Project/Area Number |
22K08671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田守 義和 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (90379397)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 脂肪滴形態 |
Outline of Research at the Start |
エネルギー消費型の褐色脂肪細胞では、多房性の脂肪蓄積形態を取ることが、褐色脂肪細胞の高いエネルギー代謝特性に寄与しているのかどうか不明である。この研究では多房性脂肪滴形成に重要なFSP27βを欠損したFSP27β欠損マウスを解析することで、褐色脂肪細胞の多房性脂肪滴形成が、脂肪細胞レベルおよび個体レベルで糖脂質エネルギー代謝にどう影響しているかを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
褐色脂肪細胞に発現し多房性の細胞内脂肪滴形成に重要と推測されるFSP27βを欠損したマウスを作成し、エネルギー代謝からみた褐色脂肪細胞における多房性脂肪滴形態の意義の解明を目指している。2023年度は以下の検討を実施した。 (1)高脂肪食飼育マウスによる検討:高脂肪食飼育による環境下では、FSP27β欠損マウスの褐色脂肪組織のサイズは野生型マウスの褐色脂肪組織に比べて不変からやや大、脂肪滴サイズは著明に大きかった。白色脂肪組織には著変を認めなかった。摂餌量や体重は両群間で有意差を認めなかった。耐糖能もFSP27β欠損マウスと野生型マウス間で有意差を認めなかった。寒冷刺激(室温4度を6時間)においても、両群のマウスの深部体温には有意差を認めなかった。 (2)電子顕微鏡による褐色脂肪細胞の検討:FSP27β欠損マウスでは脂肪滴は野生型に比べて圧倒的に大きく、大きな脂肪滴の数も少なかった。しかしミトコンドリアの形態やミトコンドリアと脂肪滴の関連には著変を認めなかった。 (3)フラックスアナライザーで培養細胞を用いてミトコンドリア機能を評価出来る系を立ち上げた。また褐色脂肪組織から分離・培養したstromal vascular fraction(SVF)由来の培養細胞を成熟脂肪細胞に分化誘導させる系を完成させた。 まとめると、マウスを高脂肪食で飼育しても、通常食で飼育したときと同様に耐糖能や摂餌量、深部体温にはFSP27β欠損マウスと野生型マウスの間には顕著な差を認めなかった。現時点では、褐色脂肪細胞における細胞内蓄積脂肪滴形態は、褐色脂肪細胞に特有の遺伝子発現や酸素消費に大きな影響を与えないが、細胞内でのエネルギー基質を脂肪酸から糖質優位へと変換させる可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、FSP27βによる脂肪滴形態はエネルギー代謝には大きくは関与せず、エネルギー産生基質の選択性にのみ関わっている可能性が高い。今後は並行して進めているFSP27β欠損マウスの褐色脂肪組織の網羅的遺伝子解析やメタボローム解析から得られる結果やデータも参考にして、効率よく次年度の計画を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
褐色脂肪細胞内の多房性脂肪滴形態は細胞内のエネルギー基質の選択性に影響する可能性がある。単房性脂肪滴は細胞内での脂肪酸の利用効率が低下し、このためエネルギー産生の基質を糖にシフトさせるのかもしれない。それを明らかにするため、フラックスアナライザーを用いて、解糖系やミトコンドリアでの好気呼吸の状態を詳細に検討する必要がある。2023年度に確立したフラックスアナライザーの測定系を用いて、単離した褐色脂肪細胞、SVFから分化させた培養脂肪細胞、FSP27βを過剰発現させたCOS細胞でのミトコンドリアにおける糖と脂肪酸の基質選択性を解析する予定である。 また白色脂肪細胞に豊富に発現するFSP27αが、脂肪酸を酸化する過程で重要な機能を果たすACSを抑制する可能性を、COS細胞にFSP27αとFSP27βを過剰発現させて検討する。 さらに並行して行っているFSP27β欠損マウスの褐色脂肪組織における網羅的遺伝子発現の検討結果も踏まえ、昨年度までの結果と合わせて、褐色脂肪細胞におけるFSP27βの脂肪滴形態に及ぼす役割および褐色脂肪細胞における脂肪滴形態の生理的意義を解明する。
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