Attempt of translational research of cardiovascular disease introducing mathematical statistics
Project/Area Number |
22K08113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 道博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30264295)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / 副腎皮質刺激ホルモン / 急性冠症候群 / 心不全 / 構造方程式モデリング / ベイス推定 / 尿酸トランスポーター1 / パルミチン酸 / 共分散構造分析 / ベイズ推定 / ANP / BNP / T1AM / 虚血性心疾患 |
Outline of Research at the Start |
当科の臨床データベースを用いて、各種循環器疾患、特に心不全や虚血性心疾患の病態を臨床的背景などの多彩な修飾因子を用いて統計学的に検討する。解析には構造方程式モデリングやベイズ推定を活用する予定である。一方、基礎研究での展開も目指しており、上記のテーマに関してマウスを用いた各種の実験を予定している。当該研究を「数理統計学を導入した循環器疾患のトランスレーショナルリサーチの試み」として提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当科で構築した膨大な臨床データベースを用いて、各種循環器疾患、特に心不全や虚血性心疾患の病態を臨床的背景などの多彩な修飾因子を加味して統計学的に検討することを目指している。解析には構造方程式モデリングやベイズ推定を活用している。一方、基礎研究での展開も目指しており、動物モデルを用いた各種実験を行っている。総じて、当該研究を「数理統計学を導入した循環器疾患のトランスレーショナルリサーチの試み」 と称しており、臨床での疑問点を統計学と基礎研究の双方から解明を試みる計画である。今年度は予定していた臨床研究の一つを論文発表することができ、基礎研究においても尿酸に関する新しい知見を論文で発表することができた。 臨床研究の内容としては、「急性冠症候群の症例におけるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対する抑制効果」である。基礎研究としては、「尿酸トランスポーター1(URAT1)は心筋細胞で発現し、選択的URA1阻害薬のドチヌラドは食餌誘発性代謝性心疾患の発症を緩和する」である。 今後の展開としては、毎年更新されるデータベースのさらなる質の向上を試みて、それを利用して臨床現場で見出された様々な疑問に対して数理統計学を用いて解析を続けていく予定である。テーマは、低酸素症と肺循環および心機能との関連、低酸素症と尿酸値との関係、肥満症における急性心筋梗塞の特徴、栄養状態と心不全の予後との関係などである。基礎研究としては、マウスを用いて低酸素環境とBNP遺伝子発現の関係を詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、臨床研究として「急性冠症候群の症例におけるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対する抑制効果」を発表した。ナトリウム利尿ペプチド(NP)は多彩な作用を有するが、視床下部-下垂体-副腎軸(HPA axis)にも作用すると考えられている。しかし、ヒトの急性冠症候群(ACS)においてBNPとHPA軸の関係性は明確ではなかった。我々は、ACSにおける血漿BNP濃度と血漿ACTHおよびコルチゾール濃度との関係性を検討した。単および重回帰分析、偏相関分析、構造方程式モデリングを用いて検討した結果、ACSの急性期において血漿BNP濃度は血漿ACTH濃度と負の関係性にあり、過度のストレス反応をBNPが抑えている可能性が示唆された。 基礎研究として「尿酸トランスポーター1(URAT1)は心筋細胞で発現し、選択的URA1阻害薬のドチヌラドは食餌誘発性代謝性心疾患の発症を緩和する」を発表した。本研究は、高脂肪食 (HFD) を摂取した肥満マウスの心臓と新生児ラット心筋細胞 (NRCM) を用いた研究である。まず、URAT1は腎臓以外では心筋細胞でも発現しており、実際に尿酸トランスポーターとして機能していることを確認した。ドチヌラドは、心臓の線維化および心機能障害を軽減することを見出した。その機序として、パルミチン酸が NRCM における URAT1発現を増加させ、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK) 経路を介してアポトーシス、酸化ストレス、炎症反応を誘発することを示し、これら全てはドチヌラドによって軽減されることを確認した。以上の結果は、URAT1 が代謝性心疾患の潜在的な治療ターゲットであることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究では以下の如く様々な研究を計画している。①低酸素症と肺高血圧・心機能の関連を検討する。低酸素性肺血管収縮の病態を調べるにあたり、混合静脈血酸素飽和度との関係性が鍵になると我々は考えており、本研究では肺高血圧症臨床分類別に詳細に検討する予定である。さらには、低酸素症の右心系と左心系への影響をそれぞれ検討する計画である。②低酸素症と尿酸値の関係を検討する。高尿酸血症は様々な因子が関与することが知られているが、低酸素症に関しての検討は不十分であり、本研究において検討する。特に、混合静脈血酸素飽和度との関係について検討を行う。③栄養状態と心不全の予後の関係を検討する。心不全における栄養の問題は極めて重要であるが、日本人のデータは必ずしも多くはない。長期予後も含めてその解析を行う予定である。指標としてはGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)を用いるが、本研究の特徴の一つは時間依存性Receiver Operating Characteristic analysis (ROC解析)を用いて検討することである。さらに、④肥満症における急性心筋梗塞の特徴を探る。特に血漿BNP濃度の変動に関して非肥満者と比較して検討する予定である。 基礎研究としては低酸素症とBNP遺伝子発現との関係について検討する。BNP遺伝子の発現刺激因子は多岐にわたるが、低酸素症についての検討は未だ不十分である。本研究においては、低酸素環境を構築する為にHypoxic Chamberを使用し、仔ラット培養心筋細胞(NRCM)を用いて検討する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)