Project/Area Number |
22K13139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小池 晃次 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (50804431)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 主語・(助)動詞倒置 / 生成文法 / 英語史 / there構文 / yes-no疑問文 / ラベル付けアルゴリズム / 主語・助動詞倒置 / 素性継承 / ラベル付け / 否定倒置構文 / Wh疑問文 |
Outline of Research at the Start |
本研究は生成文法という言語学の枠組みの下で英語における主語・助動詞倒置の仕組みを解明する。具体的な事例として否定倒置構文とWh疑問文を取り上げ、ラベル付けアルゴリズムという最先端の理論的道具立てを使ってこれらの構文における主語・助動詞倒置に真新しい原理立った説明を与える。さらに、最近はめっきり議論されていないYes/No疑問文や話題化構文についてもラベル付けの下で再検討を行ない、構文の垣根を越えたより一般性の高い分析を探究する。加えて、英語母語話者を対象とした文法性の調査やCOCAを使ったコーパス調査を実施することで、今まで注目されてこなかった詳細な言語事実を明らかにし経験的側面においても貢献したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に沿って、2023年度は昔の英語における主語・(助)動詞現象を最先端の英語学の枠組みを用いて研究調査した。とりわけ、現代英語まで存続している、主語名詞句と定形動詞が倒置するthere構文に焦点を当て、この構文の歴史的変化を生成文法の理論的考えに基づいて分析した。生成文法の枠組み内でもMakita (2000)やHosaka (2014)などthere構文の史的変化は統語的および機能的な側面からこれまで考察されてきたが、本研究はそれらの先行研究によって探求されてこなかったラベル付けや素性継承という理論的観点から新たな分析を提示した。ラベル付けアルゴリズムは現代の言語に関しては活発に議論されている一方で、昔の言語に本格的に適用した研究は非常に少ない。そのため、本研究の提案は今後の通時的研究に対する叩き台として位置づけられる。また、英語史における最も不思議な事実の一つである、14~16世紀における他動詞虚辞構文の存在に対しても独自の分析を提案することに成功した。there構文に関するこうした研究成果をIVY第56巻に和文論文として投稿し、無事に掲載にされた。 このことと並行して、現代英語における主語・助動詞倒置文のさらなる具体例としてyes-no疑問文の分析にも着手した。これまでyes-no疑問文はしばしばWh疑問文との関連において散発的に議論されることはあったが、この構文単体が2000年以降詳細に議論されることは少なかったと思われる。本研究はこのタイプの主語・助動詞倒置文にも最新の生成文法の観点から光を当て、感嘆文や問い返しyes-no疑問文など関連する(非)倒置構文も含めて包括的に考察を試みた。yes-no疑問文に関連するこうした調査結果は東海英語研究第6巻に和文論文として掲載され、研究成果を無事に外部へ公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書を提出した当初の予定では、現代英語におけるyes-no疑問文や感嘆文などのいわゆる関連現象は4年目である2025年度の考察対象として想定していた。しかし、昨年度に予想以上に研究が進んだことで、3年目である2024年度にこれらの関連現象の考察に着手することができ、さらに、その成果を上述したように、国内の学術雑誌に投稿および掲載するにまで至った。 また、現代英語はもちろん、初期英語におけるthere構文は研究計画書の作成時には考察対象に含めていなかったが、昨年度に恩師から学術講演会の講師として招いていただいたことで研究意欲を刺激され、この論文も投稿および掲載する段階にまで進むことができた。このように、2023年度に残せた想定以上の研究成果をうまく引き継ぎながら、2024年度も一定以上の研究成果を残すことができた。 以上の理由から、本研究は当初の計画以上におおいに進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が提案するラベル付けと素性継承システムを、現代英語における話題化などの非倒置文にまで一般化することを試みたい。また、話題化と関連してしばしば議論されてきた左方転移構文にも焦点を当て、Chomsky (2019)におけるFormCopyなど最新の生成文法の考えに基づいて独自の分析を提案する。その下準備として、Rodman(1974)などの伝統的な先行研究からYoshimoto (2023)などの最新の先行研究を精読することから始めたい。また、Rizzi (1997)などの文献を読み返すことで、英語以外の諸言語における話題化や焦点化に関する事実関係の整理も行いたい。それから、欲を言えば、2023年度および2024年度の研究成果に基づいて、初期英語における主語・(助)動詞倒置に関する英字論文を執筆し、海外の学術雑誌へ投稿することに挑戦したい。
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