天然食品成分による口腔癌幹細胞抑制メカニズムの解析:効果的口腔癌治療を目指して
Project/Area Number |
22K10156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
福田 正勝 明海大学, 歯学部, 講師 (10311614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 健二郎 明海大学, 歯学部, 教授 (50347093)
佐藤 毅 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60406494)
佐々木 惇 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (80225862)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 口腔癌 / p53 / CD44 / c-Met / 細胞死 / ポリフェノール / ピセアタンノール(PIC) / 癌幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
癌幹細胞こそが癌の再発・転移の元凶だったことが判明した現在、癌幹細胞マーカーを標的とした様々な研究が繰り広げられている。そして近年、種々の癌幹細胞マーカーに対する分子標的治療薬や抗体薬などの開発が行われている一方で、ポリフェノールの様な天然食品成分が癌幹細胞マーカーに対して特異的に機能抑制作用を示すことが報告されている。しかしながら、口腔癌における癌幹細胞マーカーの機能の詳細については未だ不明である。そこで、癌幹細胞を標的とし、ポリフェノールを作用させた際の口腔癌の増殖・進展の抑制メカニズムを解明し、口腔癌の効果的治療法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
35例の口腔扁平上皮癌患者のホルマリン固定パラフィン包埋材料を用いて、CD44、c-Met、p53、SREBP1、E-FABP、NF-kB、FASに対する免疫組織化学的検索を行い、その発現強度および局在を確認した。その結果、40例中32例の腫瘍細胞の核にp53陽性、全例の細胞膜にCD44陽性、20例の細胞膜にc-Met陽性反応を、全例の腫瘍細胞の核にSREBP1、NF-kBの陽性反応を認めた。このことからp53遺伝子変異によって癌幹細胞マーカーであるCD44及びc-Metの調節機能に異常をきたし、脂質代謝の増強を経て癌の増殖・進展が亢進されることが示唆された。 前年度の研究結果から、5種のヒト口腔癌由来株化細胞(HSC-2、HSC-3、HSC-4、Ca9-22、SAS)においてCD44及びc-Met mRNAとタンパク質発現量はSAS細胞とHSC-3細胞において他よりも強かったことから、この2細胞株を用いて実験を継続した。 SASとHSC-3細胞におけるCD44、c-Met mRNAの発現をsmall interfere (si) RNAを用いてノックダウンしたところ、両細胞の増殖活性は明らかに抑制され浸潤能は低下したが細胞死には至らなかった。次に、この際の脂肪酸の取り込み量について、Fatty Acid Uptake Assay Kitを用いて検索したところ、両細胞とも低下した。以上の結果から、p53遺伝子変異株であるSAS細胞とHSC-3細胞において、癌幹細胞のマーカーであるCD44及びc-Metが脂質代謝を介してその増殖活性に重要な役割を担っていることが示唆された。次に、ポリフェノールであるピセアタンノール(PIC)の濃度を変えて24時間作用させた時の細胞動態の変化について解析したところ、両細胞とも0.01 MのPICにて細胞死が誘導され、脂肪酸の取り込みも低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はフローサイトメトリーやWestern blot法の実験ノウハウも安定したため、期待したデータが得られるようになり、また、35例の口腔扁平上皮癌患者の術前放射線・化学療法を受けていないホルマリン固定パラフィン包埋材料も入手できたので、当初想定した実験結果を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
① 引き続いて、多数の口腔扁平上皮癌の未治療組織材料を用いて、免疫組織化学的にCD44、c-Met、p53、SREBP1、E-FABP、NF-kBおよびFASの発現強度および局在を確認する。これらの結果と個々の症例の臨床病理学的諸因子との相関関係について解析を行う。 ② CD44およびc-Metの発現増強が認められたHSC-3細胞とSAS細胞を用い、in vitroの系で研究を行う。c-Met、CD44に対する蛍光抗体を用いて口腔癌細胞株からフローサイトメトリーにてc-Met陽性細胞、CD44陽性細胞、c-Met・CD44両陽性細胞それぞれを純化して単一細胞として分離抽出し、継代培養にて増やし、それぞれに対して前実験で得たピセアタンノール (PIC)の指摘濃度・時間を直接作用させた際のc-Met、CD44、SREBP1およびNF-kBの活性動態をmRNAおよびタンパク質レベルで解析し、さらに細胞死の検索を行う。 ③ 上記で得られた、癌幹細胞マーカーを発現する単一細胞株を用いて継代培養を行い、ヌードマウスの背部皮下に播種し腫瘍形成して組織サンプルを採取して、CD44、c-Met、p53、SREBP1、E-FABP、NF-kBおよびFASの発現強度および局在を確認すると同時に、形成した腫瘍に対しPICを作用させた際の腫瘍縮小効果および正常組織への副作用の有無について検討する。 次年度は、Cell Sorterを用いたシングルcell解析と動物実験に重点を置いて研究を進めるため、研究費はこのアッセイ系に費やされる金額が多いと考える。しかし、フローサイトメトリーと動物実験にて70万円ほどの使用計画を立てているため、資金としては十分に足りると考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)