Project/Area Number |
22K11999
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60060:Information network-related
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
石橋 圭介 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20710271)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 社会ジレンマ / 限定合理性 / 互恵性 / ネットワークセキュリティ / マルチエージェントシミュレーション / インターネットセキュリティ / 協力行動 / インセンティブ |
Outline of Research at the Start |
インターネットセキュリティ対策において、ネットワーク運用主体が自身の利得のみを考慮し利己的・非協力的な行動を選択することで全体最適と異なる状態になるという社会的ジレンマが知られている。一方、必ずしも常に非協力的な行動を選択するわけではなく協力的な行動も選択されていることもあると考えられる。近年、プレイヤーが一見非合理的な行動をする現象について行動経済学の分野で研究がすすんでおり、その一つに利他性・互恵性といった協力行動も挙げられている。本研究では、インターネットセキュリティ技術導入時に観測される社会ジレンマ状態における協力行動の有無や程度を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
インターネットセキュリティ対策技術普及に関する社会的ジレンマについて、今年度は対策技術として現在普及が進みつつある経路ハイジャックを防ぐRPKI (Resource Public Key Infrastructure) を選定し、社会ジレンマ状況及びジレンマ解消の可能性を分析した。インターネット接続構造を模擬した小規模のネットワーク(100運用主体)上でネットワーク運用主体をエージェントとしたマルチエージェントシミュレーション環境を構築した。本シミュレーション環境では、RPKI導入には一定のコストが発生し、一方その便益であるセキュリティリスク軽減度(ハイジャック被害リスク軽減度)は自エージェントのみならず他エージェントのRPKI導入状況にも依存する。まずエージェントが自身のRPKI導入コストと導入時のセキュリティリスク軽減度合いのみを考慮する合理的な行動を取った場合はセキュリティ技術が普及しない社会ジレンマ状態に陥ることを確認した。一方、エージェントが、他エージェントのセキュリティリスク軽減も考慮に入れる互恵性や、コストとリスク軽減度合いの考慮に不確実性がある限定合理性など、行動経済学で知られている特性にも従って行動する場合には、現在の普及進展状況と同じく、時間発展と共に、ある程度RPKI導入が進み、社会ジレンマが部分的に解消することを確認した。 上記内容を国内研究会招待講演1件、国内研究会1件として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、インターネットセキュリティ技術導入における社会ジレンマ状態の解明およびジレンマ解消の可能性について、小規模環境ながらマルチエージェントシミュレーションによる互恵性および限定合理性に基づく普及可能性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は社会ジレンマ解消の可能性要因として互恵性や限定合理性を確認したが、来年度以降は他の要因の可能性も検討する。 また、それら要因の度合いによるセキュリティ技術普及状況の変化を分析し、実際の普及状況から、各運用主体の要因度合いを推定していく。本検討において必要に応じ検証環境をより実際のインターネット規模に合わせる大規模化も検討する。 その他、RPKI以外のセキュリティ技術、例えば電子メールに関するDMARK等についても対象を拡張していく。
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