明治中期から後期における「野外教育」についての比較史的研究-地域性の視点から-
Project/Area Number |
22K11688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野口 穂高 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60434263)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 野外教育 / 野外における教育 / 地域性 / 林間学校 / 身体虚弱児童 / 文部省 / 富山県 / 明治期 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、明治期の小学校や教育会が実施した野外教育実践について、地域性を活かした活動という視点から比較史的に分析し、その特質や意義を明らかにするものである。 研究方法は以下の通りである。初年度は各地で実践された野外教育の資料調査・収集・分析を行う。第2年度は対象地域の実践を比較史的に分析し、その固有性・独創性の解明を進める。第3年度には、明治期の野外教育の特質・意義を総体的に検討し、その教育的特質と意義を総合的に解明することを目指す。 研究方法としては、対象地域の図書館や文書館における資料収集と分析を中心に進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明治期の小学校や教育会が実施した野外教育実践について、地域性を活かした活動という視点から比較史的に分析し、その特質や意義を明らかにするものである。 2023年度は、前年度に続き全国の野外における教育活動に関する資料調査を実施するとともに、収集資料の分析を進めた。また、これまで分析した個別の実践について、地域的な差異や共通性に注目しながらその特質を検証する取り組みも実施した。その他、明治後期から大正期にかけての野外活動について、特に実践内容の面に焦点をあて、その連続性と非連続性を分析した。具体的には、文部省が刊行した野外における体育施設に関する報告書の位置づけや内容を分析し、これらの刊行物により、野外における運動・栄養・休養を3つの柱とする虚弱児童向けの野外活動という「理想像」を提示したこと、全国における実践がこの「理想像」を共有して実施されるよう奨励したことを明らかにした。一方で、林間学校をはじめとする体育施設の奨励においては、モデルとなる実践の紹介と民間による実施の奨励を基本方針としたため、各地の実施主体において地域の実状や参加者の要望を反映する「余地」が生じ、目的や内容において独自性を持つ実践を展開することが可能になった点も明確にした。近代日本の野外における教育活動については、その歴史的な発展の過程や特質が先行研究においても十分に明らかにされておらず、その内実を、特に実践面から明確にした本研究は一定の独自性と意義を持つと考える。 昨年度までの成果も含めた一連の研究によって、明治後期以降に各地域で実施された固有の野外における活動が、大正期に文部省が展開した「林間学校」の奨励を中心とする体育奨励策を通じて一定程度「画一化」していく経過など、その史的展開が明確になりつつあると考える。なお、文部省による理想像の提示とその影響については、その成果を論文としてもまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に設定した研究方法は以下の通りである。先ず、初年度は各地で実践された野外教育の資料調査・収集・分析を行う。第2年度は対象地域の実践を比較史的に分析し、その固有性・独創性の解明を進める。第3年度には、明治期の野外教育の特質・意義を総体的に検討し、その教育的特質と意義を総合的に解明することを目指す。 そこで、先に述べたように、2023年度も、前年度の調査を継続し、全国各地の野外における教育活動に関する資料収集を実施するとともに、収集資料の分析をさらに進めた。調査においては、これまでと同様に、野外教育の書籍、新聞・雑誌記事など、各地域における野外教育の概要や実践の状況が報告されている史料の収集を中核とした。また、これまで分析した各地域における個別の実践について、地域的な差異や共通性に注目しながらその特質や意義、課題を検証する取り組みも実施した。とりわけ、実績欄において述べたように、明治後期から大正期にかけての野外における活動について、特に実践内容に焦点化し、その連続性と非連続性についても分析を実施した。 本年度は、個別実践や地域に関する史料を中心に資料調査を実施し、書籍や雑誌・新聞を中心に一定の資料を収集することができた。また、明治期から大正期の「野外における教育」の史的発展の過程について、文部省の動向を中心に分析を進め、その成果を論文としてまとめることができたため、「おおむね順調に進展している」との自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度も、これまで実施してきた個別実践や地域史料の収集を継続的に進める。加えて、収集した史料について比較史的に分析し、それぞれの実践の固有の特質や意義を明らかにするほか、各地の実践に共通する普遍的な要素や価値を検証していく。また、これまで東京市や富山県を中心に分析を進めてきた、明治期から昭和初期までの「野外における教育」の連続性や非連続性について、全国的な視野からの分析をさらに進め、研究対象とする各地域において、いかに「野外における教育」が発展してきたのか、その史的発展の過程を明らかにする予定である。とりわけ、コロナ禍以降は、資料館や図書館で閲覧の制限がなされるなど、資料調査が実施しづらい状況が続いていたため、現地における調査が十分に進められなかった。昨今は、こうした状況も改善されているので、現地での資料調査を通じて、さらなる資料の収集を進めたい。 その他、先に述べたように、本研究課題には基盤となる科研費の研究課題があり、これまでも一定の調査・分析を進めてきた(基盤研究(C)、課題番号:19K11627)。今後も、両課題を連携させながらさらに研究を深め、個別実践の特質や意義、残された課題を明確にするとともに、明治後期の野外における教育活動について全国的な実践状況や特質についても明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)