わが国の天文観光の大衆化と夜空の美しさの内部化状況ー工学的手法を取り入れた分析
Project/Area Number |
22K12613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
尾久土 正己 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 理事 (90362855)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | アストロツーリズム / ダークスカイ |
Outline of Research at the Start |
近年、アストロツーリズム(AT)への注目が国内外で集まっている。他方で、当該観光形態に関する国際的な論調は、’Niche Tourism’や’Special Interest Tourism’の1つとして把捉されるきらいがあり、大衆化した日本国内の天文観光の現況とは齟齬が見られる。本研究では、わが国の天文観光が大衆化した要因を、「宇宙」ではなく「夜空」を重視する’Dark Sky Tourism’の内部化に求めた上で、天文観光の変容をデジタル技術の発展系譜に照合させるとともに、現況のDSTの内部化状況を理工学的な手法を用いて検証し、「日本人はなぜ今、星空を見上げるのか?」という問いに答える。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、アストロツーリズム(AT)への注目が国内外で集まっている。他方で、当該観光形態に関する国際的な論調は、’Niche Tourism’や’Special Interest Tourism’の1つとして把捉されるきらいがあり、大衆化した日本国内の天文観光の現況とは齟齬が見られる。本研究の目的は、わが国の天文観光が大衆化した要因を、「宇宙」ではなく「夜空」を重視する’Dark Sky Tourism’の内部化に求めた上で、天文観光の変容をデジタル技術の発展系譜に照合させるとともに、現況のDSTの内部化状況を理工学的な手法を用いて検証し、「日本人はなぜ今星空を見上げるのか?」という問いに答えるものである。 本年度は、昨年度に続き、ドームシアターを用いた実証実験の分析を行い、人々が考える「美しい星空」や「本物の星空」について考察を行った。その結果、これらの感覚は人々が暮らす地域の光害や、ATへの参加経験に影響されていることが示された。また、国内に数多く建設された公開天文台の立地についてweb分析ツールRESASのデータを用いて、到達圏分析を行い、夜間観望会の参加者数と圏内の人口との関係を考察した。その結果、RESASで分析可能な22.5km圏内では立地と参加者数に関係がないことが示唆された。このことからは、天文台施設には生活圏からの来訪ではなく、より遠方からの来訪者が多いことを示唆しているのかもしれないが、現時点で遠距離の到達圏分析をするデータやツールを持ち合わせておらず、今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、令和5年度は、具体的には、和歌山県みさと天文台および鹿児島県与論町で、夜空の等級を検出する器機Sky Quality Meter(SQM)を用いた定点観測結果と、天文観光参加者における満足度の相関関係を分析することにしていたが、成果をまとめ国際会議で発表するとともに、学術誌に投稿済みである(査読中)。また、次年度の令和6年度に行う予定だったデジタルドームシアターを用いた人々が考える「美しい星空」や「本物の星空」についての実証研究を前倒しで完了し、論文として投稿、掲載されている。このことから、本研究は当初の計画以上に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、星空保護区の地域でのフィールド調査から着手する予定であったが、大学と連携協定を結んでいる与論町や、同じ県内にあるみさと天文台で必要なデータが取得でき、研究の主な目的は達成できたため、次年度は、本研究を行う上で浮上してきた新たな問い、すなわち国際的な認証システムである星空保護区の国内導入より以前に我が国の環境省が行ってきた「星空の街」や「全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)」がどのように地域や住民に受け入れられ、現在のATにつながっているかを明らかにするための新たな研究のための予備調査を開始する。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)