抗PD-1抗体への獲得耐性に関わる候補分子CD109とCD276の機能解析
Project/Area Number |
22K08374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松澤 高光 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (40568028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪爪 隆史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80334853)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | メラノーマ / 抗PD-1抗体 / 腫瘍特異的T細胞 / バイオマーカー / CD276 / CD109 / 腫瘍特異的CTL / 免疫チェックポイント / 免疫エスケープ |
Outline of Research at the Start |
抗PD-1抗体治療抵抗性の代表的な機序は腫瘍のMHC class I消失であるがそれ以外の多くは不明である。代表者らのグループはそれ以外の逃避機構を人工的に誘導するシステムを開発し、結果として免疫逃避に関わる新規候補分子 (CD109, CD276) を同定した。これらが治療抵抗性に関与する機序は不明であるため、治療抵抗性のバイオマーカーや治療標的として利用できる可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
代表者らの研究グループは抗PD-1抗体の耐性に関わる新規分子機構 (逃避機構) をテーマに研究している。本研究では頻度の高いMHC class I消失以外の機序を、実際に抗PD-1抗体に抵抗性となった臨床サンプルを用いたスクリーニングシステムによって同定した。その結果として、免疫エスケープに関わる新規候補分子2つ (CD109, CD276) に注目した。CD109はメラノーマにおいて、CD276はそれ以外の多くのがん種において、腫瘍細胞における過剰発現が報告されているが、我々の検証ではT細胞によって拒絶される過程のメラノーマ細胞において、発現が顕著に低下していた。メラノーマ細胞上のCD109, CD276それぞれが、ヒトの腫瘍特異的T細胞活性に与える直接の作用については一定した見解がない。本研究ではCD109とCD276それぞれが、抗PD-1抗体投与によって活性化される腫瘍特異的T細胞に与える直接のインパクトとその機序、抗PD-1抗体への治療抵抗性を克服する目的での利用可能性、抗PD-1抗体の効果を予測するためのバイオマーカーとしての利用可能性を検証した。メラノーマ細胞のCD109をノックアウトすると、腫瘍特異的T細胞からの認識が減少した。CD109はTGFbシグナルを負に制御することが知られているが、このT細胞抑制はTGFbを介したものではなく、別の機序が示唆された。また治療前組織のCD109発現量は、抗PD-1抗体の効果と正に相関した。一方メラノーマ細胞のCD276をノックアウトすると、腫瘍特異的T細胞からの認識が増強した。CD276の発現はT細胞が放出するサイトカインでコントロールされていた。また治療前組織のCD276発現量は、抗PD-1抗体の効果と負に相関した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1, メラノーマ細胞、組織におけるCD109およびCD276の免疫染色結果と抗PD-1抗体の治療効果との関連解析:メラノーマ細胞上のCD109およびCD276の発現レベルが、実臨床における抗PD-1抗体に対する治療抵抗性と関与するのかどうかを検証するため、抗PD-1抗体による治療を受けた患者に由来する腫瘍組織(100例)を用いて、CD109およびCD276の免疫染色を実施した。染色はそれぞれを発現する細胞とCRISPR-Cas9でノックアウトした細胞から作成したセルブロックを用いて、染色の特異性を確認した上で実施した。その結果、CD109の治療前組織における発現レベルが高いと予後が良くCD276発現レベルが高いと予後は不良であった。 2, メラノーマ細胞におけるCD109, CD276ノックアウトによるメラノーマ特異的T細胞からの認識の変化の確認:メラノーマ細胞のCD109およびCD276 をノックアウトし、メラノーマ特異的T細胞と共培養した際のT細胞による認識の変化を検証した。CD109についてはノックアウトによってT細胞による認識、細胞障害の程度が有意に減弱し、CD276については有意に増強さることが判明した。以上よりCD109についてはメラノーマ特異的T細胞による腫瘍認識、細胞障害を増強させる作用、CD276については減弱させる作用が示された。 3, CD109およびCD276がメラノーマ特異的T細胞に与えるインパクトのメカニズム解析:現在はCD276のメラノーマ細胞における発現制御機構を解析しており、サイトカイン曝露によって発現が減少することが判明している。CD109については可溶性型と膜結合型があるが、膜結合型が重要なこと、TGFbの関与は示唆されないこと、が分かっている。直接的、具体的なメカニズム解明が今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定した検証は概ね完遂している。来年度は、CD109およびCD276がメラノーマ特異的T細胞に与えるインパクトについて、直接的なメカニズムを解析することに充てる。分担者の猪爪教授の指導のもと、CD271, CD155など多く分子について機能を解明してきた実験系を利用するので、遂行に関する技術的な問題はない。さらに、ここまで判明した知見について、各学会で発表しつつ、欧米の雑誌への投稿も行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)