デジタル社会におけるワイナリーの顧客接点の在り方に関する研究~北海道を例として~
Project/Area Number |
22K12610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 理 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30881974)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ワイン / ワイナリー / マーケティング / 顧客接点 / ワイン・ツーリズム |
Outline of Research at the Start |
北海道のワイナリーはここ10年で約3倍の47まで増加し,海外の著名ワイナリーの進出,インバウンドなどの観光,新規就農者の増加など,ワイン産業は地域興しにも繋がる。その一方,半数以上のワイナリーは赤字とも言われており経営状況がかなり厳しい状況にある。その要因の一つとして,マーケティングを含む顧客接点の脆弱さに大きな課題があることが挙げられる。顧客接点は,商品販売や従来型のツーリズムに留まらず,SNSによる動画配信やクラウドファンディングの活用など様々な形態が考えられる。 本研究は,顧客へのアプローチ方法を多面的に検討することで体系化,標準化することで顧客接点構築の標準モデルを構築することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、伸長が著しい北海道のワイナリー(ワイン栽培者・醸造家)を題材として、近年のコロナ禍におけるデジタル社会での「地域産業の顧客接点の在り方」を体系的に研究することを目的としている。 2022年度は、事業期間3ヵ年度の初年度に当たることから、北海道のワイン生産者・醸造家の顧客接点の現状とニーズを把握することを主目的として、消費者を取り巻くワイン環境及び消費者動向の把握、ワイナリーの顧客接点の事例研究、ワイナリーに対するインタビュー調査と意見交換、ワイナリーに対するアンケート調査(年度をまたいで実査中)を実施した。また、北大大学院共通授業科目「北海道サスティナブルワイン学」において、学生131人に対し「ワインに対する若者の意識調査」を実施し、ワイナリーとの意見交換の際の材料として活用した。 計画策定当初は、消費者とワイナリーの顧客接点について、主にワイン・ツーリズムを主眼としていたが、上述した調査・研究を通じて、それ以外の要素も重要であることが解明されてきたため、近年の消費者動向との関連を整理しながら顧客接点の現状分析とあり方を検討した。 具体的には、『参加・体験志向』として収穫ボランティアなど、『支援・育成意識』としてクラウドファンディングの活用やラベルコンペなど、『お試し志向』としてサブスクリプションなど、『自分らしさ消費』としてワインのアッサンブラージュ(ブレンド)などの取り組みがワイナリーの消費者接点を拡げる活動として有効な可能性があることを仮説として設定することができた。 ここまでの活動は、「北海道ワインシンポシオン」、「北海道ワインアカデミー(高度専門コース)」で成果報告として発表し、ワイナリーの消費者接点に関する仮説を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3ヵ年の研究期間の初年度に当たる2022年度は、定性情報を収集し、顧客接点に関する一次仮説を設定し精緻化することを目的に調査、研究を実施した。 当初計画では、文献調査とインタビュー調査のみを行う予定だったが、インタビュー調査を実施する際にインタビュー先に提供できる情報があると意見交換が活発になることを想定し、当初、計画にはなかったが、北海道大学大学院の学生131人に対して「ワインに関するアンケート調査」を2022年10月~11月にかけて実施した。その結果を資料化することでインタビュー先との意見交換を多面的に行うことが可能となった。また、北海道ワインアカデミー及び北海道ワインシンポシオンにおいても同アンケート調査の結果を活用することで、ワイン栽培者・醸造家と深い議論を行うことができた。 調査研究を進めている中で、ワイナリーと消費者との接点は、ワイン・ツーリズムだけでなく、収穫体験、ラベルコンペ、クラウドファンディングなどを含め、様々な顧客接点を活用できる可能性があることがより明確になってきた。また、現在のワインの主要な飲用層である中高年層だけでなく、ワイン産業をサスティナブルなものにするためには、飲用経験が少ない若者層に対して、ワインとの接触頻度をいかにして高めるかが重要であることが明らかになった。 なお、ワイナリーに対するアンケート調査は当初、2年目に実査することを想定していたが、ワイナリーの繁忙期を避けるため、前倒しで23年3月から4月にかけて実査を行っている。 一方、計画当初は、初年度に実施を計画していた、道外のワイン関係者に対するインタビュー調査は2023年度に必要に応じて実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究期間は3ヵ年であり、その中間年度にあたる2023年度は、初年度の定性調査に基づき、ワイナリーの顧客接点の現状と今後のあり方についての定量調査を実施する計画である。 前述した通り、ワイナリーに対するアンケート調査は23年3月から4月にかけて実査中であるが、その結果も踏まえて、一般消費者に対するアンケート調査を春から夏にかけて実施する予定である。調査の対象としては、年齢層では20代から60代まで、地域としては、北海道のワインの主要な販売先である北海道、東京、大阪だけでなく、国内でワイン産業が進展している山梨、長野などを対象とすることも検討を行うものとする。 顧客接点に関する様々な施策を類型化し、類型ごとにさらに個別具体的な施策として整理したものを、ワイナリーと消費者の両方に尋ねることで、両者の間の考え方の認識ギャップを明らかにし、それぞれの施策についての現状評価とあるべき姿についての考察を行う。 また、必要の応じて、道外のワイン関係者に対するインタビュー調査、海外事例の文献調査などを行うことも想定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)