についても評価が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、in vitro実験はもとより、神経芽腫細胞株および骨肉腫細胞株の搭載マウスに対するin vivo実験を継続しデータを蓄積することにより、抗ヒトガングリオシドGD2モノクローナル抗体(clone 3F8)と光感受性物質IR700をconjugateさせたAPCによる光免疫療法(PIT)の有用性と安全性につき、より信頼性のある評価を導き出す。 具体的には、以下のようなことを計画している。(1)各々の疾患についてGD2発現量の異なる複数の細胞株で実験を行う。(2)一部の腫瘍搭載マウスでは時間経過後に腫瘍の再増大を認めており、より効果的なPITプロトコールを検討するとともに、(3)PITにより誘導される可能性のある抗腫瘍免疫の評価として免疫関連細胞や分子について解析を行う。可能であればGD2の発現を増幅させたり、免疫機能を修飾するような薬剤、腫瘍細胞死のシグナル経路に修飾を与える薬剤との併用効果についても検討できると良い。(4)さらに現在使用しているclone3F8はマウス化抗体であるため、ヒト化抗体を利用し再現性を確認する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)