島嶼水環境の脆弱性評価に向けた環境トレーサーの継続モニタリング
Project/Area Number |
22K12414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
利部 慎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (20608872)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 島嶼 / 地下水 / 温泉水 / 脆弱性 / 年代トレーサー / 湧水 / 環境トレーサー / モニタリング |
Outline of Research at the Start |
島嶼地域の水資源は多角的な脆弱性を有しており、淡水塩水化、集水域の狭さに伴う水資源の不安定さ等の汚染リスクに晒されている。本研究では複数の島嶼地域において地域住民が大切に保全する名水(湧水)を対象にした継続モニタリングにより簡便に脆弱性を評価できる環境トレーサーを抽出する。地下水の湧出口である『湧水』を対象にすることは、地下水の汚染履歴の終着地を診断することであるため、井戸を新設し地下水を揚水するよりも効率的といえる。島嶼水循環の解明を目指すとともに、独創的な手法を組み合わせながら水環境の脆弱性評価を行うことで島嶼水環境の持続的な保全・利用のための提言を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では淡水資源に対し多角的な脆弱性を有する島嶼地域において、湧水や河川水質の継続的な調査を通じてより簡便に脆弱性を評価できる環境トレーサーを抽出することを目的として実施している。当該年度には主に大規模な島嶼である対馬において河川水の調査を実施した。 対馬の河川水水質は、周囲を海に囲まれている性質上、一般的な水質組成であるCa-HCO3型ではなく、ややNa成分に卓越する傾向を示した。これは、前年度までに実施していた平戸・五島の各島嶼で同じ傾向だった。また、対馬には温泉水が多くないため、対馬と似た環境セッティングの沿岸部深い地下水の性状を明らかにするために、宮崎平野の温泉水も調査し、水質分析、安定同位体分析と放射性炭素年代測定を実施した。水質はいずれもNaイオンおよびClイオンに卓越していたが、現海水とはやや異なる溶存成分であったため、淡水との混合もしくは古海水であることが示唆された。放射性炭素年代測定の結果、みかけの年代は数万年スケールであり、島嶼の温泉水の形成メカニズムを推定するための良好なデータを得ることができた。 本研究を進める中で、対馬は獣害の被害が深刻であることをヒアリング等を通じて知り得た。森林環境の状態によっては、降水の流出先である河川水の水質形成にも何らかの影響が出ることが考えられ、それが水環境の脆弱性評価にも繋がる可能性がある。 また、本年度に主な対象とした対馬に比べるとかなり小さなスケールである喜界島においても湧水の採水調査に着手したため、様々な流域スケール・島嶼環境での比較検証も可能となる。来年度は新しい年代トレーサーを組み合わせた独創的な手法を適用しながら水環境の脆弱性評価を行うことで島嶼水環境の持続的な保全・利用のための提言を行うために、継続的な調査を実施する所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、複数の島嶼地域での採水調査を実施することができた。対馬においては複数流域において河川水の採水を行い、各種トレーサー分析を行い、水質特性の把握を実施した。また、喜界島では複数の湧水をターゲットにして、今後継続的に調査するための基礎データを構築することができた。 また、深部地下水である温泉水の水質把握と放射性炭素年代測定を行い、浅部地下水との水文特性の違いを明確に認識することができた。 世界的にも新しい年代トレーサーであるHalon-1301法はほぼ確立することができ、地下水学会で成果を発表するなど大きく進展させることができた。 来年度は、研究計画に沿って確実に成果を出すとともに、計画以上の調査も実施することで、淡水資源に対し多角的な脆弱性を有する島嶼地域における水環境の持続的な保全・利用のための提言を行うために邁進する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通り、概ね研究計画に沿って順調に進んでいるため、来年度も研究計画に沿って確実に成果を出すとともに、計画以上の調査も実施することで、淡水資源に対し多角的な脆弱性を有する島嶼地域における水環境の持続的な保全・利用のための提言を行うために邁進する所存である。 また、島嶼スケールの異なる複数地域を対象とすることで、各島嶼特有の水質形成メカニズムを解明したり、季節変化を捉えるための時間分解能の高い調査で特徴を見出すことを目標とする。 世界的な物価高騰により、研究のための物品(試薬やキャリアガス等)のみならず、交通費(離島への飛行機・船代)が増加しているため、可能な限り工夫をして、効果的な予算の使い方をしていく所存である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)