18世紀前半の露清貿易形成とヨーロッパ経由の清の情報に関する研究
Project/Area Number |
22K13187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 朋美 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (10781750)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 雍正遣露使節 / サンクトペテルブルク報知 / 露清関係 / 情報公開 / ヴラジスラヴィッチ / 新聞 / 露清貿易 / 清の情報 / 報知 / 情報収集 / 情報 / 東インド会社 |
Outline of Research at the Start |
露清貿易史研究は、陸路でのモノ(商品)のやり取りに着目して研究されてきた。しかし、近年、19世紀半ば以前のロシアの広東貿易構想について研究が進んだことで、ロシアが海路ヨーロッパ経由で清の情報を得ていた可能性が考えられている。このような学術的背景のもとで、本研究は、ロシア最初の印刷新聞『報知』に着目し、『報知』掲載の清に関する記事内容を把握することにより、18世紀前半のロシア社会においてヨーロッパ経由の清の情報が露清貿易の展開にどのように寄与したのか、を解明しようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロシア最初の印刷新聞『報知』(1728年以降、『サンクトペテルブルク報知』)に着目し、『報知』に掲載された清に関する記事内容を把握することにより、18世紀前半のロシア社会においてヨーロッパ経由の清の情報が露清貿易の展開にどのように寄与したのか、を解明することを目的としている。 本年度は、研究実施計画に記載した手順のうち、A. 『報知』に掲載された清に関する記事の収集、B. 清に関する記事の数量の把握と内容の分類までの手順を1702年~1740年までほぼ完了し、C. 記事にされた出来事の特定とその詳細の把握、D. 1720 年代の広東貿易構想との比較に着手した。 A. 記事の収集については、『サンクトペテルブルク報知』を所蔵する機関について調査した結果、本年度に入って国内に所蔵機関があるという情報を得ることができたため、当図書館で資料調査を行い、第1年度に行ったオンライン調査では見つけることができなかった記事の収集を行った。B. 記事の数量の把握と内容の分類については、第1年度に暫定的に作成した分類リストに、本年度行った調査の成果を盛り込み、より完全な分類リストを作成した。これにより複数の出来事や論点を抽出できるようになり、C. 記事にされた出来事の特定とその詳細の把握に着手した。本年度は、1730年代に清からロシアに派遣された雍正遣露使節に関する記事を取り上げ、公開された情報の内容とその情報源について検討した。この過程で、イギリス国立公文書館でも資料調査を行った。この研究の成果をまとめて学会で口頭発表を1件行い、論文1件を学術誌に投稿した。投稿論文は査読中である。D. 1720年代の広東貿易構想との比較に関連しては、キャフタ条約締結時のロシアの特命全権公使ヴラジスラヴィッチによる報告のひとつを取り上げ、その翻訳の進捗状況について、共訳者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、おおむね順調に進展していると評価する。その理由は、『報知』と『サンクトペテルブルク報知』に掲載された清に関する記事のうち、1702年~1740年までの記事については、手順AとBの作業をほぼ完了することができ、手順CとDに着手することができたからであり、これにより、学会で口頭発表を1件行い、論文1件を学術誌に投稿するなど、一定の研究成果を得ることができたからである。 手順AとBについて、第1年度は、ロシア公共図書館と公共電子図書館の各ウェブサイトにおいて公開されている記事を調査したが、ウェブサイト上で公開されていない記事があったことから、存在を把握している該当記事すべてを収集することはできず、暫定的な分類リストを作成した。本年度は、『サンクトペテルブルク報知』を所蔵する国内の機関で資料調査を行い、第1年度に見つけることができなかった記事を収集することができたため、この調査の成果を盛り込んだより完全な分類リストを作成することができた。これにより、1702年~1740年の清に関する記事の数量、記事内容の傾向、情報収集地の傾向を把握できるようになり、複数の出来事や論点を抽出して、手順Cに着手することができた。手順Cでは、本年度は、キャフタ条約締結直後の雍正遣露使節に関する記事を取り上げ、イギリス国立公文書館でも資料調査を行い、その研究成果をまとめて学会で口頭発表し、論文を学術誌に投稿した。また手順Dでは、ヴラジスラヴィッチに関する資料収集を目的としたロシア現地での調査は、第1年度と同様、実施することは出来なかったが、ヴラジスラヴィッチ報告の翻訳を共訳者とともに進めている。 このように、当初計画したところまで手順AとBはほぼ完了しており、手順CとDにおいても着実に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、本年度までは1740年までを一つの区切りとして研究を実施したが、次年度は、1741年以降の『サンクトペテルブルク報知』の記事についても、手順AとBの作業を進める。これにより、より広い範囲で記事の数量、記事内容の傾向、情報収集地の傾向を把握することを目指す。 第2に、手順Cでは、新たな別の論点に取り組む。手順Bを通して抽出した出来事と論点のうち、18世紀前半のロシア社会において、『サンクトペテルブルク報知』の情報がどのような商業的価値を持ち、露清貿易の形成にどのような影響を与えたのかをより明確に論じることができる論点を選び出し、論を補強するための資料調査を国内外の図書館や文書館で行う。その後、研究の成果を取りまとめる。 第3に、手順Dでは、ウクライナ戦争の影響によりロシア現地でのヴラジスラヴィッチに関する資料収集は引き続き困難であると予想されるため、これに関する資料収集は一旦保留とし、本年度着手したヴラジスラヴィッチ報告の翻訳作業を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)