Project/Area Number |
22K12561
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鴫原 敦子 東北大学, 農学研究科, 学術研究員 (80359538)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 東日本大震災 / 原発事故 / 被災者支援 / 復興 / 生活再建 / ケイパビリティ・アプローチ |
Outline of Research at the Start |
本研究は①被災者の生活再建と権利回復の観点から、これまでの復興施策の課題を抽出し、②津波被災者と原発事故被災者の生活再建状況を把握するためにアンケート及び聞き取り調査を実施、ケイパビリティ・アプローチを用いた分析を行う。これを通して③広域複合災害下の被災者の生活再建に関する課題抽出と施策の提示を行うことを目指す。 本研究の独自性は、開発研究や公共政策分野で議論されてきたケイパビリティ・アプローチを災害復興過程の分析に援用する点にある。これによって、被災者の権利回復を阻む要因やその過程について具体的・動態的に分析することと、津波被災者と原発事故被災者の両者を射程にいれた統合的把握が可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究実施期間の2年目にあたる本年度は、主に以下の3点の活動を軸に研究活動を行った。 まず第1に、宮城県における原発事故後の被害および生存基盤の変容を捉える調査対象地域としている「県北エリア」と「県南エリア」のうち、特に県北エリアにおける現地調査と聞き取り調査を実施した。宮城県北地域では、震災後長らく地域社会の課題として取り残されていた放射性物質汚染廃棄物処理をめぐって自治体ごとに新たな動きが生じたことから、その事実関係の把握と住民及び地域社会の動向を捉えるための現地調査を実施した。 第2に、昨年までに実施した調査結果に基づく成果公開活動を精力的に行った。福島県外地域における原発事故後の地域再生の課題について、他県の研究者と連携して実施した調査結果の『自治総研』への論文投稿(共著)の他、原発事故後の被害と「復興」を問う共編著書『3.11からの平和学-「脱原子力型社会」へ向けて』(日本平和学会編、明石書店、2023年12月)の発刊、津波被害からの復興検証を行う千葉昭彦他、みやぎ震災復興研究センター編『東日本大震災100の教訓:復興検証編』の分担執筆にも参加した。 第3に、他県での災害復興関連研究者との連携を図った。主に岩手県を中心に活動が展開されている災害文化研究会の研究集会登壇などを通して、岩手県、福島県で原子力災害後の復興検証などの研究活動を行ってきている研究者との連携を持つことができた。またみやぎ震災復興研究センター主催で、阪神淡路大震災後の復興はじめ能登半島地震も含めた災害復興関連研究に関わる研究者が会する交流集会の運営に関わり、今後の調査研究の展開を見据えて研究交流を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、予備的聞き取り調査を実施した。初年度はコロナ感染拡大のため現地での聞き取り調査を制約せざるをえなかったが、今年度から聞き取り調査を開始した。調査を通して、個々人の生活再建状況の動向は、震災以前からの生活状況と重なり極めて多様化していることに加え、時間の経過とともに複雑性を増しており、地域ごと、属性ごとでの類型化が極めて難しい状況にあることが確認された。とりわけ原発事故後の影響や被害状況が社会の中で表面化しにくいまま時間が経過しており、調査を通して事実関係を追うこと自体が困難な状況になりつつあることをあらためて認識した。今後も引き続き聞き取り調査を継続的に実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、当初の研究計画時には表面化していなかった地域の課題が浮き彫りになり、現在進行形で進む事実関係を追うことが中心課題となったが、来年度は、当初の計画に沿って、一定の地域あるいは属性対象における量的調査(アンケート調査)の実施に向けて調査票作成を進めていく予定である。 なお、複合災害後の被災者が抱える課題の包括的把握を行うための調査方法を適宜見直し、例えばテーマ別・地域別に調査手法を変えることも含め検討していく。とりわけ原発事故被災者の生活再建状況については、聞き取り調査をもとにした、談話分析の手法を取り入れることを併せて検討していく予定である。
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