Project/Area Number |
22K12119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60332524)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 前庭眼反射 / マルチモーダル / 聴覚 / 音源定位 / 頭部伝達関数 / 仮想空間 / 眼球運動計測 / 空間知覚 / 感覚の不一致 |
Outline of Research at the Start |
視点を安定させるための反射として、頭を動かすと眼球が動く前庭眼反射がある。前庭眼反射は、視点があることで変化するが、視点の位置のあいまいさを変えることで、前庭眼反射にどのような影響があるかを調査する。あいまいさの程度と前庭眼反射の眼球運動の大きさとの関係を明らかにすることで、前庭眼反射の眼球運動から、視覚以外で感じる位置のあいまいさを推定できるようにする。バーチャル音源を使って、音源の位置情報が前庭眼反射に与える影響から、バーチャル音源の位置がどの程度あいまいに感じられたのかを推定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、前庭感覚を基礎として、感覚間の関係を量的に検討し、感覚間の不一致を客観的に比較可能な指標を作ることを目的としている。2023年度には、仮想移動音源を用いて、VORの利得の変化から導出された、知覚される音源位置の「あいまいさ」と、主観評価から推定される、知覚される音源位置の空間的な広がり、すなわち「あいまいさ」を比較検討することを計画した。 2023年度は仮想移動音源による実験環境の構築を行った。東北大学電気通信研究所による頭部伝達関数のデータベース(The RIEC HRTF dataset)に含まれる、日本人の頭部伝達関数の平均値(SAMURAI)を用い、60dBSPLのピンクノイズを原音として、被験者の前方に位置する仮想音源と、回転椅子の回転に同期して被験者の頭部前方で振子様に回転する移動音源とを生成した。しかしながら、生成した仮想音源に対する音源定位実験を行ったところ、音源位置を後方と判断するケースが多く、主観評価による音源位置の「あいまいさ」の推定が困難であることが判明した。そのため、前方のみでなく後方の仮想音源も用意し、前後の音源に対する定位精度の評価を行い、前方音源と後方音源のVORへの影響を検討する実験デザインに変更した。 被験者の前後に位置する仮想音源を用いて、仮想音源に対する音源定位実験と、回転椅子と同期して移動する仮想音源を椅子の回転と合わせて提示した場合のVORの計測実験とを開始した。被験者数は少ないが、検討結果を国際学会(Barany Society 2024)にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初視覚刺激との比較を想定し、被験者の前方に音源を置いた実験条件を設定したが、多くの被験者において、前方の仮想音源が後方に定位された。見えない位置にある音源に対する注意によって引き起こされるVORの利得変化と、被験者前方にあることが明確な視覚刺激によるVORの利得の変化との単純な比較はできないと判断した。そこで、仮想音源に対する空間知覚がVORに及ぼす影響について、前方の空間に対する知覚のみでなく、視覚的には意識することのできない、後方の音源に対する空間知覚がVORに及ぼす影響を検討項目に加え、視覚とは異なる聴覚の空間知覚の特性を検討することとした。2023年度1月には新しいデザインでの実験準備を完了し、3月末時点では4名の被験者によるデータが得られており、実験結果を国際学会(Barany Society 2024)にて発表予定である。 知覚された音源位置の「あいまいさ」として、音源位置の近傍への広がりだけでなく、前方と後方の取り違えを合わせて定義し、聴覚による空間知覚精度がVORに及ぼす影響について検討を開始したことで、実験の開始は遅れたが、当初予定した視覚による空間知覚の「あいまいさ」との単純な比較以上の成果を期待することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
空間知覚の「あいまいさ」を、VORの利得を用いて視覚と聴覚で比較検討する計画であったが、2023年度に行った、仮想音源に対する定位実験により、聴覚の空間知覚の範囲が全周であり、その「あいまいさ」が、視覚に見られる空間位置の広がりとしての「あいまいさ」のみでなく、前後の取り違えを含むことが判明した。これにより、実験の計画を変更し、前方の空間に対する知覚のみでなく、視覚的には意識することのできない、後方の音源に対する空間知覚がVORに及ぼす影響を検討項目に加え、視覚とは異なる聴覚の空間知覚の特性を検討することとした。 新しい実験デザインでデータを蓄積し、前方音源と後方音源のVORにおよぼす影響を、視覚刺激の「あいまいさ」によるVORへの影響と比較することで、聴覚の空間知覚における前後の方向による偏りの有無を明らかにする。視覚と聴覚とをVORを用いた共通の指標により比較するのみでなく、感覚の違いによる空間知覚の特性を加味した視聴覚の不一致の態様を検討し、「酔い」の予測方法の確立を目指す。
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