Project/Area Number |
22K11848
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
笹島 仁 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00374562)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 神経変性 / フェロトーシス / ドパミン / ミトコンドリアストレス / 鉄代謝 / 活性酸素 / モノアミン |
Outline of Research at the Start |
細胞内バルク分解システムであるオートファジーは、フェリチン貯蔵鉄やミトコンドリアから、細胞質への鉄イオン氾濫の引き金となる。ドパミン神経細胞において、ミトコンドリアストレスとドパミン分解代謝がもたらす細胞死に、いずれの鉄イオンの動態変化が関与するか、視覚化により解明する。 また我々は、生薬由来の抗酸化物質であるポリフェノールに強力なドパミン神経変性阻止作用を見出しており、この作用が細胞内鉄代謝にどのような影響を及ぼし薬理作用を示すのか解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、家族性パーキンソン病の責任遺伝子としてミトコンドリア品質管理に関わる遺伝子が多く同定されてる。このため、ミトコンドリアの機能異常や活性低下、これに付随する活性酸素が、パーキンソン病におけるドパミン神経変性の要因のひとつではないかと長く推測されてきたが、ドパミン神経でのみ特異的な細胞死をもたらす機構は未だに判然としない。罹患者の多くを占める孤発性パーキンソン病の原因は依然として不明であり、ドパミン神経細胞の脆弱性を詳らかにすることは、パーキンソン病予防のためのドパミン神経細胞保護方法の探索につながる。 また、ロテノンやMPTPといったミトコンドリア呼吸鎖阻害剤を動物に投与すると、パーキンソン病同様に中脳黒質のドパミン神経が脱落することから、ミトコンドリアの異常がドパミン神経毒性につながることが判明しているが、他の神経細胞は体細胞に比して、ドパミン神経に固有の脆弱性は明らかになっていない。これまでの研究から、既存の活性酸素除去薬は、ミトコンドリアストレス誘導性のドパミン神経細胞死に奏功せず、新たなドパミン神経保護方法が求められる。 本研究では、毒性閾値ぎりぎりのミトコンドリア呼吸鎖複合体阻害剤によるドパミン特異的細胞死は、ドパミン合成阻害剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、鉄キレート剤、オートファジー阻害剤によって抑制しうるという従前研究から、ドパミン神経変性における細胞内鉄イオンの関与を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来研究から、ドパミン代謝とミトコンドリア呼吸はいずれも活性酸素を生じ、ドパミン神経変性における負のシナジー因子と目されてきたが、単に既存の抗酸化物質を添加しても、神経変性は阻止されない。これは、ラジカル発生分子が古典的な活性酸素分子種に留まらない可能性を示唆している。ミトコンドリアは鉄イオンを活性中心とする酵素により呼吸代謝を回転し膜電位を維持しており、代謝回転の不足あるいは膜電位の低下は、細胞質鉄イオンプールからの鉄の動員が惹起される可能性がある。しかし、細胞質鉄イオンの氾濫は、脂質過酸化反応の連鎖によりフェロトーシスを誘導する。そこで本研究では、ミトコンドリアストレス下での細胞内鉄イオンの挙動について視覚化を試みたが、得られた蛍光像はファジーで帰結が難しいものであった。そこで現在、鉄依存的オートファジーであるフェリチノファジーのマーカーとなる蛍光標識NCOA4を作成し、その挙動を観察している。NCOA4は、通常の細胞内環境ではHERC2によりユビキチン化され、細胞内発現レベルは低く抑えられる。本研究では、ロテノン添加時に、蛍光標識NCOA4が安定化し、フェリチンと同様の局在を示したことから、ミトコンドリア呼吸鎖の阻害、あるいはミトコンドリア膜電位の低下が、フェリチノファジーにより細胞質の鉄プールからの鉄動員を誘引することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ドパミン神経細胞様に分化したPC12細胞を用いた顕鏡観察において、ミトコンドリアストレス条件は、NCOA4の安定化、フェリチンとの共局在が示されたが、個々の細胞で反応までの時間にばらつきがあり、最適な時間経過をとらえきれていない。そのため、今後はミトコンドリアストレスの時間経過に伴うNCOA4のタンパク質レベルを生化学的に解析し、細胞集団としての挙動を観察する。 また、これまでの研究によりドパミンの生合成、酸化代謝の阻害は、ミトコンドリアストレス誘導性細胞死を抑制することが判明していることから、未分化PC12細胞においてドパミン生合成酵素、酸化酵素を過剰発現し、ドパミンストレス耐性、およびフェロトーシス誘導性を検討する。
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