エイコサペンタエン酸のTGF-β1抑制作用に着目したリンパ浮腫薬物療法の開発
Project/Area Number |
22K08378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 真規 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40733514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 浜松医科大学, 医学部, 技術専門員 (20397433)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / リンパ浮腫 / 薬物治療 / 皮膚硬化 / 皮膚線維化 |
Outline of Research at the Start |
悪性腫瘍手術や放射線治療後にリンパ還流が障害され、二次性リンパ浮腫が発症する。四肢浮腫、倦怠感を生じ、罹患者の生活の質は障害される。しかし、リンパ浮腫への有効な薬物療法は確立されていない。我々はリンパ浮腫動物モデルを開発し、皮膚線維芽細胞や皮下脂肪細胞由来のTGF-β1シグナルが、リンパ浮腫の皮膚硬化に関与することを報告した。TGF-β1シグナルを抑制できれば、リンパ浮腫の皮膚硬化を改善できる可能性がある。本研究ではエイコサペンタエン酸のTGF-β1抑制作用に着目し、動物モデルでの基礎研究と、ヒトリンパ浮腫症例への臨床試験を行い、治療効果を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
外科的手技によりラットリンパ浮腫モデルを作成した。エイコサペンタエン酸をリンパ浮腫ラットモデルに投与すると、下肢浮腫が減少し、皮膚硬化も改善することを示した。具体的には、水置換法で体積が減少、Azan染色で膠原繊維が減少、PCRでコラーゲン発現が減少、超音波顕微鏡で皮膚硬度が減少していた。また、TGF-β1発現が減少し、筋線維芽細胞が減少していたことから、EPAによるTGF-β1抑制作用が寄与している可能性が考えられた。さらにEPA投与によりSmad2/3のリン酸化が抑制されていることを示した。EPA投与は線維芽細胞からのTGF-β1産生を抑制し、Smad経路を抑制し、皮膚硬化が改善したと考えられた。また、エイコサペンタエン酸は脂質異常症の改善効果が報告されている。ラットモデルにおいても、エイコサペンタエン酸投与により、皮下脂肪が減少した。さらに皮下脂肪中に見られるマクロファージの王冠様構造が減少し、脂肪組織由来のTGF-β1産生も抑制された。さらにEPAのリンパ還流改善効果について検証を進めている。皮膚線維化が抑制されたため、リンパ管内腔が温存されたことが、リンパ還流の改善につながったと考えられる。さらに、TGD-β1には内皮細胞を間葉系細胞に転換する作用(内皮間葉転換)がある。リンパ浮腫の皮膚リンパ管には内皮間葉転換を認める。EPAを投与すると、内皮間葉転換が抑制されリンパ管が温存される可能性がある。現在、細胞実験にて、これらの作用機序の解明を進めている。これらが証明されれば、エイコサペンタエン酸には、皮膚線維化抑制、皮膚リンパ管の温存、皮下脂肪の減少という複数の作用機序を持つリンパ浮腫治療薬として、臨床応用へ期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エイコサペンタエン酸による治療効果を示した。その作用機序について解明を進めている。内皮間葉転換の抑制効果等、当初の計画では想定していなかった作用がみられたため追加実感が必要であるが、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験を中心に、エイコサペンタエン酸によるリンパ管内皮細胞への治療効果の解明を進める。さらに、研究全体をまとめ、学術雑誌への投稿を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)