Development of new preoperative therapy for esophageal cancer based on the dynamics of tumor-infiltrating lymphocytes
Project/Area Number |
22K08892
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
|
Research Institution | Ehime University (2023) Kobe University (2022) |
Principal Investigator |
押切 太郎 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30771498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
齋藤 雅史 帝京大学, 基礎医学, 助教 (80826321)
高村 史記 近畿大学, 医学部, 講師 (90528564)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 食道癌 / 術前化学療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 人工知能イメージサイトメトリー / 組織滞在型メモリーCD8+T細胞 / 空間的情報 / RNA解析 / 空間的解析 / レジデントメモリーCD8+T細胞 |
Outline of Research at the Start |
1レジデントメモリーCD8+T細胞(TRM)は食道癌FP/ FP+ICI療法における予後や治療効果を左右すると考えられ、TRMの動態を深く理解することの重要性が示唆される。『食道癌腫瘍内CD8+TRM 細胞は抗腫瘍免疫応答に寄与するのか』を課題として、これを検証するために、食道癌症例とマウスモデルを用いて、 ①FP後食道癌の腫瘍内TRMの動態の解明、②食道癌に対するFP療法は腫瘍内TRMを増加させるのか?、③TRM及びその関連因子(IL-17やEomes)がFP療法の治療効果予測因子や予後予測因子となるか? ④FP+ICI治療の有効性とTRMの関連性と機序を明らかにすることである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食道癌の術前化学療法(NAC)における腫瘍免疫微小環境(TIME)の変化に着目し、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)併用による新規術前療法の開発を目指すものである。食道癌は予後不良な悪性腫瘍の一つであり、治療成績の向上が急務とされている。現在の標準治療であるNACと手術の組み合わせに加え、NACによるTIMEの変化を理解し、それに基づいた新たな治療戦略の開発が必要である。 本研究では、独自開発の人工知能イメージサイトメトリーであるCu-Cytoを用いて、食道癌NAC症例の組織学的解析を行う。Cu-Cytoは、多重免疫組織化学染色と形態認識による細胞の識別、および細胞の空間的情報のデータ化が特徴であり、従来の病理学的評価では困難であったTIMEの詳細な解析を可能にする。特に、抗腫瘍免疫応答に重要な役割を果たす腫瘍内組織滞在型免疫記憶CD8+T細胞(CD8+TRM)の動態に着目し、NACによるCD8+TRMの変化を明らかにすることで、ICIの最適な併用タイミングや対象患者の選択基準の確立につなげる。さらに、空間的RNA解析によりCD8+TRMの腫瘍内への誘導メカニズムを解明し、CD8+TRMの集積や活性化に関与する因子を同定することで、新たな治療法の開発につなげる可能性がある。Cu-Cytoを用いることで、細胞間距離をTIMEの細胞間相互作用を評価するパラメータとして利用可能になり、腫瘍細胞と免疫細胞の空間的な位置関係の定量的な評価が可能となる。これにより、より正確で再現性の高いTIMEの解析が実現する。 本研究により、NACによるTIMEの変化とCD8+TRMの動態が明らかになれば、ICIの併用による食道癌の新規術前療法の開発に寄与すると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食道癌病理組織切片の多重免疫組織化学染色の条件設定は完了しており、深層学習アルゴリズムに基づくイメージサイトメトリーであるCu-Cytoのアノテーション作業を経て、食道癌のプログラムが完成し、サンプルの染色を行っている段階である。Cu-Cytoでの解析所見は、病理医による顕微鏡での評価所見に大きく矛盾していないことから、一定の精度で食道癌TIMEを構成する細胞の識別が可能であることが確認されている。特にCD8+TRM(本研究ではCD103+CD8+T細胞として定義)の検出精度は90%以上を達成しており、他の細胞種においても概ね90%台の精度を得ている。 また、共局在指標(co-localization index: CLI)の解析プログラムを整備中である。CLIは、Cu-Cytoで得られる細胞間距離をもとに、細胞間相互作用の数値化を試みるものであり、現在、腫瘍細胞とCD8+T細胞の組み合わせにおいて、CLI高値群で良好な無再発生存期間を示す結果が得られている。TIMEに存在する多様な細胞の組み合わせでCLIを評価できることがCu-Cytoの利点であり、現在識別可能な10種類以上の細胞について、ICIの標的とされるCD8+TRMも含めて様々な組み合わせでCLIを算出し、治療効果の評価指標としてより適した組み合わせをプログラミングにより自動化し、効率的な評価方法の確立を目指している。 一方で、細胞検出アルゴリズムの検出精度管理については、間もなく成果をまとめることが可能な状況である。また、CLIの意義に関する報告の準備も進めている。全体の進捗状況としてはやや遅れが生じているものの、今後は解析基盤の効率化を図りつつ、転移学習の精度向上とCLIの最適化を進めることで、研究の加速を目指す方針である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Cu-Cytoによる食道癌TIME解析の計画は、概ね順調に進行している。Cu-Cytoの細胞識別精度に関する客観的評価についても、学習段階ごとの細胞識別精度評価を自動的に行えるシステムの構築が進んでおり、近日中に報告予定である。このシステムにより、Cu-Cytoの性能評価がより効率的かつ正確に行えるようになると期待される。 Co-localization index (CLI) の解析については、現在、自動化して行うプログラムを作成中である。このプログラムが完成すれば、TIMEにおける様々な細胞間相互作用を網羅的かつ迅速に評価することが可能となり、治療効果予測に有用なバイオマーカーの同定が加速すると考えられる。 また、本研究では、食道癌のマウスモデルの作成も進めている。まずは、大腸癌または卵巣癌の自然発生モデルの採用を検討する予定である。これらのモデルを用いることで、食道癌の発生・進展過程におけるTIMEの動的変化を詳細に解析することが可能となり、新たな治療標的の同定や、より効果的な免疫療法の開発につながると期待される。 今後は、Cu-Cytoの性能評価システムの確立、CLIの自動解析プログラムの完成、およびマウスモデルの作成を着実に進めることで、食道癌に対する新規術前療法の開発を加速させていく方針である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)