データサイエンスに基づくチームスポーツ戦術モデルとスキル学習支援
Project/Area Number |
22K12314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 62030:Learning support system-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松浦 健二 徳島大学, 情報センター, 教授 (10363136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 哲史 徳島大学, 情報センター, 教授 (00243733)
竹内 寛典 徳島大学, 情報センター, 助教 (80961854)
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (70325819)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 学習支援システム / 戦術学習 / MOT / VRシミュレータ / スペーシング / チームスポーツ / 戦術モデル / スキル学習 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、チームスポーツの中でも特に、時間制限があり、コートまたはフィールドを敵・味方で共有し、単一のボールを奪い合いながらゴールによって得点を競うサッカーやバスケットボールを対象に、その戦術学習を支援するための情報システムに関する設計・実装・評価を行う。具体的には、二次元平面と三次元立体空間が連動するシミュレータにおいて、個人ごとの視点での戦術理解とそのチーム共有が図れるようにするための、モデル化やシナリオ開発を行い、数理モデルや統計的な解析手法を導入した環境設計・開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時間・空間を2チーム間で共有しながら、チーム人数等の同条件下でゴール得点を競い合うチームスポーツにおける戦術理解を支援する基盤環境を研究している。「戦略」は大局的な観点から、最終的にチームを勝利に導くための方針・計画であるが、「戦術」は状況に応じた局所的な観点の下で、チームメンバが共通認識しつつ役割分担を行なって観察・判断・実行を連続時間の中で同時に繰り広げるダイナミズムが求められる。 2023年度は、バスケットボールを対象にこうした戦術を学ぶ上での基盤となる実映像からのプレイヤの動きを上面図アニメーションとするためのマルチオブジェクトトラッキング技術を継続開発し、また、数理モデルを導入した戦術学習支援研究と複合現実環境を応用したプレイヤーの注視点に関する学習支援にも取り組んだ。三年間の計画の中では、前年度に実施した個別課題解決手法の具体化と対応環境の設計・開発を中心とした研究の進展を図ってきた。以下の研究実績は、2023年度内に対外発表を行ったものを中心としたその実績報告である。 (1)コート上のゲーム録画映像から、プレイヤ等の移動体を抽出し、時間経過とともに位置を推移する複数オブジェクトをトレースしていくマルチオブジェクトトラッキング(MOT)の精度を高める研究を行なった。ノービス・アマチュアのチームも視野に入れて、射影変換する際の少数カメラ数に応じた調整技術を開発し、StrongSORTの採用や移動オブジェクトに対する指数荷重移動平均を採用した結果、正解映像に対して位置のズレなどが6パーセント程度の向上が見られた。 (2)トラッキングによるプレイヤ座標抽出を前提としたVRシミュレーション環境やMR注視点学習環境を開発した。特に、チーム圧場の数理モデルを導入し、バスケットボールに適応させたことで、スペーシングの学習と低リスクパスの学習支援への有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の推進体制下では、研究者間の役割分担の下で、個々のサブ課題に取り組みながら、システム評価や対外発表を行う場合には研究者間で対面・オンラインで意見交換しながら計画に沿って進めてきた。2023年度は前年度の研究成果と当初の研究計画に沿ってシステム開発と評価実験を進めてきた。その結果、以下の成果を確認できている。 ・MOT技術をバスケットボールデータに適用し、射影変換時の複数カメラ適用モードやStrongSORTの適用により位置の抽出精度が全体的な平均で6%程度向上したこと ・チーム圧場を導入し、オフェンス・ディフェンスに適用したことで、スペーシングの学習、低リスクパス抽出の理解にそれぞれ一定の有意な効果を得たこと ・複合現実デバイスにデプロイしたシステム利用により、注視点の学習に寄与することが示唆されたこと 以上の成果は、査読付国際会議論文1編、国内の全国大会・研究会での講演発表4件の発表に繋がっている。また、教育システム情報学会全国大会の発表においては、2023年度の大会奨励賞を受賞した。ただし、マルチオブジェクトトラッキングの応用研究、チーム圧場の応用研究等は、実践寄与するにはまだ解決すべき課題が残っており、継続して取り組む必要がある。例えば、プレイヤーオブジェクトのチーム分類は概ね問題ない精度であるが、プレイヤー個々の識別という部分では改善の余地がある。また、実際のゲームでは低リスクパスと高リスクパスの組み合わせとなるため、後者の計算や組み合わせのメタルール抽出なども研究進展が待たれるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究期間最終年度であり、前年度までの研究進捗から実践的なシステム化への統合化や個別課題の更なる進展に取り組み、対外発表を積極的に進める予定である。今後の方針として、既存データ分析の精度を高め、実践性を高めるための改善・工夫の面では、取り扱う変数を増やし、既存データの多角的な分析も行う必要がある。さらに、プロジェクト内の副課題間の関係整理・連携の下で取り扱いデータのフォーマットを再整理することで統合化が実現できると考えている。 要素技術面では、マルチプレイヤートラッキングの性能向上に努め、パス選択のバリエーションを増やし、戦術抽出技術の正確性や頑健性を高める研究に取り組む。 チーム戦術の理解は、初学者を対象としてきたが、中級者を対象としたアプローチへの応用なども検討範囲に含める。チーム戦術の評価指標を定める上で評価指標を共通化するには、戦術的価値が相対的に薄くなる可能性が一般に懸念されるため、ベースとなる共通概念の学習を指向しつつ、競争的な面が必要となる局面では、個別の適応的な戦術設計をとることも考慮する。 これらの研究計画を研究組織内で共有し、分担者個々の副課題に取り組む。さらに、対外発表の活動を活性化し、学会参加や論文化を積極的に推進する。また、研究プロジェクトのウェブ広報や社会連携の強化に努める。そのため、地域のチームスポーツ団体とも連携し、具体的なデータ収集や意見交換を行い、研究内容に対するスポーツ専門家からの助言を得る予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)