Project/Area Number |
22K08319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53040:Nephrology-related
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
和田 幸寛 北里大学, 医学部, 講師 (10465172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | PTP-ζ / マクロファージ / 腎線維化 / 片側尿細管結紮 / IL-34 / 線維芽細胞 / 尿細管上皮細胞 |
Outline of Research at the Start |
尿細管上皮細胞(TECs)傷害と腎線維化は重要な腎障害促進因子である。我々は過去にマクロファージ(Mq)の増殖因子IL-34が、障害TECsで分泌され、Mq上のcFMSに結合後にMqを増殖させて腎障害を増幅させた事を報告した。一方、IL-34はprotein-tyrosine phosphatase ζ receptor (PTP-ζ) にも結合し、PTP-ζ発現と腎障害との関連も示唆されている。しかし、IL-34/PTP-ζ pathwayの腎障害への影響は不明な点が多い。よって、本検討ではPTP-ζ KOマウスを用いin vitroの検討も加え、腎疾患でのPTP-ζ発現の意義を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
【背景】我々は過去にInterleukin-34 (IL-34) の第2受容体であるprotein-tyrosine phosphatase ζ receptor(PTP-ζ)が、虚血再灌流後腎障害モデルや、ループス腎炎モデルなどの慢性期病変で高発現することを報告したが、PTP-ζの腎障害への影響は不明のままである。そこで片側尿管結紮 (UUO) によって腎線維化を惹起し、腎線維化とPTP-ζとの関連を検討した。 【方法】10週齢雄C57BL/6 (B6) マウスの野生型 (WT, n=14) とPtprz1 をCRISPR/Cas9にて遺伝的に欠損させた群 (KO, n=16) にUUOを施し、Day 14に屠殺した。尚、偽手術 (Sham)のB6マウスを対象群 (n=4) とし、免疫染色やqPCRおよびFACSを用いて線維化関連事象の解析を行った。 【結果】Sham群と比較し、WTの腎組織では、Sirius Red陽性の線維化を伴う尿細管間質障害を認め、IL-34とその受容体 (cFMS、PTPζ) 及び線維化関連因子 (TGF-β, fibronectin) のmRNAが高発現し、F4/80+マクロファージ (Mq) の浸潤が高度であった。KO群では有意に、Sirius Red陽性面積率 (9.0 ± 2.6 vs. 4.8 ± 2.7%, p<0.01) と尿細管間質障害度が減少し、IL-34分泌があるにもかかわらず、cFMSと線維化関連因子のmRNA発現が抑制され、Mq浸潤も軽減していた。また、WTの腎組織で増加していたPDGF及びαSMA陽性細胞数はKO群で有意に低下し、CD206+Mqの浸潤もKO群で軽減していた。 【結語】傷害された腎組織において、IL-34はPTP-ζを介して線維芽細胞の形質転換やM2-like Mqの増殖を調整し腎線維化に寄与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国のCyagen社にCrisper-caspase9にてPTP-rZ1の発現をKnock out (KO)したPTP-ζ KOマウス作成を依頼し、PTP-ζがgenotypingにてKOされているKOマウス作成に成功した。 その後、Cyagen Japanを介して、ヒトPTP-ζと相同性を有するC57BL/6J (B6) マウスのPTP-ζタンパク質を欠損させたKOマウス (6-7週齢、雄2匹、雌2匹)を購入後に本学へ搬入し、雄と雌のKOマウスからそれぞれ精子と卵子を採取して体外受精させ、受精卵を代理母マウスに注入し胎児KOマウスを出産させた。出産後の胎児KOマウスを完全クリーン化した後に交配・繁殖させ、KOのB6マウスの繁殖に成功し、問題なくマウスの匹数を確保しながら実験は遂行できており、支出した資金も想定範囲内であった。 当初の予定通り、2022年度にKOマウスの確立と繁殖の成功、2023年度はKOマウスを用いて野生型 (WT)のB6マウスとの障害度の比較検証をすることができた。また、昨年度に購入したマウス線維芽細胞のNIH3T3の培養と継代にも成功し、マウスbone marrow マクロファージやRAW 264のマクロファージのcell line購入と培養・継代にも成功しており、in vivoだけでなく、in vitroの研究にも着手して徐々に結果が出せており、当初予想していた通りに実験計画が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoの実験系では、採取した野生型 (WT)とPTP-ζを Kock out (KO)したB6マウスの腎臓におけるPTP-ζの発現とIL-34の発現をwestern blottingとELISA kitを用いて評価する。qPCRでは腎のPTP-ζ発現はKO群で完全に抑制されており、IL-34の腎のmRNA発現は両群共に亢進し、有意差を認めなかった。今後、上記の成果に加えて、この点を更に解明し、in vivoでの解析をまとめる予定である。 次に、2024年度はin vitroの実験系を中心に研究を進め、成果を出していく予定である。具体的には購入して培養・継代したNIH3T3とRAW264、更にはWTとKO群のB6マウスのBone marrowから採取したprimaryのマクロファージを用いる。まず、RAW264とprimaryのマクロファージをTGF-βとvehicle, TGF-βとreconbinant IL-34(rIL-34)で刺激し、マクロファージの極性 (M2へのskewingの有無を)をqPCRとFACSで評価する予定である。更に、マクロファージそのものにPTP-ζの発現がないかをwestern blottingとPCRで評価する予定である。最終的には培養マクロファージを刺激・培養したTGF-β+ vehicle及びTGF-β+rIL-34 の上清でNIH3T3を再度培養して刺激し、αSMAの発現亢進の程度を両群で比較して、in vivoで得られたKO群での線維化抑制機序を解明するための実験を進めていく方針である。
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