心地よい音楽聴取環境:潜在記憶及び視聴覚相互作用の感性情報処理と計算モデルの提案
Project/Area Number |
22K12226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61060:Kansei informatics-related
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 靖宏 北星学園大学, 文学部, 教授 (30326532)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 音楽認知 / 感性情報処理 / ”心地良さ” / 潜在記憶 / 視聴覚相互作用 / 計算モデル / “心地良さ” / 情動喚起 / ”心地良さ”の感性情報 |
Outline of Research at the Start |
音楽の基本的な認知過程を明らかにすると同時に、感性情報処理の特徴を明らかにするために、“心地よさ”という概念を設定し、「潜在記憶」、「視聴覚の相互作用」、および「計算モデルの構築」について実証的研究を行う。 具体的には、リズムの潜在記憶の役割を検証し、音楽聴取中の心理的・生理的変化を調べる。また、感性情報的側面について、聴取空間を設営して音楽の拍節性と視覚情報の同期性を操作して視聴覚間の“心地よい”関係性を明らかにする。最終的に、得られた知見を整合的に説明しうる計算モデルを構築した上で、音楽療法などといった現実の場面に赴いて実践を試みると同時にその妥当性と限界を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
音や音楽といった聴覚情報が人間の情動に影響を与えていることは経験的に知られている。しかし、人間の情報処理は視覚優位であるため、我々が感得するそうした感覚は、聴覚と視覚の相互作用によって達成されていると考えるべきである。本研究では“心地よさ”という研究上の基本軸を設定し、「潜在記憶」、「視聴覚の相互作用」、および「計算モデルの構築」という異なる3側面から音楽聴取に対する包括的なアプローチを行う。これにより、音楽認知の基本的な知覚処理過程を土台にした“心地よさ”の感性情報処理過程を明らかにできる。 2023年度は、音楽を構成する物理的要素である「音価」、「音高」および「音色」と、「拍節性」という心理的特性との関係性について、音楽情報の潜在記憶要素という観点からloudness judgement task(Goto, 2001) によって明らかにした。さらに、それらの要素を変化させた音楽を用いることで、音楽による情動喚起過程を音楽聴取過程と関連づけて調査した。これは当初2022年度に計画していた内容のうち積み残した研究であった。 さらに、調査対象者に楽曲を聴取させながら、数小節を1ユニットとして、自身の感情をその都度言語的指標によって調査すると同時に、心拍、呼吸数、皮膚温及びG.S.Rという生理的指標を採取し、両者を付き合わせることで、情動変化を自己認知した時点と、生理的な変化が生じた時点との時間的関係を把握した。その結果、両者は必ずしも同時に生起せず生理的な変化は遅れることを示唆する結果が得られた。 なお、当初予定では音楽聴取空間を設営して、眼球運動統計装置を購入した上で、音楽聴取空間を仮設営して聴き手の注意配分の機能を探索的に調査する予定であったが実現しなかった。2024年度前半に研究エフォートを増やし研究環境を整備することで取り戻すことが出来ると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、元来当年度に予定していた研究を行うために、前年度完遂できなかった研究課題を実行することから開始した。本稿執筆現在ではわずかに遅れているものの、基本的にはおおむね順調に進展したと自己評価している。 2022年度は採択前に決まっていた研修年度であり他の研究機関で研究活動を行っていた。また自身の入院や身内の不幸が重なったために、予定していた計画を完全に実行することは難しかった。そこで、研究エフォートを増やし、2023年度の前半にその積み残し分として、音楽を構成する物理的要素である「音価」、「音高」および「音色」と、「拍節性」を変化させた音楽を用いることで、音楽による情動喚起過程を音楽聴取過程と関連づけて調査することができた。 以上を7月末までに完遂させることができたので、8月以降では、当初予定していた情動の喚起過程の実時間的な推移についての実験的な研究を行った。具体的には、楽曲を聴取させながら心拍、呼吸数皮膚温、G.S.Rを測定すると同時に、言語的指標による自己評価を行わせて、両者の時間的関係を把握することができた。 2023年度では、音楽聴取空間を仮設営して聴き手の注意配分の機能を探索的に調査する予定であったが実現しなかった。ただし、既に準備は完了しており2024年5月中には完了する予定になっている。引き続き現在の研究エフォートを維持することで、ほぼ当初予定どおりの研究活動を実行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半に2023年度積み残し分の活動を行い、後半にかけて当初予定していた内容の研究活動を計画している。 具体的には、2024年5月を目途に音楽聴取空間を仮設営して聴き手の注意配分の機能を探索的に調査する。終了後直ちに眼球運動測定装置本体を購入し実験環境を整えた上で研究本体にに取りかかる。 現時点では、特に研究計画を変更しなければならない事情はないと考えている。また、研究を遂行するにあたって早急に解決しなければならない課題もない。ただし、2020年のように感染症などが大流行したり、あるいは自身の体調が再び悪化したりする可能性もなくはないということを考えると、全体的に計画を前倒しして実行していくことが重要だと考えている。 本研究課題は残り2年で完成させる計画となっている。開始年の2021年は新型コロナにより自由な移動ができず、翌2022年は自身の都合で計画どおりの研究が難しかった。特にこの2年間は国内外の学会や研究会に参加することが極めて困難であった。本年度になってようやく自由な移動ができるようになったので、国内の学会はもちろん、3年ぶりに海外の学会に参加することで、自身の研究成果を公表することを積極的に行っていく。同時に、多方面からのフィードバックを獲得することによって研究の精度を上げ、論文や書籍の形で公開する計画を立てている。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)